Series
連載

高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル「どうやって」ビジネスに必要な人を巻き込むの?

ログインすると、この記事をストックできます。 ログイン

半径5メートルのビジネスを進めていくには「人を巻き込む」必要があります。前回、創業期に必要な「人」「お金」「最初のお客さん」という3つの観点から、具体的に「誰を」巻き込むかについて解説してきました。今回は、ビジネスの創業期に必要な上記の3者を「どうやって」巻き込むかについて扱います。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。

私は相手にとってどう役に立てるの?

写真/CANVA

今回のテーマは「どうやって」必要な人を巻き込むか、つまり「どうやって」相手に自分をしてほしいことをしてもらうか、ということです。

第27回で述べた通り、コミュニケーションをして「納得してもらう」、さらに「共感してもらう(その気になってもらう)」ことで、(自分が望む)よりよい行動をしてもらう、ということが目指すゴールです。

巻き込みたい人に「何を伝えればよいか」というと、「(相手がしかるべき行動することが)その人自身の役に立つ」と思ってもらうことです。

例えば、私たちが何かを買う、という行動をとるのは、買うことが「自分の役に立つから」に他なりません。

半径5メートルのビジネスに人を巻き込むには、相手が誰であれ、それぞれの人に伝わる形で「(ビジネスに巻き込まれることが)自分の役に立つ」ということを示す必要があります。

それでは、三者について具体的に何をどのように示していくのか、みていきましょう。

「最初の仲間、共同創業者」へアピールすべきことは?

(1)やりたいことを強力な熱量で伝える

写真/CANVA

ビジネスの創業期で、実績もまったくない状況において、「このビジネスは儲かるから一緒にやろう」というだけで一緒に働く仲間がついてくるでしょうか? 単に「お金を稼ぐ」だけであれば、より安全・確実な方法が世の中にいくらでもあります。

では何を伝えるべきでしょうか?

ここでアピールすべきは「Why you(=なぜ自分がこのビジネスをしようとしているのか)」です。

「このビジネスをやる意味」を熱く伝えていくと、その熱さが相手を動かし「この商品・サービスは世の中のためになる」「この商品・サービスを作る/提供する時間が楽しい」と思ってもらえたりするものです。やりたいことを熱く伝えることで、自分の描くビジョンに共感し、ついてくる人が出てくる可能性が出てくるのです。さらに「自分自身の原体験」を加えると、自分のやりたいことが自分だけの「創業ストーリー」になります。

(2)リアルなインセンティブ

写真/CANVA

資金的に余裕のない創業期ほど、無償や廉価で協力してくれる存在はありがたいかもしれませんが、中長期的に安定的にともに働く仲間を求めるなら「相手のインセンティブ」への配慮は欠かせません。

もっとも分かりやすい形は「対価を支払う」こと。副業やアルバイトとして時給で払う、制作・販売などの実績に応じた成果報酬で払うという選択があります。フルタイムで関わってもらうとなると「生活できるだけの収入を出せるか」も考慮していきます。

また、インセンティブは金銭的なものに限らず、「彼/彼女のキャリアにどんなプラスがあるか」「どんな経験が出来るか」「どんなスキルを活かせるか」なども、十分インセンティブになりえます。

働く上で大事なことは、やりがい、働きやすさ、キャリアアップなど、人それぞれ。対話の中で「相手が大事にしていること=価値観」を引き出して、相手に響くインセンティブを考えてみましょう。

「資金提供者」が求めるものとは?

(1)金銭的なリターン

写真/CANVA

資金提供者は「資金」を提供してくれる以上、そのリターンとして金銭的には「利息」があります。

金融機関にとっては、「利息を確実に得られる相手であるか」が重要です。そのため後述する「安心感」への配慮も欠かせません。

3F(※1)の中の「Family(家族)」「Friends(友人)」は特に「応援したい」という思いが強くて支援してくれることがほとんどでしょう。一般的に金融機関と比較してリターンに関する要求が厳しくないでしょう。

※1:3Fとは、「Founder(自分)」「Family(家族)」「Friends(友人)」のこと

とはいえ、家族や友人だからこそ「返済の要否や利息をいくらにするのか」は出来るだけ早いうちに明確にしておく方が良いでしょう。いざビジネスを本格的に始動してからでは、ビジネスの状況によって返済・利息への要求が変化する可能性も十分にあり得ます。

(2)安心感

写真/CANVA

金融機関では「きちんと利益を生み出せるビジネスモデルか」と同じくらい、「経営者自身はきちんと返済・利息支払いをする意思・能力があるか」が見られています。

「このビジネスにはこれこれというビジョンがあり、そのためにビジネスをどんどん成長させます」という熱意は当然として、「具体的な数値や行動の計画」や、「いざという時に逃げない」という覚悟も合わせて伝えていきましょう。

「最初のお客さん」に対してすべきことは?

写真/CANVA

あなたが半径5メートルのビジネスを始めた時、世の中に生まれたばかりの商品・サービスはまさに「海の物とも山の物ともつかないもの」。
正体がよくわからないし、この先どうなっていくか分からない、という状態です。

そういう商品・サービスを人が買ってくれるのは、なぜでしょうか?
もちろん、その商品・サービスにより「お客さんの困りごとを解決する=直接的に役に立つ」ということは理由の一つでしょう。

もう一つ理由を挙げるとすると、「あなたのビジョンへの共感」です。
スポーツ観戦が好きな人やアイドル・歌手のファンがお金や時間をかけて応援する姿にも表れているように、人は「この人の夢・ロマンにかけたい」と応援する対象を求めることがあります。

ビジネス・商売においても同じです。似たような商品やサービスがあったとしても、あなたのビジョンに共感するできる相手であれば、応援する気持ちからあなたの商品・サービスを選ぶ可能性が大いにあり得ます。

さらに、応援する気持ちから買ってくれる人は、ファンになってリピートして買ってくれたり、周りの人に口コミで宣伝してくれる可能性が大きい人でもあります。

あなたならではの「熱量」がカギとなる!

ここまで3者を「どうやって」巻き込むかを解説してきました。3者の特徴に応じて、「役に立つ」ことを具体的に示すことがポイントです。共通しているのは、あなたの創業ストーリーやビジョンを、熱量を込めて伝えることです。

「半径5メートルのビジネス」の創業時は、成果として見せられるものが何もない、という場合も多いでしょう。そんな時にあなたのビジョンへ共感を得るには、あなたの創業ストーリーを伝えることが一番効果的です。

もちろん、内容もそうですが、最も大事なのは「熱量」です。

創業のストーリーを、熱量を込めて語ること。

あるいは、どうしても巻き込みたい相手の元へは、(必要であれば)何度でも通って伝えるなど熱量を行動で示すこと。

そんな風に、ビジネスを創ったあなたならではの「熱量」こそが、ビジネスを次のステップへ進めるカギになります。
次回は、「巻き込む」ためのプレゼンテーションの具体的なポイントについてお伝えしていきます。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

ログインすると、この記事をストックできます。 ログイン

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン