絶対に失敗するカフェの作り方カフェ経営を目指す人が知りたいこと。ズバリ、8坪のカフェの店主の収入は?
カフェを開業する秘訣。小さなカフェに憧れる人に突きつける現実。店主の収入はズバリいくら? 珈琲文明の店主赤澤智さんが語ります。
8坪の小さなカフェの店主の収入は!?
さて、前回の続きです。
16×700×25×0.4=112,000
これはいったい何の数字、係数でしょうか?
※ちなみに8坪の店舗という前提での数式です。
前回はこれで終わりましたね。
今回は、まず前回焦らしに焦らした問いへの解答から行きます!
- 16名(客数)×②700円(単価)×③25日(営業日数)×0.4(利益率)=④112,000円(1ヶ月の収入)
そう!これがズバリ、小さなカフェの店主の月の最低収入です!
これはかなり下限(でもけっして最下限ではない)の発想であり、いわゆる損益分岐点ともまた異なります。というより、この状態はそもそも損益分岐点にも到達していない場合がほとんどだと思います。
※損益分岐点についてはいくらでもすぐ調べがつくので各自でお願いします。
小さなカフェの客数について正しく考える
まずは①の客数について考えていきましょう。
ここで提唱している業態(ドリンク中心の小さなワンオペのカフェ)では1坪あたりに席数2、つまり店舗坪数の倍が席数の目安と思ってください。
となると、①の客数は席数と同じでつまり回転でいえば1回転ということになります。
「え? 回転なしで計算するの?」
と驚かれたかもしれません。
さすがに消極的過ぎでしょ!って思いましたか?
実際、世の中には「統計書」のようなものが多く存在します。
グーグル先生に聞けば「カフェ」「回転数」と入力するだけですぐに出てくるので試してみてください。喫茶・カフェ部門を見ることも出来ます。
これらのデータを見ると、平均3~4.5回転などと記されていたりするかもしれませんが、しかしこれはいわゆる平均値のまやかしなので絶対に信用しないでくださいんね!
平均値というとついつい「真ん中あたり」の数値が出ているように思ってしまいますがこれは大きな間違いです。平均っていうのはまやかしです。
小さなカフェの回転数は平均値や中央値で測れない
わかりやすい例で言うと、サラリーマンの年収やボーナス。
平均値が○○○万円と発表されて「そんなわけないだろ!」と握った拳の行くあてなくまた手を開くしかない。そんな経験をされたことはありませんか?
年収300万円の人と年収2億円の人の平均は1億を超えてしまいますから!
そんな平均値、「ああ、なるほどー」って思えませんよね?
こういう時は「中央値」の出番でしょうか。
中央値はデータの数値を小さい順に並べた時の、ちょうど真ん中の値を指しますから、ちょっと安心……とも言えないのが我々が目指す「小さなカフェ(ワンオペの個人店)」なんです。
ここで私がお話しているモデルは、あくまでもこの「小さなカフェ(ワンオペの個人店)」、一部上場企業でもなんでもないのです。
「小さなカフェ(ワンオペ個人店)」を会社同様に大手チェーン店一等商圏駅前一等地の店と一緒にしてはいけません。
「小さなカフェ(ワンオペ個人店)」で2~2.5の平均回転数が実現出来ればそこのお店は超優秀です。
「小さなカフェ(ワンオペ個人店)」で2~2.5の回転がコンスタントに可能であれば苦労はしません。
いや、というよりめちゃくちゃ疲労もします(笑)。
小さなカフェでは息つく暇なく動いてやっと2.5回転
私のお店珈琲文明は土日祝日の場合は2.5回転していますが、これは、「ず~っとオーダーされたドリンクまたはフードを作り続け、手が止まっている瞬間が全くない」状態で、やっとこさこの回転数ですからね!
土日だけならまだしも、これが毎日続くとおそらく店が倒れる前に店主が倒れます。
これが、小さなカフェの実態なのですが、不思議なことに、あらゆるところでこの「統計書」が根拠にされています。カフェの専門学校で教えるのも、この統計から。
融資先である公庫等もこれを根拠にして融資を決定します。
これは考えようによってはありがたい話です。
実際にはありえない、席数×2.5回転の人数が毎日コンスタントに入る事業計画が通ってしまうわけですからね。
融資先へのプレゼンはその数値をぜひとも使わせていただきましょう。
ただ、実益にものっすごく影響する実態分析は徹底的に厳しく行ってください。
開業前の段階でこの読みが甘い人がメチャクチャ多いんです。
次回は席数と回転数についてもう少し掘り下げてお伝えします。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」