自分でできるマーケティング入門「衝撃」を超える「感動」サービスは、たった1枚の「友人メモ」だった

「売上げのためには新規顧客の獲得が必要」は本当か?顧客管理の専門家・室橋健が教える、たった1枚のメモからはじめる「魔法の顧客管理術」。
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目次
「友人メモ」を徹底していたインドネシア人のアテンドがすごすぎた
2015年4月30日(木)の夜、わたしは千葉・成田空港から韓国・インチョン空港に到着しました。韓国・ソウルで仕事をしているインドネシア人の知人と合流し、ロシアのウラジオストックに小旅行をするためにトランジットでソウルに立ち寄ったのです。
インドネシア人の知人は日本の大分県・別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)を卒業後、韓国・ソウルにある名門・延世大学院に留学。卒業後にソウルの大手銀行で働いていました。「ウラジオストックに旅行したいので一緒に行かないか」と誘われて、旅行することにしたのです。
インチョン空港で久しぶりに会って会話をしている時に「ケンさんは鶏肉が好きだけど辛いものは苦手だから、ソウル市内にある参鶏湯のレストランを予約しておいたよ。」と唐突に言われました。

わたしは、その的確なレストラン予約に驚愕しました。
確かにわたしは、辛いものが得意ではなく参鶏湯やチャプチェ、ケランチムといった辛くない韓国料理が好きでした。しかし、自身の味の好みを伝えた記憶はまったくなかったので、言い当てられたことに驚きを隠せません。
「なんで、僕の味の好みまで知っているの?」と質問したところ、
「iPhoneの連絡帳に、ケンさんの情報は全部メモしているよ」と言われました。
懇願して「そのメモ」のぞかせてもらうと、自分でもいつ伝えたか覚えていないことまでびっしりと、事細かに、私の好みや会った場所等の情報が書かれていました。
わたしはこの「友人メモ」を覗いて、鳥肌が立つくらいの衝撃を覚えました。
この衝撃は「感動」レベル
これが、わたしが人生で初めて出会い、いまでは仕事になっている「メモ」の原体験です。
日本や韓国という異国の地で、勉強や仕事をするインドネシア人の彼にとって、知人の趣味やできごと、嗜好をすべてメモで書き出してストックしておくことが日課になっていたことを意味します。
海外で多言語で生き抜くための秘訣が「知人情報を忘れないように徹底的にメモすること」だったのです。
四六時中触るスマホの連絡帳を魔法のメモに

読者の皆さんは、「そんなに大変なメモ、自分にはできないよ…」と感じられたかもしれません。ご安心ください。
一番大事な人、ひとりだけでいい
大勢の人を徹底的にメモをする必要はございません。たった1人だけ、一番大切な人にフォーカスしてメモを書くことをオススメいたします。
親、兄妹、パートナー、親友、尊敬する上司、恩師、最重要クライアント、メンター……。
人によって最も大切な人は違いますが、必ず1人は皆さんに影響を与えてくれる大切な人がいるはずです。あなたにとって「最も大切な人」、たった1人だけまずはメモしてみましょう。
スマホの連絡帳を利用する
手っ取り早く無料でスタートするために、いまお使いのスマートフォンの連絡帳からはじめます。
連絡帳には、個人情報だけでなく、メモが記載できる欄が設けられていることが多いので、そちらに「知人メモ」を書いていきます。
もちろん、毎日利用している日記帳やよく利用されている紙のメモやノートでも構いません。大切なことは「書き出す」ことにあります。
まずは名前・誕生日・趣味だけでいい
まずは名前から再確認しましょう。「いやいや、そんなの知っているって」と思うかもしれません。しかし、実は漢字を間違えていたり、よみがなが間違っていたり、漢字が旧字体だったり、結婚や離婚をされて名字が変わっていたりするかもしれません。まずは正しい名前から確認しましょう。
自分がしてあげられることを書く
次に、誕生日はいつで、どんな趣味をお持ちで、何が好みで、何にいま困っているでしょうか。
わかっている情報を書き出してみることで見えてくる、「これなら自分が貢献できるかも?」と思うポイントもメモに追記しましょう。
サンプルとして、下記の情報をまず記載してみましょう。もしわからなければ次回お話する際にさりげなく確認し、このメモに追加します。
沢山書けるということはその人のことを知っていること。そして、書けないのであればその人について「知っているつもり」なだけで、実は全然知らなかったということになります。
「魔法の顧客管理」まとめ
メモに書くこと
名前 (よみ方、正しい漢字名)
連絡先 (電話番号、メールアドレス、LINEアカウント)
誕生日
次号に続く。
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この記事を書いた人

- 顧客関係管理の外資系IT企業でマーケティングマネージャー。慶応義塾大学卒業後、リクルートとベンチャー企業でデジタルマーケティングの仕事の従事。2011年から1年間、中国・北京の清華大学に留学。ホテル暮らしで日本全国を移動しながらフルリモート勤務を続けていたが、2022年春より京都の町家に定住。顧客管理のメモ理論を実践している。