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セルフブランディング

「お客様を選ぶ」ことで「選んでもらえる」ようになる? ひとり社長が持つべき意外な付加価値とは?

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起業家、個人事業主、フリーランス、言
い方は様々ですが、要は「ひとり社長」。ひとり社長がビジネスをする上で必要となるのが、自分の実働以外でも働いてくれる《何か》を持つことかもしれない。その何かの一つにブランディングがあります。

フリーランスや個人事業主を含む「ひとり社長」こそ、ブランディングが必要です。お客様を増やし、単価を適正に上げられるなど、そのメリットははかり知れません。『単価を上げても選ばれ続ける ひとり社長ブランディング』(日本実業出版社)の著書を持つブランディングコンサルタント、小澤歩さんにうかがいました。

自社サイトは外見よりも中身

― ブランディングにSNSは必須ですが、その先の戦略について教えてください。

慣れてきたら、少し高度なテクニックとしてSNSの広告で、未来のお客様を集めるもおすすめです。表示された広告が1回クリックされるごとに料金が発生するPPC広告ですと、それなりに予算つけなければいけません。ですが、SNSの広告だと1日数百円から始められます。

InstagramやX(旧Twitter)には、「おすすめ」アカウントを表示する機能があって、そこで表示してもらえると、全く畑違いの人からフォローもあります。それがもとで、新たなビジネスチャンスが生まれたりします。

ただ、SNSだけでは取り引きいただける行動までには、なかなかつながらない。そこで、SNSを動線にして、興味を持ってくれた人が訪れる自分のホームページが必要になります。自分のホームページに誘導するために、SNSのプロフィールにもリンクを貼っておきます。そして、投稿の何回かに1回は、ホームページのリンクをつけて誘導する仕掛けは、絶対必要になります。

ホームページ制作会社はたくさんありますが、最初は外観よりも中身のほうが大切なので、無料ツールを使って自分で作って大丈夫です。ネット上には、ホームページのテンプレートが無料で数多く提供されています。もう少しグレードの高い有償サービスでも、1万円はかからないので、活用しましょう。

それではちょっと不安という場合、WordPressというツールで作ったホームページを10~20万円で制作してもらい、それ以降の更新や改良は自分で行うといいでしょう。

ひとり社長が持つべき意外な付加価値

― 企業の開発戦略では「付加価値」の重要性がよく説かれます。ひとり社長にもそれは必要でしょうか。

付加価値をつくることは、ひとり社長のブランディングでも必要なことです。付加価値というと、大企業の生み出す精巧な製品を連想しがちですが、ひとり社長の場合は、少し違います。ここで言う付加価値とは、商品・サービスが提供するもの以外の価値。例えば、セミナー講師の方が本来の仕事として知識を伝える以外にも、参加者が穏やかな気持ちになったり、参加者同士の交流ができるというのでも、立派な付加価値です。

人は、商品やサービスだけを見て選ぶことは少なくて、それ以外の要素を全部合わせたもので取捨選択します。些細なことが、実は買う側からしたら付加価値に見えることが多いのです。

大企業であれば、担当がコロコロ変わることがあるけれど、ひとり社長だと担当は変わらない。それでお客様も煩わしさがなくなったり、安心できるというのも付加価値です。

気づかないだけで、いろいろな付加価値をみなさんお持ちです。そこに気づいて、意識的に付加価値を高めていくのが、ブランディングで重要になります。

それから、ブランディングの目的の1つに、競合との差別化があります。他にもいっぱい同業がいる中で、自分を選んでもらわなくてはいけません。お客様が、「あの人は他とここが違う」と思っていただいたら、差別化が成立しています。言い換えると、お客様に「独自の価値があるな」と思ってもらわないと、差別化にはなってないのですね。だから、付加価値を発揮することが大切なのです。

「お客様を選ぶ」ことで「選んでもらえる」ようになる

― 最後に、ひとり社長としてブランディング力を高める日頃の思考法について教えてください。

「お客様を選ぶ」考え方が必要です。

今の時代、モノが多すぎるので、あらゆる人向けの商品・サービスは埋もれてしまいます。「どなたにもいいものですよ」というスタンスだと、結局誰からも選ばれない状況に陥ってしまいます。

そこで、お客様が困っていること、望んでいることは何だろうと想定しましょう。マーケティングのペルソナ設定のように、詳細にやる必要はありません。整体師だと、例えば腰の痛みに悩んでいる人にアピールしていく。

腰の痛みに悩んでいる人は、生活習慣などでどういうタイプが多いのか、どういう年代の層が多いのかというふうに考えます。ライターなら、特定分野の専門知識がなく、自分でそれを調べる時間もなく、その方面の記事を必要としているメディア企業などと想定してみます。

このプロセスで、必然的にお客様を選ぶことになります。それに沿って、ニーズのある専門性も高めていきます。そして、「客観的に考える」ことに留意しましょう。ブランディングは、知識だけあっても、物事を客観的に見ないと独りよがりになってしまうことがあります。

ひとり社長は、1人でなんでもしなくてはいけないので、思い込みにとらわれがちです。「自分のセールスポイントはこれだ」「こういうことが求められているはずだ」と決めつけてしまいやすいのでね。客観的な視点で、「自分の強みは、本当は何だろうか」など、考えていくのは本当に大事。その思考習慣をつけていってください。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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