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71歳フリーランスが教える「一生モノのスキル」とは?フリーランス「60歳の壁」と、年金月5万円でも自分らしく人生を生き抜く「4つの力」〈紫苑さん/インタビュー〉

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大きな反響を呼んだ書籍『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』の著者・紫苑さん。フリーランスとして長年働いてきた秘訣や、どんなふうにお金に頼らず自分らしく生きているのかお伺いしました。

今話題の書籍『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』の著者・紫苑さん。新卒で地方の新聞社に就職すると、フリーランスに転身。長年フリーランス、シングルマザーとして、会社やパートナーに頼らず自分の腕ひとつで働いてきました。
一方、お金に関することは失敗の連続。景気がよかった時期は投資に手を出して大損し、着物に魅せられた時期には、あれこれと買い集めて散財しました。お金、準備、計画の3つがNGワードだと思うほど苦手で、先のことをあまり考えずに過ごしてきた結果、国民年金月5万円の生活を送ることになったのです。それでも、「今が一番自分らしく、自由でいられる」という紫苑さん。そのように生きるコツを紐解くと、紫苑さんのキャリアから4つの力が見えてきました。その力を切り口に、長年フリーランスとして活躍する秘訣や、国民年金月5万円でも不安がない自由な生活について伺いました。

目次

フリーランス「60歳の壁」とは?

写真/Canva

フリーランスが年を取ると仕事が減るワケとは?

仕事が激減したのは、60歳ぐらいになってからです。やはり年が上だと、物を一つ言うにも仕事相手の方が遠慮しますよね。

殺し文句は「担当が変わりました」

「フリーを殺すのに刀は要らない、人を代えればいい」と言いますけれども、クライアント側が「ごめんなさい、担当が代わりました」って言えば、それでもう終わりですから。

フリーランスが長く働くために必要なものとは?

好奇心とネットワークですね。何かを見たり読んだりするとき、好奇心を持って「自分だったらどうするか?」と考えること。一般的にいいと言われている物事や方法に対しても、自分と同じところは共有し、違うのはどこかを探します。その癖は仕事で役に立ちますし、書籍刊行につながった節約ブログも、自分らしい内容を書けたのだと思います。

フリーランスに欠かせないセーフティーネットとは?

本音を話せるネットワークがあれば、お互いに足りないものをサポートできます。編集プロダクションを経営していたことがあるのですが、やはりネットワークに助けられました。適度な距離を置きながら、本音を出しあえるおつきあいが大切だと思います。

スキル1「自分の人生をデザインする力」

写真/Canva

恵まれた環境は「物足りなさ」に?

最初からフリーランスだったのではなく、学校を卒業したあと地方の新聞社に勤めていました。
文化部に配属されたものの、周りの人が甘やかしてくれたんです。「今日は何をしたらいいんだ?」という状態が続き、だんだん物足りないと思うようになりました。

新聞社に入ったのに、記者として活躍できなかった?

テレビ局や映画会社の記者会見に行くのですが、広報の方が資料を見ながら「主演はこの人です」「質問はありますか」と、読み上げる。結果がわかっている出来レースみたいなやり取りを、そのまま書いていました。一方、女性誌の編集者として働いていた友達は、20代で表紙を作っていたんです。格好いいなと憧れ、「私も華やかな場所でスポットライトに当たってみたい」そんな甘い考えで辞めました。

会社を辞めて、憧れの華やかな仕事はできた?

いろんな会社を受けたのですが、全部落とされてしまって。それなら、ということでフリーランスライターになり、最初に勤めた新聞社で仕事をさせてもらったんです。そうしたら、「あなたはもうフリーランスだから、完全原稿を書かないとお金をもらえない。デスクにダメだと言われない、使える原稿を書いてください」と。

華やかさとは真逆の実力勝負の世界

その発言を聞き、いきなりやる気に火が付きまして。しっかりした原稿を書いたり、「この人にインタビューしたいです」と企画を持って行ったりしました。それはもう、すごくやりがいがありました。主体的に動く嬉しさと厳しさを知るのは、フリーランスの醍醐味ですね。

1970年代のフリーランスのポジションは?

お給料と待遇が悪くない会社だと、そこに一生いれば、ある程度ステータスもありますよね。でも私は、くすぶったまま定年まで過ごすのはつらいと思ったんです。勢いで会社を辞めましたが、無謀だったとわかったのは、フリーランスになってからでした。

女性が組織を離れ、フリーになるのは無謀だった?

会社にいたときは、取材先に行くと「ランチ食べましょう」「お茶をどうぞ」とか言ってくれたんですね。ところが、フリーランスになったら水も出してくれない。「君はどこの人だ?」という接し方で、会社にいたころからの顔見知りでもそんな感じだったんです。

肩書きがなくなったら、周囲の対応も激変

本当にね、ピンとキリぐらいに変わるわけです。でも、基本はどっちでもいいことですよね。
ランチをごちそうになっていようが、自分でサンドイッチを買っていようが、話を聞いて仕事をすることに変わりはない。フリーランスになると、みんな見る目が違うんだなと知ったのは、逆によかったと思いますね。

手取り収入が増えることで見えなくなった将来設計

当時はかなりの数の雑誌がありました。1ページの単価もよく、4ページの仕事をすると16万ぐらいになったんです。だから不安はなくて、「おお、こんなにもらっていいのかな」と思っていました。でもそれはまやかしで、国民年金の保障も、将来の保障もなかったんですけどね。

収入よりも、自分のやりたいことを優先?

食べていければいいやと思っていました。私は甘やかされると、どんどんダメになっていくタイプです。「何もしなくていい」という状態がつらいんです。会社に勤めていたときにそれが骨身にしみたから、収入や、その他の場面でつらいことがあっても「あのときよりマシじゃないか」みたいな気持ちになりました。

スキル2「好きを追求すると自己投資になる」

写真/Canva

散財と自己投資の違いは?

自己投資だと考えたときから、好きという気持ちから離れていくように思います。自己投資は、見返りを求めますから。「好きは好き」、とにかくそれをしていると楽しい、ハマる、沼に落ちる。そんな感じですね。

「好き」の持つ力とは?

「好き」がないと、生活って楽しくないですよね。少ないお金で暮らして、なぜそんなに楽しいんだ?と言われるんですけれども、それは「好き」があるからなんですね。好きなことをやっているときは、不安もつらさも全部忘れていますから。

貧乏でさえ「好き」になるとクリエイティブになる?

料理も全然好きじゃなかったのに、同じ食べるんだったらおいしく楽しく食べようと考えているうちに、ハマっていきました。毎日毎日、何を食べようか?って、ずっと考えていたんです。
食費1万円で安く、おいしく、栄養のあるメニューを考える。そして実践してみたらできたんですね。「100円でこんなにおいしいなんて、なんということでしょう!」と思いながら暮らしていたら、料理が好きになっていました。

どんなときも前向き

この課題をクリアしようじゃないかという気構えは、フリーランス生活で培われたと思います。
追い込まれると「じゃあ、やってやろうか!」となりますね。

スキル3「発信力は行動力に」

写真/Canva

節約ブログが注目された理由は?

今までの節約の仕方と、少し違っていたからじゃないかなと思います。節約って、何か身が縮まるような感じがしますよね。だけど私の場合、ワクワクから入っていった。「5万円で何ができるんだ?」を楽しもうという考えで節約を始めました。

発信することで「発想の転換」が起こった

その発想力はあるかもしれませんね。例えば、節約で一番効果があるのは買わないことですよね。だから「ここは要らないな」って、ゲームみたいな感じで物を買わないことにしたんです。
最初の頃はフリマなどで安いものを買っていましたが、横を見たらもっと安いものがあったり、他に欲しいものが出てきたりする。

物欲が奪っていくものとは?

ネットサーフィンで時間もなくなるし、キリがないなと思って。もう買わない、見ないと決めました。そのあと家の中を見渡したら、「おぉ、なんと、欲しいものがいっぱいあるではないですか」と思ったんです。

欲しいものを手放さずに「買わないゲーム」

これまでに買った着物とか洋服とかは、好きで持っているものです。つまり、自分が欲しいものなんですよね。だから、欲しいものを今の自分のサイズに直して着ようというふうに考えて、「買わないゲーム」を楽しみました。

顔出しで「年金月5万円」を公表

着物ブログで顔出ししていたので、抵抗はなかったです。あと、やっぱり顔出ししないと説得力がないですよね。顔と数字を出すことで、リアリティーが出るんじゃないかな。顔の出し方は、もうちょっと控えめでもよかった気がします(笑)。

発信によって変わった生活とは?

明日何を書こうかなと考えながら寝ると、目が覚めたときに思いついて、ぱっと起きられます。その延長線上で、「DIYをどうしようかな」と思って寝てみたら、また朝に閃いたりして。朝から気分よく動けると楽しいですね。

スキル4「不安を手放すための転換力」

写真/Canva

「年金5万円」というシビアな現実

それでやるしかないし、収入より少なく使えば、もう不安にならないなと思ったんです。それで、年金の7~8割だけを使うことをやってみたら、支出が3万6500円になり、貯金もできました。他の人のことは考えないで、自分はどうするか?で行動したほうがいいですね。

お金がないとなぜ不安になる?

他の人を見て比べても、頭が混乱しますよね。そういう混乱が、余計な不安を呼ぶと思います。
それよりも自分の現実を見て、どう楽しむかにエネルギーを使ったほうがいいですよね。

お金がなくてもポジティブになるコツとは?

視点を変えてみることだと思います。例えば、年金が少ないといっても、死ぬまでいただけるんですよね。もちろん、今まで納めてきた分じゃないかとか、いろんな感情はあると思うんですけど。年金を基本にして、自分に合った稼ぎ方なり、楽しみ方なりをしていけばいいんじゃないかと思います。

老後に必要なものはお金だけですか?

お金と本音で話せるネットワークですね。フリーランスにも必要だと言いましたが、老後もネットワークが大事。本音じゃない話は、時間とお金の無駄だし、いくらしても何にもならないと思うんです。つらい、寂しいと言えるとか、これが欲しいとか、ああいうことがやりたいとか言えたほうがいい。見栄や体面は、ある程度の年齢を重ねたら要らないし、自分をさらけ出して話しあえるのがいいと思います。

71歳になってわかったフリーランスの強みとは?

過去を悔いて、自分を責めても何も始まらないと前を向けたことかな。追われるとやる気に火が付くことも(笑)、自分ならどうする?と考えて視点を変えることも、今に活かされていると思います。


*この記事は2022年10月11日に開催されたI am主催のイベント「71歳フリーランス、女性
おひとり様が語る『71歳、年金5万円で自分らしく自由に生きる』ために必要な4つの力」/年
金月5万円プチプラ節約ブロガー紫苑をまとめたものです。

文/村上いろは

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この記事を書いた人

I am 編集部
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「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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