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絶対に失敗するカフェの作り方脱サラ起業は失敗する!? 飲食店未経験者が小さなカフェを成功させるための3つの方法。

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「脱サラしてカフェをやりたい」と考えたことがある人は少なくないはず。未経験者はどこかで修行した方がいいのか? それとも? 喫茶店「珈琲文明」のマスター・赤澤智が語ります。

脱サラしてカフェを出すのは現実的にありかなしか

人って何故か、やってみたことがないことに対してやたら消極的になるものです。

カフェ開業もそうです。

「飲食やったこともないサラリーマンが脱サラして上手くいくほど甘い世界じゃねぇんだよ」なんて、実際には言われたこともないのに、「そうだよな、やっぱ俺(私)なんかが出来るもんじゃないんだ、そう言われるのも(いや、だから別に言われてない)もっともだ」と、ある意味被害妄想にも似た不安にさいなまれる。

これ、珍しいことではなくて、脱サラ組の方々の常な気がします。

これについて、飲食店未経験で、脱サラをしてこの業界に入ってきた私の意見を述べますね。

「未経験者がいきなりやっても上手くいかない」

これは、半分は本当で、半分は嘘……というか、ケースバイケースです。

まあ、「あらかじめ経験しておくにこしたことはないのは確か」とだけ言っておきましょう。

ただ、「未経験だから」という理由で何もせずに諦める方は、この連載を読んでいないのではないかと思うので、「それでもやるんだよ」という人が目の前に座っていると仮定します。

脱サラをしてカフェを開業し、成功させるためのポイントを3つに絞って、ポジティブな意見を述べていこうと思います。

  • 1)「ヘマ」をしてもやり続けられるマインドを持つ
  • 2)10年以上続く店をモデルにする
  • 3)接客、掃除など飲食店以外のプロの現場で学ぶ
珈琲文明の店主・赤澤智がお伝えします(写真:珈琲文明提供)

ポイント1)「ヘマ」をしてもやり続けられるマインドを持つ

まずよく言われるのが、「誰でも最初は新人だった」という話です。

大谷翔平だって最初にバットを振った日があるし、寿司職人だって最初に握った一貫が必ずあります。どんな業界のベテランにも「初日」があって、その日から、血反吐吐くような修行を……したかもしれないし、しなかったかもしれない。

近年はインターネットをうまく活用して、社会人経験なしでフリーランスになる若者も少なくないと言いますが、今は、時代的に、何十年も修行しなくては何も成し遂げられないような時代ではないように思います。

私は前職で学習塾の雇われ塾長で10年以上塾講師として実際に現場で授業をしてきた経験はありましたが、社員の中には、未経験でありながら私よりもずっと優秀(教室運営という部分で)だった人が何人もいました。

極論になりますが、修行しなかった人はいろいろなヘマをしたり、恐ろしく効率の悪いことをやって、回り道をすることになるかもしれません。

しかし、それで失敗するとは限りません。

営業していく中で徐々に改善していき、次第にお店は軌道に乗り、やがては何十年も続いていくお店になるかもしれません。

ですから必要以上に未経験にビビることはないのです。

ヘマをしても効率悪くてももち返せばいいのです。

ポイント2)10年以上続く店をモデルにする

ただし、どうにも致命傷となりやすいヘマや、開業する前から半ば勝敗は決まってくるような重要なポイントはいくつかあります。

「あらかじめ経験しておくにこしたことはない」と先に述べましたが、これから少し身も蓋もない話をします。

実は、世の中の飲食店の90%以上は10年ももたずに店をたたみます。

中小企業庁のデータ(開業率・廃業率の推移)によると、世の中の飲食店の90%以上は10年ももたずに店をたたみます。

だから「飲食店経営は難しい」という先入観はあながち、嘘ではないわけです。

これについては、もう事実としてまず受け入れてください。

そのうえで、便宜上ここでは10年続いたお店を「成功店」、続かなかなったお店を「失敗店」、と呼ぶことにします。

修行が必要かどうか、という視点で考えたとき、修行することが大事なのではなく、「どこで修行するのか」が重要になります。

なぜかというと、あなたが修行についたお店が成功店であるとは限らないからです。

というより確率的には圧倒的に失敗店のほうが多い。

そりゃあそうですよね、90%以上は10年持たないのだから。

ということは、失敗店の運営方針等を自身のお店に当てはめたところでやはりそれは失敗への道をガッツリ突き進んでいることになります。

ではどうすれば良いのか?

簡単です。まず10年以上続いているお店をモデル店としましょう。

さらにそのお店が自身の目指すお店のコンセプトに近いのであれば理想的ではありますが、そのお店が「ワンオペ」のお店であるならば、根本的な話になりますが「一人で成立しているお店」なのでそこはもうスタッフや見習いは雇わないはずです。

しかしそこのお店の作り(内装うんぬんというよりも作業動線やテーブル配置や各種設備)そして、店主の動きを観察するのは有益なことです。

珈琲文明の店内(写真:珈琲文明提供)

ポイント3)接客、掃除など飲食店以外のプロの現場で学ぶ

ここで、これまでと全く違う視点でお話をしたいことがあります。

もし、カフェを経営したい人が修行をするとして、その、モデルケースとして最適なのは、実は、カフェではありません。さらに、飲食店でもありません。

成功店が少ない以上、参考にすべきは飲食店ではなく、接客に関しては(そういう形式を取り入れるかどうかは別にして)、やはり頂点と呼ばれる世界(ホテルマン、キャビンアテンダント等)の所作を参考にすること。

そしてもうひとつ、プロの清掃業者の技や手際を見る機会を持つことです。

これはバイトで働くのもよし、逆にこちらが顧客となりお金を出して自宅なりを清掃してもらうでもよしです。

このように飲食店を参考にするのではなく、飲食店経営に必須とされている「QSC(クオリティ、サービス、クレンリネス)」の各部門でのトップ業界を参考にするのです。

もちろん、「カフェの学校」に通うという手段もあります。これも有益なことも多々あるともいえますが、現状、10年以内に潰れる飲食店が9割あるという現状を見ると、そこで習ったことをそのままコピーして運営したお店の9割は潰れる、という乱暴な言い方もできてしまいます。

もし脱サラ組が「修行」したいなら最短で効率の良い道を選ぶ

ここで、誤解のないようにお伝えしておくと、私は、いずれもごく短期間ではありますが、「修行」も「通学」もしました。しかし常に「自分のイメージするお店に必要な事柄」が先にありきで、それに必要なものを意識して吸収するようにしていました。

「修行」は2006年の夏ワンシーズンのみ避暑地軽井沢で、「カフェの専門学校」への通学は同じく2006年の秋の一か月のみです。Noteに当時の様子を書いているので、参照してみてください。

また「カフェの専門学校」に関しては本来なら長期に渡って通学実習をすべきところを私は独断で「これとこれとこれとこれの講座だけを受けさせてほしいです」と交渉し渋々認められたという不良学生だったもので、クラスで修了証書授与の時に私だけは貰えなかったという香ばしい思い出もあります(苦笑)。

いずれにせよ共通していることは一般的には「まずは洗い場を経験し数年修行し……」のようなことをすっ飛ばして究極に短期間で密度濃く修行したということが言えます。

1年かけて学ぶことは気合入れたら1か月で学べるのも事実。脱サラ組であれば、会社員としてきちんと仕事してきたスキルが生きるはずです。効率よく成し遂げることができるでしょう。

17年前の私がそうでしたからましてや現在のようなスマホであらゆる情報が手に入る時代であればなおのこと短期間で良いと思います。

お世話になった機関や師匠にはもちろん感謝とリスペクトを忘れずに、しかし全てを丸飲みするのではなく、自身のお店に照らしてそれは有効なのかどうかも常に考えながら準備を進めてくださいね。

珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

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