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花輪陽子の「経営者3年目」までのお金のこと独立2年目の壁は「売上を伸ばす」ことのはずが「確定申告」? 売り上げが増えるほど時間が奪われるジレンマ

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独立 2 年目の壁は「売上を伸ばす」ことのはずなのに、確定申告などの経理事務に時間を奪われるというジレンマ。人を雇うほど余裕はない状況で、どうやって乗り越えていけばいい?1 級 FP花輪陽子の連載・第 2 回!

プロフィール

1級ファイナンシャルプランナー花輪陽子

リーマンショックで夫婦二人でリストラを経験。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。

独立 2 年目の壁① 確定申告

確定申告のメリットとデメリット

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。独立をして 1 年目はよく分からずスタートをし、楽しいことも大変なことも多いでしょう。そんな人も 2 年目に壁を迎えると思います。

所得の種類が多く複雑な確定申告/写真 AC

1 つ目の壁は確定申告の壁です。自営業者の場合は、個人の確定申告を、法人の場合は法人の決算と個人の確定申告をしなければなりません。日本の確定申告は私が住んでいるシンガポールと比べると所得の種類が多く複雑だと感じます。


簿記などの知識もないという初心者は、最初は白色申告にするのも一つです。青色申告のような税制上のメリットはありませんが、簡易な方法で帳簿を記帳できるからです。その記帳に基づき所得税または法人税を計算して申告します。デメリットとしては赤字の繰り越しができないなどがあります。


税制上のメリットはないものの、自分でも帳簿を記帳できるメリットがあります。特に売上が少なく、今後も低空飛行でゆるゆる続けたいという人にとっては白色申告にしておくのも一つの手です。青色申告にすると複式簿記などで記帳をする必要が出てくるので素人にとってはハードルが高くなります。


もし税制上のことで戸惑って始められないという人がいたら、パーフェクトなやり方ではなくても最初は簡易な方法で始めてしまうのも一つだと思うのです。


また、困ったときは専門家に頼むのも一つです。費用はかかるものの、税理士にお願いをすることで記帳業務を丸投げすることも可能です。

迫ってきたインボイスへの対応

特に 2023 年 10 月からインボイス制が導入される予定です。インボイスとは、販売先に対し、税率と税額を正確に伝えるために、従来の区分記載請求書に必要事項を追記した請求書のことです。インボイス制度導入後は、消費税を納付する際に、仕入先等が発行するインボイスがないと仕入税額控除が受けられなくなるのです。シンガポールでは既にこのような方式になっており、この連載でも後ほど扱う予定です。


ただでさえ、大変な経理業務に新しい制度が加わるのです。自分でやるのか、プロにお願いをするのか、しっかりと決めておくことが重要です。

独立 2 年目の壁② 売上が伸びない

売上が伸びないと事業継続は困難に

もう一つ、2 年目の壁として決定的なことに、売上が順調に伸びないということが挙げられます。
個人事業主としても法人としても、ベストなのは売上が少しずつ伸びて成長をしていくことです。
単年だけ売上が高くて次年度は全くないなどだと事業を継続させていくことが難しいです。また、将来的に銀行から融資を受けたり、国から助成を受けたりを頭に入れている人はビジネスを徐々に成長させていく必要が高くなります。


中小企業白書(2006)によると、個人事業で創業した場合、1 年後に残っている生存率は 60%だそうです。40%が 1 年目にギブアップしてしまっているということになります。5 年後は 25%、10 年後は 10%とどんどん生存率が低くなっていきます。法人の場合、生存率は高くなります。

資金不足になると生存率が下がっていく

売上ダウンは事業存続問題につながっている/写真 AC

生存率が下がっていく問題に、資金不足等が挙げられます。資本金や開業資金が少なかったとしても、売上が順調に伸びていれば会社にはお金が入ってくるので、そのお金を利用して設備投資や研究開発費にお金を使って成長していくことができます。しかし、売上がないと、資本金を取り崩していくなどでお金がどんどん枯渇していくのです。


法人の場合は個人よりも信用力が高くなるのでより大きな売上を立てやすいというメリットもあります。起業は個人事業のほうがしやすいのですが、継続をさせる上では法人のほうが事業を続けやすいのかもしれません。


しかし、法人化する目安としては売上が 1000 万円程度からと言われています。法人の場合、赤字でも年 7 万円の法人住民税均等割を支払う必要があります。また、申告も個人より複雑になってきます。

ワークライフバランスは実現できるのか

売上が順調に増えた場合も個人で 1000 万円を稼ぐ場合、会社員の時と比べると長時間労働になることもあります。なぜなら、自分で営業、決算も含めた事務処理等をこなす必要があるからです。売上が 1000 万円程度の場合、人を雇うことも困難で、パートでお願いをするくらいしかできないでしょう。税理士等の専門家を雇う場合も、領収書の提出なども必要になるので一部の申告業務は自分でやらないとなりません。


こうした事務処理などの業務を効率化させていかないと自営業でワークライフバランスを実現させることは困難でしょう。この辺りは最新のテクノロジーを活用させることによって低コストで会計業務などのアウトソースをさせる手段もあります。この連載でも後ほど紹介していこうと思っています。


私自身も独立をしてから最初の 4〜5 年間は 365 日 24 時間フル稼働な感じで一生分に近いくらい働きました。しかし、現在はそのナレッジ等の貯金があるので、1 日数時間働いてある程度の収入を得られるようになりました。そのような状態になるためにはある程度の時間を投入しないと難しく、それを超えられる人が少ないのかもしれません。

この記事を書いた人

花輪陽子
花輪陽子リストラから1級FP
1978年生まれ。シンガポール在住1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®認定者。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系投資銀行に入社。リーマンショックにより夫婦2人でリストラを経験。FP1級取得後、雑誌や書籍での執筆など幅広く活動。

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