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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル口下手でもOK!説得力のあるコミュニケーションは事前準備で誰でもできる【プレゼンテーション、口頭での報告】

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半径5メートルのビジネスを進めていくには「人を巻き込む」必要があります。伝えたいことを「口頭・プレゼンテーション」にして実際に伝えるためのポイントを教えます。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

そもそもビジネスにおけるコミュニケーションの究極の目的は「相手に自分のしてほしい行動をしてもらうこと」。そのために、相手の状況を理解し、伝えたいことを整理してコンテンツを作り、言葉・文章にして実際に伝えていきます

「言葉・文章して実際に伝える」具体的な方法とそのポイントについて、前回と今回の2回で解説していきます。

口頭、プレゼンテーションで説得力のあるコミュニケーションをするには

写真/CANVA

今回と次回で、ビジネスにおけるコミュニケーションで、言葉・文章を使って表現する方法について3つの観点からそのポイントを解説します。

今回は「口頭」「プレゼンテーション」について扱います。

(1)文章でのコミュニケーション

(2)口頭でのコミュニケーション

(3)プレゼンテーションでのコミュニケーション

内容メモを使えば口頭でのコミュニケーションは怖くない

口頭でのコミュニケーションでも、ピラミッドストラクチャーは使えます。

とはいえ、自分の頭の中だけで整理して話すことは難しいもの。 ピラミッドストラクチャーで内容を整理し、話す内容はメモなどの形で、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。

写真/CANVA

【事例】松井ゆみさんの場合

メインメッセージ(結論)
エリコさんの店の強みが行かせて、シナジー効果も期待できる、私のお店と販売提携してはいかがでしょうか?
 
理由は3つあります。
1つ目は、エリコさんにとって具体的メリットが3つあるから(キーメッセージ)です。具体的には××(情報)だからです。
2つ目は、エリコさんへの負担は増えません。なぜならば…。
3つ目は、競合対策になり、中長期的にも将来性が期待できるからです。というのも…。
メインメッセージ(結論)
ということで、エリコさんの店の強みが行かせて、シナジー効果も期待できる、私のお店と販売提携すると良いと思います。いかがでしょうか?

上記のように、一番最初にメインメッセージ(結論)「~である」を述べます。

次に「理由は3つあります。1つ目がまず●●(キーメッセージ)です。なぜならば××(情報)だからです。2つ目に・・・」という風に、キーメッセージで論拠を順に述べます。

最後に「ということで、3つの観点から、●●すべきだと私は考えます」とメインメッセージで締めると、非常にロジカルで相手の納得を得やすいコミュニケーションになります

いいプレゼンテーションは「中身」×「見せ方」で決まる

写真/CANVA

そもそも「プレゼンテーション(以下プレゼン)」とは、情報を伝える手段の一つで、ビジネスにおいては「計画・企画・見積などの情報を会議などの場で発表、提示すること」を指します。営業職や企画職の経験者であれば、社内外でプレゼンを受けたり、実施したことがある方もいるでしょう。

プレゼンテーションの構成要素はその「中身」と「見せ方」です。よって、「いいプレゼンテーションとは」を突き詰めると、次の2つで表すことができます。

中身=「コンテンツがしっかりしている」こと

見せ方=「発表の仕方(プレゼン)がうまい」こと

この2つを満たせば「いいプレゼンテーション」に近づけることができます。

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

中身は、「シンプルに、わかりやすい」ことが一番

しっかりとしたコンテンツとは、主張が具体的で論理的な(ロジックが通っている)ものを指します。

コンテンツを作成する際のポイントは「Keep It Simple  Stupid」、シンプルに、わかりやすく、です。(KISSの原則)

パワーポイントなどでスライド資料を作成する際は、具体的に次の3点を意識してコンテンツを作成していきましょう。

①ピラミッドストラクチャーを意識した構成

第29回第30回のコラムを参考にピラミッドストラクチャーを考え、最初から順に読んでいって「スッ」と頭に入るように構成を組み立てていきます。

②1スライド1メッセージ

1つのスライドに書ける内容はそれほど多くありません。また、複数のメッセージを1枚に詰め込んでしまうと、本当に伝えたいことが埋もれてしまいます。

そのスライドで「伝えたいこと」がしっかりと伝わるように、1スライド1メッセージに絞りましょう。

③プレゼン相手の読みやすさを意識

フォント:「小さなフォント」「変わったフォント」「凝ったアニメーション」などは極力避けます。強調する箇所は「太字」や「色変更」などで十分表現することができます。

全体の構成:スライドに書く文章は余計な言い回しを省いて、出来る限り簡潔にしましょう。伝えたいことを視覚的に表現した表・グラフ・絵も組み合わせて、文字ばかりにならないようにします。

余白を適度にとる:適度に余白を取ることで文字が読みやすくなり、伝えたい内容への集中させることができます。

配布資料として活用する:相手と個別又は少人数で対面で話す場面でも、パワーポイントなどで作成した資料は活用可能です。自分のパソコンやタブレット端末を見せながら、あるいは印刷した資料を渡すなどです。

発表の準備は何をしたらいい?

プレゼン資料の準備が出来たら、発表の準備をしていきましょう。

「半径5メートルのビジネス」では、巻き込む相手と対面で話す場面が想定されます。今回は特に面談の席で使えるTipsを紹介します。

【準備時のポイント】

①「これをどうしても伝えたい」というメインメッセージを持つ

「自分のビジネスに巻き込みたい」というゴールは同じであっても、その相手ごとに「どうしても伝えたい」ことを決めます。

②十分な練習を積む

悪いプレゼンの原因の8割が練習不足によるものと言われています。

とはいえ一言一句覚える必要はなく、「ストーリー展開」を覚えておけば大丈夫です。資料を作成したら必ず口に出して読んでみて、自分が話しやすい「口に馴染んだ」言葉を選んでおきましょう。

③全体の発表時間の長さがどのくらいになるかを把握しておく

④本番では相手がだれであろうと、何が起ころうと動じないという心構えを持つ

【話す時のポイント】

①間や声の抑揚・スピード・ボリューム、手などの動作などに変化を持たせることで、相手を飽きさせず、メインメッセージに集中してもらえるように工夫します。

②アイコンタクトを忘れずに、相手の目を見て語りかけます。
ただし、「最初の仲間、共同創業者」へのアプローチなどは、横に並ぶ、相手と90度の位置に座るなど、「常に目線を合わせる必要がなく適度にリラックスして話せる環境」を作るのも一策です。相手との関係性に応じて検討してみましょう。

③次のスライド・次の文言を言う前に「枕詞」を用意します。例えば、「こういうことが、今課題です。そこで…」「●●と言われていますが、実際はどうだと思いますか?」などです。

こうすることで、ロジックを作ることができ、相手の印象に残りやすくなります。

想いを込めた「半径5メートルのビジネス」だからこそ、ロジカルに伝える方法を知り、必要な人を巻き込もう!

今回は、必要な相手を巻き込むために、ピラミッドストラクチャーを活かして「説得力のあるコミュニケーション」を言葉・文章で伝える方法について紹介しました。

具体的な行動一つ一つは至ってシンプルで、当たり前のことだと思われる内容もあったかもしれません。

しかし、私たちは自分の思いを込めた物事ほど、客観的に見たり考えたりすることが難しくなります。

「あなたの思いは伝わったけど、具体的な情報が足りない、結局何をしてほしいのかわからない」となると、相手に自分のして欲しいことをしてもらうことはできません。

あなたの想いがこもった「半径5メートルのビジネス」だからこそ、ロジカルに伝える方法を知り、万全の準備をして必要な相手を巻き込んでいきましょう。

さいごに
人生の選択肢に「半径5メートルのビジネス」を

「半径5メートルのビジネスモデル」の連載は、今回で最後となります。

働き方・生き方の多様性がある今、連載を読んでいるみなさんの、今の働き方や生活環境も人それぞれでしょう。

連載を読んで、副業や起業が自分の人生に活かせそう、と思ったら、ぜひ活用していってください。

一連の連載で紹介してきたステップを活かして、実際に「副業」「起業」という選択肢を人生に取り入れていただくもよし、自分の人生そのものを「ビジネス」に見立てて、人生の戦略を考えるのに活用していただくのもよし、です。

読者のみなさんの今後の人生の選択肢の幅が広がり、それぞれが「自分らしい」キャリアを実現していく一助となれば、筆者冥利に尽きます。

2022年の年の瀬も迫ってきました。

ぜひ年末年始に「一年の計」を立てる際にもご活用ください。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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