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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデルビジネス文書は「ちょっとの工夫」でぐっと伝わりやすくなる【メール、報告書、資料作成】

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半径5メートルのビジネスを進めていくには「人を巻き込む」必要があります。伝えたいことを「言葉・文章」にして実際に伝えるためのポイントを教えます。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

そもそもビジネスにおけるコミュニケーションの究極の目的は「相手に自分のしてほしい行動をしてもらうこと」。そのために、相手の状況を理解し、伝えたいことを整理してコンテンツを作り、言葉・文章にして実際に伝えていきます

「言葉・文章して実際に伝える」具体的な方法とそのポイントについて、今回と次回の2回で解説していきます。

文章で「相手にして欲しい事」を伝えるには?

写真/CANVA

今回と次回、ビジネスにおけるコミュニケーションの中でも、「言葉・文章を使って表現する方法」について3つの観点からそのポイントを解説します。

今回は特に他の表現方法の根幹となる「文章」について扱います。

(1)文章でのコミュニケーション

(2)口頭でのコミュニケーション

(3)プレゼンテーションでのコミュニケーション

文章でのコミュニケーションのポイント

ビジネスにおけるコミュニケーションにおいて、文章を作成することは欠かせないステップの一つです。

まずは次の2パターンを押さえれば、次回の口頭やプレゼンテーションにも活かすことができます。

■メモやメールの作成のポイント

写真/CANVA

基本的には以下の2つのポイントに集約されます。

ピラミッドストラクチャーを用いて整理した内容を、次の要領で記載していきます。

・一番上にメインメッセージ(結論)を書いて、キーメッセージを理由としてつける

・それぞれのキーメッセージの下の情報はインデントを付けて字下げしたり、中点「・」などで区別しやすいように見た目を整える

【事例】松井ゆみさんの場合

知育玩具の企画・製造・販売を考えているゆみさんが、ベビー用品の輸入販売ECサイトを運営する友人エリコさんに販売提携を提案するという場面。

ゆみさんはエリコさんの家を訪問して対面で話すにあたり、次のような手渡しメモを作成しました。

エリコさんの店の強みが行かせて、シナジー効果も期待できる、私のお店との販売提携のご提案
エリコさんにとっての具体的なメリット3つ
・エリコの店の主力商品にないアイテムを提供できる
・新規顧客獲得できる
・XXX

エリコさんへの負担は増えません。
・コストをかけずに商品数を増やせる。
・商品の企画から検品、発送作業まで私の店がやります。
・XXX

競合対策になり、中長期的にも将来性が期待できます。
・幼児英才教育や国内玩具の市場規模は……
・競合では……

■「文章がうまい」だけでは相手に読まれない!?
「相手に読んでもらえるメール」のチェック項目7つ

写真/CANVA

「相手に読んでもらえるメール」を書くためには、7つのチェック項目があります。普段仕事でメールを使っているという方でも、全て出来ているとは限りません。 ちょっとした「相手に読んでもらえる工夫」で、あなたのメールの伝える力をアップさせましょう。

①タイトルが重要

写真/CANVA

読み手は「差出人」と「タイトル」で優先順位を決めるものです。内容を20字程度で端的に表現する、重要度や緊急度が伝わる表記(【重要】【要返信】など)を使用して記載します。

初めてメールをする相手であれば、自分の社名や氏名もタイトルに含めると相手に不信感を与えず開封してもらえる確立も高まります。

例)
【重要】~~~の件【○○商事 山田】

②「To」と「Cc」は誰にするか?

一般的に、アクションを取ってもらいたい人は「To」、情報共有のみでいい人は「Cc」にします。

Ccに記載するメールアドレスはToの相手にも見えるため、メールを送られた全員が誰と情報共有できているのかわかります。

③何をして欲しいかを最初に書く

メールの文章の長さに決まりはありませんが、相手が読む環境(スマートフォン、パソコンなど)によって、文章全体が表示されているとは限りません。

どのような環境でも、あなたが書いたメールを読み進めてもらえるよう、相手に求めるアクションは最初に書くようにしましょう。期限がある場合も、最初に明示します。 

例)
~~の資料はこちらのリンク(https://〇〇)からダウンロードください。(△△/△△までダウンロード可能)

④1スクロール程度の長さに

メールの文章は、長いと読みづらい印象を与えます。また、個人のスマートフォン・パソコン等でメールを読む場合は印刷しないことも多いので、大事なことが読み飛ばされるリスクもあります。

パソコンでメールを読むときに1スクロールの文章量を目安に、必要な内容に絞って記載しましょう。

⑤本文と添付ファイルの使い分け

背景、詳細等を正確に伝えたい場合は添付ファイルを活用します。一方で、データのサイズ(容量)が大きすぎると、送信できない/受信できない場合があるため、配慮が必要です。資料を添付したメールの場合は、メールの送信後にエラーとなっていないか確認をしましょう。
(エラーになった場合は添付ファイルを分割・圧縮でサイズを小さくするか、郵送等別の手段を検討します)

ウェブページ上に公開している情報を活用したい場合は、そのウェブサイトのURLを記載するという方法もあります。

⑥他の手段との使い分け、補完

相手の仕事の仕方や普段のコミュニケーション方法におうじて、電話や面談等によるフォローも効果的です。

口頭での説明を好む相手であれば、要点のみ電話口で話し、詳細はメールで確認頂くなどの使い分けが有効です。

メール以外の手段でフォローする場合、メールは読まれていない可能性も含めて確認します。

⑦その他

その他にも、メールでのやり取りにおいては以下の可能性を押さえたうえで、実行していきましょう。

-転送されるリスク

一度相手の元に届いたメールが転送される可能性はゼロにはできません。不本意なメール内容の拡散を防ぐためにも、正しい相手に正しい内容を送るよう留意しましょう。

-返信等による引用文に注意

メールへの返信を重ねていくと、下方に引用文として過去のやり取りが連なったままになっていることもあります。特に途中からメールの受取人が増えるような場合は、共有すべきでない情報が入らないよう、留意しましょう。

-誤送信リスク

「送信ボタンを押した○分後に送信される設定にする」「画面上で指差し確認する」など、宛先、内容のダブルチェックをする仕組みを取り入れることが有効です。

■報告書やレポートの作成のポイント

報告書やレポートでは、Eメールやメモと同様の構造で、情報は言葉を補って文章化してまとめます。

文章量が増えるため、キーメッセージ毎に段落分けをするなど、読みやすいように工夫すると良いでしょう。


読みやすい文章のコツは「伝えるべき情報をカスタマイズする」

今回松井ゆみさんの事例にもあるように、半径5メートルのビジネスに人を巻き込むという場面では、相手や内容に応じて表現方法をカスタマイズすることが欠かせません。

次回は「口頭」「プレゼンテーション」でのコミュニケーションについて解説します。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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