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花輪陽子の「経営者3年目」までのお金のことフリーランスが貯めておくべき「運転資金」と「万が一のお金」はいくら必要?

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フリーランス・個人事業主が貯めておくべき2つのお金は「運転資金」と「万が一のときのお金」。それぞれの金額の目安、どのような形で備えるか、手持ちがないときの対応法までわかる1級 FP 花輪陽子の連載・第 4 回!

プロフィール

1級ファイナンシャルプランナー花輪陽子

リーマンショックで夫婦二人でリストラを経験。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。

運転資金は売上の 3 倍が目安

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。会社員の時代は毎月定額で給料がもらえていましたが、フリーランスになると定期収入はなくなります。しかも、病気やケガなどで働けない間は無収入になってしまう上に医療費の分の支出が増えるという場合もあるのです。今回は、フリーランスが貯めておくべき 2 つのお金についてお伝えします。

フリーランスになると、自分で仕入れをして(先にお金を使って)、それを売る(売上は後から)というお金の流れが基本になります。例えば、パン屋さんを始めた場合。自宅で小さく開業をする場合でも、材料費や道具代などは必要になってきます。最初は思うように売れずに食材を廃棄しなければならない場合も出てきます。


ウェブサイトの運営などで、経費があまりかからない形で起業をする場合もやりくりは楽ではありません。納品をしてから数ヶ月後に取引先からお金が入金されるということは多いものです。そういった意味でも一定の運転資金は手元において置かなければなりません。


運転資金としていくらくらいビジネス口座に入れておくべきでしょうか。事業形態にもよりますが、目安としては月の売上の 3 倍程度が考えられます。また、法人口座を開設する場合、100 万円以上の資本金設定を求められるケースもあるようです。シンガポールでは 300 万円程度法人口座にお金を入れておかないと維持費が取られるなどもあって、私は常にそれ以上のお金を入れておくようにしています。


運転資金を多めに積んでおく事によって安心感が生まれます。例えば、セミナーを開催する場合も先に会場費を支払うなど先払いが多くなります。また、税理士費用など毎年必ずかかる費用の支払いも出てくるからです。会社員の経費精算よりも売上の回収に時間がかかる場合も多いので、資金繰りには余裕を持たせたいところです。

万が一のために保険で備える

「万が一」にはいろんなケースがある (写真/Canva)

運転資金とは別に病気、怪我など万一の場合に働けなくなった時の保障も考えなければなりません。病気やケガで就業不能状態になったとき、会社員や公務員は受給条件を満たせば、健康保険から「傷病手当金」が給付されます。


傷病手当金とは、被保険者が病気やケガで働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。傷病手当金の金額は概ね月給の 2/3 程度です。支給を開始した日から通算して最長で 1 年 6 ヵ月間受け取ることができます。ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。


しかし、自営業者や個人事業主の国民健康保険では、そのような制度はありません。そのために自分で貯金や保険等で備える必要があるのです。民間の保険では、「就業不能保険」(公益財団法人生命保険文化センター)という保険があります。
長期間の入院の他にも、在宅療養や一定の障害が認められた場合も保障の対象になる場合があります。就業不能状態が続く限り、ずっと毎月お金を受け取ることができるので安心です。一般に 60 日など自分が設定をした一定期間経過後に保障を受けることができるようになります。その他に、入院見舞金や精神疾患就業不能一時金などがある保険もあります。どの保険会社の商品がよいか料金と保障内容で比較をして決めましょう。

貯金で備える場合は月の支出額の約2年分

「備えあれば患いなし」を目指そう(写真/Canva)

保険で備えずに貯金で備える場合、どれくらいを目安にすればよいでしょうか。会社員の傷病給付金を目安に考えて、月の支出額の 1 年半〜2 年分を備えておくと安心です。それほど多くの貯金がないという場合は、貯金ができるまでの間は保険を利用するのも一つです。


特に万一の備えは扶養家族が多い人にとって重要になります。反対に、パートナーも働いている、扶養家族が少ないという人は保障をもう少し減らしても足りる場合もあるでしょう。実際に自分の収入がなくなった場合、家族がどれくらい生活に困るのかをリアルに考えて備えることが必要です。分からない場合はファイナンシャル・プランナー等のプロに相談をしてみるのも一つでしょう。


運転資金や万一のお金などを一切考えずに、見切り発車で独立や起業をしてしまったという人もいるかもしれません。そういう人の場合、貯金が順調に増えているのであれば問題ないかもしれません。しかし、十分な備えがないという人の場合は就業不能保険等を検討してみるのも一つでしょう。病気で働けなくなる場合、医療費の他にも生活費がかかり、収入が入って来なくなるため、フリーランスの人にとっては考えておくべき保険になるのです。会社員の頃と比べると保障がほとんどないということを念頭に、リスク管理をしっかりすべきなのです。

この記事を書いた人

花輪陽子
花輪陽子リストラから1級FP
1978年生まれ。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系投資銀行に入社。リーマンショックにより夫婦2人でリストラを経験。FP1級取得後、雑誌や書籍での執筆など幅広く活動。

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