Series
連載

絶対に失敗するカフェの作り方8坪のカフェの店主の収入は11.5万円で売上げの4割?1日の客数を徹底分析してみた

ログインすると、この記事をストックできます。

小さなカフェ店主の収入は11万2千円? 生活していくだけの収入を得るためのカフェの作り方について、珈琲文明の店主赤澤智さんが語ります。

プロフィール

珈琲文明店主赤澤智

(あかざわ・さとる)昭和42年生まれ。メジャーデビューを目指しバンド活動をしながら12年間塾講師としても活動。大手学習塾の教室長及びエリアマネージャーとして4年半正社員として働いた後、2007年40歳の時に横浜市白楽にカフェ「珈琲文明」を開店。創業開始から今日に至るまでの16年以上(コロナ期間も含め)1度も赤字になったことがなく、黒字で長く続けられる経営を心掛けている。著書に「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えを見つけた(祥伝社)」がある。

小さなカフェの店主の収入は一体いくらなのか

前回、ぶっちゃけ8坪の小さなカフェはどのくらい儲かるのか!

店主の収入はいかに!?

と言うお話をしました。

その時使った数式がこちら。

  • 16名(客数)×700円(単価)×25日(営業日数)×0.4(利益率)=112,000円(1ヶ月の収入)

です。そして、①の客数について前回お伝えしましたので、今回は②の単価、③の営業日数、④の1ヶ月の収入についてお伝えしていきます。

珈琲文明の店主赤澤智がお伝えします

小さなカフェで1日に対応できる客数は?

前回、私のお店は土日祝日になると2.5回転以上することが多いと述べましたが、坪数を述べませんでしたね。

私のお店は床面積で言えば10.5坪なのですが、中二階を作ることにより12~13坪ほどになりました。席数は27席あります。

珈琲文明の店内(写真/珈琲文明赤澤智提供)

つまり27×2.5回転=67.5人になりますが、これが8坪の場合、今回の数式通り、16席カウントにすると、16×2.5回転=40人となります。

「40人ならそんなにぶっ倒れるほど大変じゃないはずだ」

そう考える人がいるかもしれません。

はい!これについては、そのとおりだと思います。

40人であればオペレーション的にも適度な余裕も生まれ、理想的な人数ともいえましょう。

しかし、この回転数というものは単純計算できないんです。

ここでしっかり考えないカフェ経営は失敗するかもしれません。

カフェを「満席」にするのは至難の技

10坪以上あるお店が回転するより8坪以下のお店のほうが回転率は「低い」と私は踏んでいます。
つまり、理想的な40人っていう人数は8坪の店舗には至難の業だということ。

その理由を述べますと、まず満席である状態…いや、「満席感」と呼びたいことなのですが、8坪の店内レイアアウトとして

・カウンター8席
・4人掛けテーブル(大)×1
・2人掛けテーブル(小)×2

の計16席を確保したとしましょう。

変に甘くも厳しくもない状態として、カウンターに4人、大テーブルに2人、小テーブルに各1人と2人計3人、これで合計9人。

実際に体感するのが一番ですが、これでもうかなり「満席感」があります。というよりテーブルは一人でも座ってしまえばそこは満席です。

ここで着目すべきはカウンターなのですが、8席のうちすぐ隣の席に人がいないように座った状態は4席です。

外から「ひとつおきに空けて人が4人座っているカウンター」を見た人はきっと「あのカウンターのどこに座ってもすぐ隣に人がいることになる」認識になりますよね。

それは即ち既にお店全体に「満席感」があり、もはや「今はやめておこう」となり、機会損失となります。

こちらの写真を見てください。これは珈琲文明の店内で、「満席感」がある状態です。

この写真でカウンターで空いている席は確かにあります。が、新たに来た人が外から見てこういう状態でそこに座りたいと思いますか?たぶんやめますよね?

カフェはお客さんがその空間に対してもお金を払っているというのは論を待たないことです。

なのですが! 

お客様目線に立てばすぐにわかることも、どういうわけか経営者目線になると途端に「席数がこれだけでこれだけ回転すればいけるから固定費がかかんないように狭いお店でいこう」と妙に強気(ある意味弱気?)になったりするので、どんな時も「一切の店側の理屈は無視して、自分が本当に純粋にお客さんであったとして快適な感じはどんな空間なのか」を忘れないでください。

小さなカフェの売上の最重要根幹は『客数』である

さて、ここまできて、まだ①の「人数」の話しかしてません (笑)。

②の「単価」については今回のケースの場合「最もメインのドリンクメニューの値段が500円の場合」を想定しています。

それが何故700円になっているのか?については画期的と呼べる算出方法(はい、意図的にそうなるように仕向けられる方法)を今後、連載の中で必ずお伝えします。

そして④の利益率(つまりザックリ店主の収入)が0.4、つまり売上の4割であるということについてもちゃんと細かい数字を出して説明しますのでそれもまた後日必ずお伝えします。

まず何より今回強調したいこととしては「売上の最重要根幹は『客数』である」ということです。

日々の客数が16人では店主は生活していくことが極めて困難なのです。

これが客数30人になったならばその他が同じ条件であれば21万円に変わります。

最低でもこれくらいの収入はないと厳しくないですか?

いくらカフェを開くことが夢であっても、夢に散っては意味がありません。

というわけでまずは席数と客数が同数の場合の収益が店主の最低収入(生活防衛費の確保)以上になるようにまず席数をしっかり確保するということが重要なのです。

大事なことなのでもう一度言います。

あくまでも最低収入ラインの確保(=座席数の確保)

をまず考えるのです。


メソッドを2020年に初の著書として出版。「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えをみつけた

席数を30確保出来ればさすがに収入も21万円よりもっと生まれるでしょう(ここで私が提唱するメソッドを本当に実践するならば)。

ちなみに単価もここでは悪い例(メインメニューが500円の場合)なので気を付けてくださいね(後日必ず単価の話もします)。

何はともあれ何度も言いますが戦う前からみすみす負け試合を選ぶようなことをしないでほしいということであり、つまりお店を出す前から20席に満たないような内装設計をしないでほしいということです。

今回は「最低収入」や「最低人数」の話をしましたが、次回それでは「適正収入」及び「適正客数」について述べていきますね。

珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン