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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル最初に「誰を」巻き込めば、ビジネスは成功する?

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半径5メートルのビジネスを進めていくには「人を巻き込む」必要もある、ということで、第27回では「ビジネスにおけるコミュニケーション」、第28回、第29回では「伝えたいことを整理するピラミッドストラクチャー」について解説してきました。今回からは、具体的に「誰を」「どうやって」巻き込むかについて扱います。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

たった一人じゃ起業・創業できない!

写真/CANVA

副業であれ、起業であれ、ビジネスを始める際にはビジネスプランを立てることと同じくらい重要なことがあります。

それが「誰を」巻き込むかということです。さらに、それぞれを「どうやって」巻き込んでいくのか、具体的に巻き込むためのアプローチについても解説していきます。

成功のために「誰を」巻き込むか

写真/CANVA

ビジネスの創業時期にビジネスモデルや事業計画が出来たら、次に必要なものとして、

(1)「人」

(2)「お金」

(3)「最初のお客さん」

の3つが挙げられます。

「半径5メートルのビジネス」では、自分一人でやる、手元のお金でやるなど、「人」「お金」については必ずしも必要でないケースもあります。しかし、一人だけでは、手元資金だけでは、事業継続に一抹の不安が残ったりするもの。「人」「お金」は必要でないケースでも、転ばぬ先の杖、ここで具体的に「誰を」巻き込む必要があるのか押さえておきましょう。

(1)「人」=最初の仲間、共同創業者

写真/CANVA

ここでいう「人」とは、一緒にビジネスをする「仲間」や「共同創業者」を指します。

私がしている「経営コンサルタント」のような一人で出来るビジネスならともかく、何か商品・サービスを作って販売するとなると、商品を作る人やサービスを売る人のように、基本は仲間が必要になります。

とはいえ、半径5メートルのビジネスの創業時期で実績も何もない段階では、簡単に人が集まるものではありません。まずは自分のビジネスに必要で、自分にないものを補ってくれるスキルを持つ存在が身近にいないか、探してみましょう。

特に創業時期に立ち上げに関わって、廉価もしくは無報酬にも関わらず、多くの時間やエネルギーをかけてくれる人や、スキル・ネットワークなど特別なリソースを提供してくれる人は共同創業者になる場合もあります。

(例)松井ゆみさんのビジネスの場合

松井ゆみさんは企画開発から営業まで主となって行う創業者で、姉の奥平まゆさんは創業時からデザイナーとして商品企画に携わる共同創業者です。

(2)「お金」=最初の資金提供者

写真/CANVA

ここでは創業時のお金を得るために必要な人、つまり「最初の資金提供者」を指します。

「誰が最初の資金提供者になるか?」は、ビジネスの業種や目指す規模によっても異なります。コンサルタントやコーチなど、初期費用がほとんど必要ない仕事であれば手元にあるお金(以下「自己資金」)で十分でしょう。しかし、飲食店など初期費用の金額が大きい場合は、自己資金だけでは足りず資金調達が必要です。

「半径5メートルのビジネス」の創業期の場合の資金提供者としては、「3F」と銀行・公庫のいずれかが現実的な選択肢となります

3Fとは、「Founder(自分)」「Family(家族)」「Friends(友人)」のことです。

「Founder(自分)」の場合、自分で準備出来る金額が上限となるという制約はありますが、資金提供者からのビジネスへの口出しはなく、利益を分配する必要もありません。

「Family(家族)」や「Friend(友人)」の場合は、人間関係も絡むため、返済や利息の要否、金額についてあらかじめ決めておくなど、対応には十分な注意が必要です。

銀行・公庫は、3Fより多額の、まとまった資金の提供者です。ビジネスを始めてから半年、一年で十分な売上があがる見込みがあれば、銀行から借入を受けられる可能性は高まります。

創業期における資金提供者として、3Fや銀行以外に、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家なども挙げられますが、「半径5メートルのビジネス」の枠を超えるためここでは割愛します。

(3)「最初のお客さん」

お客さんとは「その商品・サービスをよいと思ってお金を支払ってくれる人」のことです。(「商品・サービスを“無料だから”使う人」は含みません)

最初のお客さんは、「売上をもたらす存在」である以上に、自分のビジネスにとって一番の成功体験であり、その後の実績につながっていくものです。

だからこそ、最初のお客さんには必ず満足してもらうことが重要で、「そのために何でもやる!」という徹底したサポートが大事です。

最初のお客さんに満足してもらうために試行錯誤する中で、様々なヒントを得ることでしょう。商品・サービスの改善に活かすことはもちろん、自分の商品・サービスにおいて「尖らせるべき強み」が分かる場合もあります。また、最初のお客さんの満足を得ていく過程は、自分や、関係者の自信につながります。

最初に作った商品・サービスのままで、すぐに成果が出る、出続けることはあまりありません。だからこそ、最初のお客さんを通じて商品・サービスを磨き上げ、自信を得て、ビジネスを継続していくことが、結果として次の実績を積み重ねていくことにつながるのです。

創業期に巻き込むべき3つの存在

写真/CANVA

今回は創業期に必要な「人」「お金」そして「最初のお客さん」という3つの観点から、「誰を」巻き込むかについて解説してきました。

次回、この3者を「どうやって」巻き込むか、解説していきます。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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