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自分でできるマーケティング入門あなたの一番大切な顧客は誰?「マーケティングの4P」よりも大事なこと

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はじめてのマーケティング入門。マーケティングの基礎ともいえる「顧客管理」。顧客管理とは何か?を書き出すことで学びます。

プロフィール

外資系IT企業のデジタルマーケティングマネージャー室橋健

顧客関係管理の外資系IT企業でマーケティングマネージャー。

自分にとって「一番大切な顧客」は誰?

いまから3つの質問をします。この3つの質問に対して、スマホのメモでも紙でも良いので書き出して「明文化」してみましょう。「考える」とは「書く」ことから始まります。

問1. 自分の「一番大切な顧客」は誰でしょうか。

問2.「一番大切な顧客」はなぜ、自分にとって大切なのでしょうか。

問3.「一番大切な顧客」は今までにどれだけ自分の製品・サービスを買ってくれたでしょうか。購入回数と金額を記載してみましょう。

マーケティングにおいては、まずは顧客から考えることが重要です。なぜなら顧客無しでビジネスは成長できないから。マーケティングで有名な4Pや他のフレームワークはすべて後回しで大丈夫です。まずは自分の最重要顧客について改めて考えて、書き出してみましょう。

そして書き出した後に、「一番大切な顧客」と話をする際に、下記のヒアリングをしましょう。その「取材」によってより具体的に、ご自身の最重要顧客の理解が深まります。

質問1. いつ・どのようなきっかけで自分の製品・サービスを知りましたか。

質問2. なぜ自分の製品・サービスを購入しようとおもったのですか。また、他にも検討していた製品・サービスはどのようなものがありましたか。

質問3. なぜ自分の製品・サービスを繰り返し買ってくれているのですか? 好きな点と今後改善して欲しい点の2つを教えて下さい。

大企業だけでなく、個人事業でも副業でも、顧客起点でマーケティングを考えてみましょう。自分の「一番大切な顧客」にこそ、これからの自分のビジネス成長のヒントが詰まっているからです。

「マーケティングの4P」から抜け落ちた「顧客」の視点

上記の質問により、改めて「一番大切な顧客」のありがたみを噛み締めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、巷のマーケティングには「顧客」が存在しない4P分析や多用なフレームワーク、マーケティングの手法が溢れており、顧客と向き合うことが軽視される構造になっています。

このような、マーケティングで顧客が軽視されてしまうような原因を、P&Gやロクシタンジャポン、スマートニュース等でマーケティングを推進された西口一希氏の著書『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』で記載されています。

「4P」すなわち下記の4つのPの中に「顧客」の視点が抜け落ちてしまっている。

Product (プロダクト)どのような製品か
Place (プレイス)どこで、どう売るか
Promotion (プロモーション)PR、広告をどうするか
Price (プライス)価格設定

本来は1958年にロバート・J・ハロウェイさんという人物がミネソタ大学経営学部の論文集で発表した「商品を買ってくださるお客さま (Consumer = C) に対してやるべきことをマーケティングというが、4つのPに分けて考えるとわかりやすい」ということを示したものだったようなのですが、4Pだけ独り歩きしてしまい、お客さまであるConsumerが抜け落ちてしまったようなのです。

2023年5月現在、顧客関係管理ツールを提供している米国IT企業にマーケティング担当として勤めているわたしも、顧客の重要性を毎日感じています。顧客の行動や売上などの各種データがしっかりと顧客関係管理ツールに蓄積されているからこそ、顧客一人ひとりに対して適切なコミュニケーションと新たな提案ができます。逆に顧客のことをしらない「やみくも状態」では、コミュニケーションが間違ってしまったり、適切な提案ができなかったりと課題を抱えることになるでしょう。

一番大切な「顧客リスト」を作成する

ここまで「一番大切な顧客」の重要性とマーケティングから顧客の重要性が抜け落ちてしまった背景について理解を深めました。最後は顧客理解を深めるために必要な2つのアクションです。

顧客リストに書くべき項目とは

個人事業主の方、副業をされている方、そして新しいビジネスを立ち上げる方、既に取引のある顧客のリストを作成してみてください。スマホのメモでも、Spreadsheet / Excelでも、紙のメモ帳でも構いません。下記の項目を縦にリスト化してみましょう。また、可能ならまだ顧客ではないけど、今後取引の可能性のある人を「見込み顧客」として顧客リストの下に記載します。このリストを雪だるまのように徐々に増やすことで、皆さんの売上と顧客リストが増え、ビジネス成長を実現することが可能になります。

《顧客 / 見込み顧客のリスト化で書き出す項目》

名前
会社名 (+ 従業員数)
メールアドレス
電話番号
ウェブサイトのURL
住所
累計の売上金額
顧客 or 見込み顧客
その他の情報を記載するメモ

一番大切な「顧客インタビュー」をする

皆さんがインタビューを通して考えることは、自分のお客さまが何に対して「メリット」と「独自性」を感じているのかを浮き彫りにすることです。

《インタビューの質問リスト》

  1. いつ・どのようなきっかけで自分の製品・サービスを知りましたか。
  2. なぜ自分の製品・サービスを購入しようとおもったのですか。また、他にも検討していた製品・サービスはどのようなものがありましたか。よかったら購入に至った決め手も併せて教えてください。
  3. なぜ自分の製品・サービスを繰り返し買ってくれているのですか?好きな点と今後改善して欲しい点の2つを教えて下さい。
  4. 自分の製品・サービスを利用する前と後で、具体的にどのようなメリットが生まれましたか?具体的な売上向上金額やコストカットや時短など、数値でメリットを教えてください。
  5. 自分の製品・サービスを、もし知り合いにオススメするとしたら、どのような方にオススメしますか?
  6. 実際に製品・サービスを購入する場面を見せてもらえませんか。

 → 実際に購入する場所に同行したり、画面共有をしてもらったりお願いする。ショップ・アロングと呼ばれるリサーチ方法。

インタビューに関してもっと詳しく知りたいかたは下記2冊をオススメいたします。

ご自身の「顧客リスト」の作成と「顧客インタビュー」を通して、ご自身の顧客に向き合い、そして今後どのようにして顧客を増やしながら価値を提供できるのか。そしてその結果として対価である売上を増やすことができるのか。ぜひ2つのアクションを活用し、皆さんのビジネスの成長につなげていただければ幸いです。

おさらい「顧客視点が大事」

①「一番大切な顧客」について書き出し、なぜ重要なのか再認識する
②マーケティングの4Pやフレームワークの前に「顧客理解」
③「顧客リストの作成」と「顧客インタビューの実施」
④「顧客の重要性」を学べるオススメの3冊の書籍
マンガでわかる新しいマーケティング 一人の顧客分析からアイデアをつくる方法
マーケティングの新しい基本顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント
ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー

この記事を書いた人

室橋健
室橋健
顧客関係管理の外資系IT企業でマーケティングマネージャー。慶応義塾大学卒業後、リクルートとベンチャー企業でデジタルマーケティングの仕事の従事。2011年から1年間、中国・北京の清華大学に留学。ホテル暮らしで日本全国を移動しながらフルリモート勤務を続けていたが、2022年春より京都の町家に定住。顧客管理のメモ理論を実践している。

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