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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデルビジネスは伝え方が9割!ビジネスが加速する思考を整理する方法(ピラミッドストラクチャーその2)

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ビジネスにおけるコミュニケーションの究極の目的は「相手に自分のしてほしい行動をしてもらうこと」。そのために、相手の状況を理解し、伝えたいことを整理してコンテンツを作り、言葉・文章にして実際に伝えていきます。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

ビジネスにおけるコミュニケーションの究極の目的は「相手に自分のしてほしい行動をしてもらうこと」。そのために、相手の状況を理解し、伝えたいことを整理してコンテンツを作り、言葉・文章にして実際に伝えていきます。

「納得を作り出すコミュニケーション」のコアとなる「伝えたいことを整理する」ために、有用なフレームワーク「ピラミッドストラクチャー(ピラミッド構造)」を前回と今回の2回で解説していきます。今回は(その2)として、ピラミッドストラクチャーの具体的な作り方について扱います。

ピラミッドストラクチャー、大事なステップは4つ

ピラミッドストラクチャーの構成要素は「メインメッセージ」「キーメッセージ」「枠組み(論点のセット)」「(根拠となる)情報」の4つです。

これらの構成要素について、次に示すように「メインメッセージ」から4つのステップで作成していきます。

今回は松井ゆみさんの事例と共に、ステップごとに確認していきましょう。

【事例】 松井ゆみさんの場合

会社名MY Toy box(マイトイボックス)
事業内容知育玩具の企画・製造・販売、情報提供

ビジネスを創めるにあたり、ベビー用品の輸入販売ECサイト「ベビーショップ・エリーズ」を運営する友人エリコさんと販売提携できないかと考えている。エリコさんを「巻き込む」べく、ピラミッドストラクチャーを使って伝えたいことを整理することにした。  

ステップ① 主題を踏まえて、メインメッセージのイメージを持つ(上図①)

ピラミッドストラクチャーでは、最初に考えるべきなのは「(主題を踏まえた)メインメッセージ」です。

主題(テーマ。コミュニケーションでの議題)を踏まえて、自分の言いたいこと「メインメッセージ」のイメージを考えます。この段階では、「●●すべき/すべきではない」程度で構いません。

【事例】 松井ゆみさんの場合

友人エリコさんがゆみさんとの協業を考えることが議題なので、主題を「ベビーストア・エリーズは、MY Toy boxと協業すべきか」と想定。 メインメッセージは「エリコさんにとってメリットあるので、ゆみの店と販売提携すべきである」とイメージを定めました。

ステップ② メインメッセージに対して何を考えるべきか、枠組み(論点のセット)を考える(上図②)

何を考えれば「主題」に答えることができるのかを考えます。ここでは、効率的に考えるため、そして、必要な事柄のヌケモレや重複のないように、枠組み(論点のセット)を考えていきます。

既存のビジネスの枠組みである3C(市場、競合、自社)などを用いることもあれば、独自で定める場合もあります。

【事例】 松井ゆみさんの場合

ゆみさんは既存の枠組みでピンとくるものがなく、「自分が業務提携を検討するなら、何を重視するか」と考え、次の3つを枠組み(論点のセット)に定めました。
・内部環境① エリコさんへのメリット(定性、定量、強みを活かす、弱みを補う、シナジー)
・内部環境② エリコさんへの負担(想定される発生する負荷と、その対策)
・外部環境(市場や競合の動向)

ステップ③ 論点ごとに関連した情報を集めて、整理する(上図③)

論点ごとに、関連した情報を集め、整理していきます。

「半径5メートルのビジネス」に関しては、これまでにビジネスモデルや事業計画を策定する過程で得た情報を活用することもできます。情報が不足している論点がある場合は、新たに情報を収集していきます。

【事例】 松井ゆみさんの場合

ゆみさんは、エリコさんに販売提携を提案するために次のような情報を集め、整理しました。  

ステップ④ 論点ごとに意味合いを引き出し(So What?)、論理の妥当性をチェックする(Why So?)(上図④)

論点ごとに、整理した情報について「So What?(だから何?要するに?)」と問いかけ、その複数の要素から意味合い(キーメッセージ)を出していきます。キーメッセージを出したら、「Why So?(なぜそう?)とツッコミを入れて、論理の妥当性をチェックします。

全ての論点についてキーメッセージを引き出せたら、メインメッセージを具体的に決めていきます。

ステップ①ではメインメッセージのイメージを考えるところまででしたが、ステップ④では、主題に対して「最終的にこうだから業務提携すべきだよね」という風に具体的なメインメッセージを引き出していきます。

このステップを経て、ピラミッドストラクチャーの完成となります。

【事例】 松井ゆみさんの場合

論点ごとに整理した情報群から、意味合い(キーメッセージ)を引き出しまとめていきます。さらに、全ての論点のキーメッセージから、メインメッセージを引き出すと次のようになります。  

箇条書きのままでは考えは伝わらない!
伝え方はビジネスの最大の武器

話を整理したり、伝える際に、箇条書きが使われることもありますが、情報の羅列+最後に自分の主張、というだけでは、相手には「あなたの思考の流れ」や、「検討に必要なことが網羅できているか」などが伝わることはありません。

ピラミッドストラクチャーで「伝えたいことを整理する」ことで、相手に「自分がしてほしい行動をしてもらえる」可能性はぐんと高まります。

「半径5メートルのビジネス」では、いかに自分以外の人を巻き込むか、が重要になってきます。今回紹介したピラミッドストラクチャーを使えば、「論理的に物事を考える力・伝える力」を鍛えることもできます。

思考は習慣であり、筋肉トレーニングと一緒でつかないとすぐ落ちてしまうもの。ぜひ、日常生活でも自分の頭の整理にピラミッドストラクチャーを活用して「ロジカルなコミュニケーション」を身につけていきましょう。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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