1人で会社を切り盛りする「ひとり社長」こそ、商品を売るより、ブランディングをすべき納得の理由
起業家、個人事業主、フリーランスは「ひとり社長」。ひとり社長にとって大事なのは自分の実働以外でも働いてくれる《何か》を持つこと。ブランディングコンサルタントの小澤歩さんに聞きました。
目次
「理念」を掲げるのがブランディングの第一歩
「ブランディング」といえば、大きな企業がマーケティングの一環として行うものと思われがち。ですが、フリーランス・個人事業主を含む「ひとり社長」こそ、ブランディングが必要――そう説くのは、ブランディングのコンサルタントで『単価を上げても選ばれ続ける ひとり社長ブランディング』の著者、小澤歩さん。
「お客様を増やし、単価を適正に上げられるなど、ブランディングのメリットははかり知れません」と小澤さんは、その重要性を力説します。
そして、起業してから、ブランディングで最初にすべきこととして「理念」の確立を挙げます。
理念といっても難しいものではなく、例えばデザイナーであれば、「デザインで多くの人に幸せを届けたいと」いったシンプルなものでかまわないそうです。
これがないままだと、「儲かるからやっているでしょ」「ノリで独立しちゃったんじゃないの」というふうに見られるリスクがあります。だから、まずは理念を掲げるわけです。
商品・サービスを売ってはいけない!?
もう1つ大事な考え方として、「売るのは商品・サービスそのものではない」というのがあります。
そうではなく、商品・サービスを利用してその先に、お客様にとってどんないいことがあるかということを、まず考える。
整体院であれば、「コリがとれて快適な生活ができます」「痛みが引いて孫を抱っこできます」という点をアピールします。小澤さんが、デザイン会社のひとり社長であった頃は、「会社の売り上げが上がります」「企業価値が向上します」と伝えることで、単価を上げることができたそうです。
小澤さんは、さらに「付加価値」についても言及します。ひとり社長の会社の付加価値とは「商品・サービスが提供するもの以外の価値」を指します。
例えば、セミナーの仕事で話していて、参加者が穏やかな気持ちになるというのでも、立派な付加価値です。大企業は、担当が変わることがよくあるけれど、ひとり社長だと担当は変わらない。それでお客様も安心できるというのも付加価値なのだそうです。
人は、商品やサービスだけを見て選ぶことは少なくて、それ以外の要素を全部合わせたもので取捨選択します。些細なことが、買う側からしたら付加価値に見えることがあり、それが購入の決め手になることが多いのです。意識的に付加価値を高めていくのが、ブランディングで重要になるわけです。
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この記事を書いた人
- 都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。