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NFT特集 第2話NFTクリエイター3人の本当にあった「怖くてエキサイティングな話」を聞いてみた!

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今回の特集は「NFT」。アートや音楽などをデジタルで創作するクリエイターは、NFTにどう挑めば良いのか? 『だれにでもわかるNFTの解説書』の著者・足立明穂氏や、作品販売にチャレンジしている3名のアーティストを取材し、成功のノウハウを伺いました。

アート界隈を中心に、NFT(Non-Fungible Token)が盛り上がっています。

NFT作品って?
これまでオリジナルとコピーに違いがなかったデジタルな創作物に唯一性を持たせることで、転売を繰り返しても常に所有者を明確にできるのが特徴。ブロックチェーン上で、仮想通貨を使って売買されています。アートや音楽などデジタルで創作するクリエイターにとっては、「自分の作品を世に広める新たな販路だ!」として注目が集まっているのです。

そこで、自分らしい働き方を応援する「I am」では、読者に向けてNFTの可能性やノウハウを特集でお伝えします。

今回の第2話では、実際にNFT作品をつくって販売されている3名のクリエイターさんに、NFT作品の制作と販売のノウハウについてお伺いします!

Q. NFTを始めたきっかけは?

A. これまで作ってきたデジタル作品に新しい価値をつけたかったから!
20年間、デジタルアート作品を作り続ける中、「デジタルアートは、一点物のアナログ作品より価値が低い」というコンプレックスを持っていました。そこで5年ほど前から、個展を積極的に開催。キャンパスに描いた一点物の絵画などを販売してきました。
 
そんな中、「デジタル作品に価値がつけられる」と、NFTを知ったのが始めたきっかけ。「これだ!」と思いました。
 
ハードディスクには、いままでつくり上げてきた数々の作品が眠っている。それらにも日の目を当てることができる。今すぐ価値がでなくても、自分の死後、価値が上がるかもしれない。そうなれば、わが子にも資産として残すことができる、と。

A. こんな面白い事、一刻も早く始めなきゃと思った!
コロナ禍が始まった頃、勤めていた会社(広告代理店)を退職し、フリーランスとして独立しました。企業のプロモーションイベントのプロデュースなどを行う中、2021年10月初めにVoicyの『イケハヤラジオ』でNFTの存在を知りました。すぐに準備に取り掛かり、同月下旬に最初のコレクションを出品。
 
自分の得意分野は企画とディレクションなので、イラストレーター、サウンドクリエイターらとタッグを組み、チームとして活動しています。

A. ファンからの「NFT始めないんですか?」という声に押されて
商業イラストレーターとして活動していますが、個人の創作を販売することは長い間の憧れでした。それで創作用のアカウントを作ってイラストをSNSにアップしていたところ、2021年の夏の終わり頃に何人かのフォロワーさんから「NFTを始めないのですか?」と問い合わせをいただき、それがきっかけになりました。

Q. 始めるときに大変だったことは? また、苦労やリスクを感じることはありますか

A. 詐欺にあわないリテラシーを身に着けること!
仮想通貨が大きなネックでしたね。仮想通貨界隈は詐欺師が多く、リスクが非常に高い。
 
たとえば、仮想通貨を取り扱うサイトとそっくりな偽サイトをつくり、そこでID・パスワードなどの個人情報を盗み取られる(フィッシング詐欺)。他にも、TwitterのDMなどで「一緒に仕事がしたい」とメッセージが届き、そこに送られてきたファイルやURLをクリックするとパソコンが乗っ取られる(身代金要求型ウイルスのランサムウェア)。こうしたものが溢れかえっている。
 
詐欺にひっかからないよう、リテラシーを高めながら始めるのは大変でした。
 
また仮想通貨は、マネーロンダリング、脱税、反社、マフィアなどにも使われていることを後になって知り、イメージの悪さも感じましたね。
 
それと、仮想通貨はすべて自己責任。パスワードを失ったり、パソコンが故障してログインできなくなったりしても、誰も復旧してくれない。一瞬で全てを失うリスクがある。

A.仕組みを理解するまでが大変。しかも時間の流れが速い!
まずは苦労について。仮想通貨やNFTの情報は英語が基本。仕組みを理解したりするのがまず大変でした。
 
また、販売に関しても苦労が。最初の出品では売れたのですが、その後が続かない。告知方法で悩んでいたところ、たまたま数人のコレクターに目をつけてもらえたことで状況が改善。購入してくれた上に、その方が宣伝もしてくれたおかげで、良い流れが生まれました。
 
ちなみに、NFT界隈の主要SNSはTwitter。アカウント開設当初はNFTを想定しておらずフォロワー数3,500人ほどのビジネスアカウントだったのですが、それをNFTに全振り。NFT関連の情報発信・交流に活用し、フォロワー数が急増しました。
 
余談ですが、もし1〜2週間スマホ無くしたらNFTの話についていけなくなります。それだけNFT界隈の話の流れは早い!
 
そしてリスクについて。仮想通貨のポリゴンをイーサリアムにトランザクション(取引)する際、エラーが出て0.6イーサリアム(当時のレートで約16万円)が消えたことがあります。ポリゴンの公式が対処してくれたおかげで幸い戻ってきたのですが、やりとりは大変だし、必ず戻ってくるとは限りません。
 
あと、詐欺が多い! チャットツールのDiscordで詐欺に遭い7〜8万円を失いました。本物に成り済ましたDMが来て騙されたんです。アイコンやウェブサイトを本物そっくりにして、ウォレット(仮想通貨用の財布)をつながせる手口ですね。
 
こうした情報共有や相談は、Twitterスペースで頻繁に行われています。

A. 情報が多すぎる。でも詐欺のリスク回避には情報収集が必要
NFTを始めるまで仮想通貨を触ったことがなかったので、ウォレットやOpenSea(NFTの主要マーケットプレイス)のアカウントを作る手順がとてもわかりづらかったです。
 
また、NFTアートの世界は情報が非常に多く、スピード感もとても速いです。SNSなどの情報から様々な成功例などを知ることも可能ですが、自分で対応できることとできないことがあります。全てについていこうとすると疲弊してしまうので、自分のやり方や生活とのバランスの取り方が大事だと考えています。
 
とは言え、NFTに関わる詐欺行為が海外を中心に多発している現状もあり、リスクを回避するためにも情報収拾は適度に必要だと感じています。

Q. NFTで注目されるために、具体的にどのような工夫をしていますか?

A. 海外向けの浮世絵は不発。得意分野で勝負したら成功
NFTが活発なSNSは、Twitterです。
 
InstagramのようにTwitterでもハッシュタグをつけて投稿すれば、国内外に広まると最初は思いましたが、これは完全に甘かったです。「こんなのをつくりましたよ」と発信しても反応が得られない。
 
また、海外市場を狙って「ネオ浮世絵」シリーズを英語の説明書きを添えて展開しましたが、いまいち盛り上がらず。そこで、自分が得意なレゲエテイストのアートを、自分のことを知ってくれている人に向けて描いたら買っていただけました。また、買ってくださった方が、「Murasakiさんから買ったよ」とNFTコミュニティで広めてもくれました。
 
つまり、自分が得意なことをそのまま出した方が手っ取り早かった、ということですね。
 
NFTを販売するコツは、画力とマーケティングの組み合わせ。自分の作品を持っていれば将来性があると感じてもらわないといけない。今後も新作を展開するとか、その作品がファッションやアニメの世界でも展開してもっと話題になるとか。
 
とにかく、良いモノをつくれば売れるというわけではなく、人を巻き込んだマーケティングやプロモーションが超重要。「〇〇さんの作品を持っていて嬉しい!」と、思ってもらえるようにするのがポイントですね。

A. 自分だけではなくみんなにも利益ができるイベントで盛り上がる
プロモーションビデオの制作を行いました。ここまで作り込んでいるクリエイターはあまりいないので、目立つし、反応も得やすいですね。
 
また、みんなに利益が出たり、みんなで楽しめたりするようなイベントも実施しています。イベント成功のコツはシンプルさ。理解してもらいやすくするのが大事です。過去には、6つのパズルピースをかなり安く販売し、6つ集めた人には1枚の絵をプレゼントするという企画を開催しました。
 
他にも、360個の赤ちゃんアートを制作し、1週間後にいろんなサムライモンキーズに成長するというイベントも開催。「何に進化するのだろう!?」と、みんなで盛り上がりましたね。
 
デジタルミュージックでは、実際の音楽アーティストとのコラボレーションも行っています。
 
ところで、NFTは自分がクリエイターでなくても始められます。チームで動くことにより、作業も分担できるのでスケジューリングしやすくなる。制作と告知を同時進行で行えるので、コンスタントに作品が出せるのです。有名人であればリリース間隔が空いても問題無いと思いますが、自分達は何かしらを出し続けることが重要だと考えています。

A. 作品クオリティを上げる。積極的な交流を楽しみながら長く続ける
作品のクオリティを上げることを大切にしています。また、SNSなどを使って広く認知してもらうこともとても重要です。制作過程をアップしたり、積極的にクリエイターさんコレクターさん問わず交流を持ったりするようにしています。そういった行動を楽しむことも長く続けるコツの一つだと思います。

Q. 海外市場が大きいNFTですが、海外に向けて何か施策を行なっていますか?

A. 海外に向けると、怪しげなメッセージが来るので様子見
海外向けは、今のところは様子見。コミュニティをつくって販売していくのは難しいし、何より詐欺が多い。海外に向けて動き出すと、怪しげなメッセージがどんどん届くので。

A. コミュニティでの交流を英語にする必要があり、せっかくの日本のファンを逃す
海外市場を狙おうとしましたが、難しかったです。海外には日本以上にたくさんのコレクションがあり、コレクターはわざわざ日本の作品を買う必要がありません。また、海外向けに販売するとなると、TwitterやDiscordでのプロモーションを英文にしないといけなくなり、そうすると日本人がついて来られなくなる。そうして経験を経て、今は日本人に向けて活動しています。

A. 英会話をしてたので、スペースや英文ツイートなどで情報発信
海外市場を狙えるかどうかはわかりませんが、NFTアートを通して時々海外のクリエイターさんやコレクターさんとコミュニケーションを取ることがあります。オンラインで英会話を学んでいたのが役立っているかもしれません。怪しい連絡が来ることも多いので、気をつけながら交流を楽しんでいます。

Q. NFTを始めてから、クライアントワークなど他の活動への影響はありましたか?

A. NFTにより個人のチカラが強くなる
自分に限らずフリーランスのアーティストはこれまで、クライアントワークをこなしたり、企業と組んで自身のブランドを展開していったりする必要がありました。しかしNFTにより、個人のチカラが強くなったと感じます。今後、自分自身の活動全体に、何らかの影響がでてくると思います。

A. 企業案件でNFTをプレゼントしたりできる
実体験として早くからNFTに触れている経験は、リアルでも活かすことができると考えています。本業では企業イベントのプロデュースをおこなっているのですが、参加者にNFTをプレゼントしたり、商品を購入するとNFTが当たったりなどの企画ができそうです。

A. NFTとのアカウントは別にしているので影響なし
もともと活動していた商業イラストレーターのアカウントとは名前もタッチも分けているので、影響はありません。強いて言えばNFTのコラボイベントとクライアントワークの納期などが重なって、忙しくなった時の時間管理が難しいです。

Q. NFTを通して目指すところはなんですか?

A. 自分が死んだあとでも、価値が認められる
最初の質問で答えたように、NFTによりデジタルアートの価値や将来性が高くなりました。生前は価値がなくても、自分の死後、価値が認められるかもしれない。NFTは、他の人が売れていたら焦る気持ちもあるけど、長期視点で作品をつくり続けたいですね。

A. 人をワクワクさせたい!
人をワクワクさせたい、みんなに楽しんでもらいたい。この想いは常に持っていて、これが原動力です!

A. 作家個人の作品を購入してもらう憧れを体感
自分のオリジナル作品を気に入ってもらえて購入・所持してもらえるということはずっと憧れでしたし、作家にとって本当に嬉しいことです。
 
NFTは永続性があり、個人のクリエイターでも海外市場を視野に入れることができる新しい世界です。その広い世界の中で、新作をワクワクして楽しみにしてもらえるようなクリエイターになりたいですね。

まずは、クリエイターのSNSをフォローしよう!

今回、3人のNFTクリエイターさんに、それぞれお話を伺いました。ご協力いただき、ありがとうございます!

「NFTに興味がある」

「自分も作品をつくって販売してみたい」

「コレクターとして購入したい」

いろいろな想いがある方が読んでくださったかと思いますが、まずはMurasakiさん、Big Hat Monkeysさん、Art Kung-fu GirlさんのSNSをフォローして、最新の活動を追ってみてはいかがでしょうか。

また、NFTや仮想通貨について学びたい方は、先日公開した『だれにでもわかるNFTの解説書』の著者・足立明穂さんのインタビュー記事も合わせてご覧ください。

この記事を書いた人

北野 啓太郎
北野 啓太郎ライター
文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。

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