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NFTを始めるためのノウハウを伝授!NFT でイラストや音楽を売りたい! 初心者向けに学び方や販売のコツを伝授【NFT特集第1話】

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今回の特集は「NFT」。アートや音楽などをデジタルで創作するクリエイターは、NFTにどう挑めば良いのか? 『だれにでもわかるNFTの解説書』の著者・足立明穂氏や、作品販売にチャレンジしている3名のアーティストを取材し、成功のノウハウを伺いました。

アート界隈を中心に、NFT(Non-Fungible Token)が盛り上がっています。

NFTとは?
NFT作品は、これまでオリジナルとコピーに違いがなかったデジタルな創作物に唯一性を持たせることで、転売を繰り返しても常に所有者を明確にできるのが特徴。ブロックチェーン上で、仮想通貨を使って売買されています。アートや音楽などデジタルで創作するクリエイターにとっては、「自分の作品を世に広める新たな販路だ!」として注目が集まっているのです。

……とはいえ、ブロックチェーン、仮想通貨、NFTなど、聞き慣れない言葉にためらう方も多いでしょう。
そこで、自分らしい働き方を応援する「I am」では、読者に向けてNFTの可能性やノウハウを特集でお伝えします。
まず第1話では、ITトレンドに精通し、『だれにでもわかるNFTの解説書』(ライブパブリッシング)の著者である足立明穂氏に「NFTに向いているクリエイターのタイプ」や「NFTを学ぶコツ」についてお伺いしました。

出品しただけじゃ売れない!NFTクリエイターに求められる資質

NFTは、どんなクリエイターに向いているのでしょうか?

作品つくった理由がきちんと説明できる人、明確な情熱を持った人ほどNFTクリエイターに向いていると思います。

NFTにする最も大きな意味合いは、希少性。クリエイターはそれをどう出せるかが、すごく大きなポイントになってきます。

お金を出す側のNFTコレクターは、作品に対する情熱や、今これを出した理由などの希少性に納得して、「それだけの想いがあるのだからお金出そう」と考える。「君はなぜその作品をつくったのか?」ということが知りたい訳です。逆に言うと、「とりあえずちょっと出品してみました」と言われても買いません。

NFTの主要マーケットプレイスである『OpenSea(オープンシー)』には、 3,000万点以上の作品が並んでいます。そこに1点出品すれば3,000万分の1。「NFTで一発当ててやろう」という気持ちで出品しても、ジャンボ宝くじの1等を当てるよりも確率が低いんです。だからこそ作品に対する想いをちゃんと伝えられる人じゃないと購入してもらうのは厳しいという訳です。逆に言えば、想いを持っている人が作品を出してみるのは、面白い挑戦になると思います。

無知はトラブルの元!NFT、基礎知識を学ばないと大変なことに!

NFTや仮想通貨の知識は、どうやって身につけたらいいですか?

まずはネットで検索をするというのが一つあると思いますが、情報が乱立している中で「あれ? ちょっと違うのでは……」と思える記事もよく見かけるので、精査するのが難しいのが現状です。

私自身がNFTの本を出しているから言うわけでは無いのですが、やはり書籍は責任を持って出版されているので、まずは専門書を読んで基礎知識を身につけておくのが良いでしょう。そうすれば、ネットなどで調べる中で、「これはちょっと違うかも」とか、「この記事は細かくしっかりと書かれているね」という見る目ができると思うので。

基礎知識をつけずに、いきなりネットの情報だけでNFT作品の販売を始めようとすると詐欺などのトラブルに巻き込まれて大変なことになると思います。嫌なことですけど、「あなたの作品をNFTにして売ります。今すぐ入会!」のような怪しげなビジネスも増えています。基本をある程度押さえておかないと、「それが正しく説明されているのか」「偏りすぎていないかどうか」「良いのか、悪いのか」などの判断ができない。

新しい分野であるがゆえに、基礎的な情報はしっかり理解しておいて、そこを基準にして調べていくのが良いでしょう。

始めたいけどいきなりは不安……。NFT取引を無料で体験できるサイトがある!

NFTって、仮想通貨を使うんですよね?なんだか不安です。

NFTはブロックチェーンの技術(*1)がベースになっているので、仮想通貨の基礎知識を身につけておかないと難しいです。たとえば、「どんな仮想通貨取引所があるのか」「そこでどんなことをやるのか」「日本円をイーサリアムに替えるにはどうすれば良いのか」などですね。

まず仮想通貨のやり取りをするというハードルがあって、その次にNFTが来ます。

仮想通貨について、多くの方は「どんなに勉強しても、実際にやってみないとわからないよ」と言いますが、例えばNFTのマーケットプレイスOpenSeaでNFTを始めるには5万円から10万円ぐらいは用意しておく必要があります。「とりあえず試しに10万円」っていうのは結構ハードルが高いですよね。仮想通貨は送金先を間違えたら消えてしまうので、「あれ、10万円消えちゃった」ってなったらショックです。

そこで、実践的に仮想通貨の仕組みを理解するために、まずはテスト用のサイトで練習するのはいかがでしょうか?  『OpenSea』には、本物を模したOpenSea Testnetsというテスト用のサイトがあります。そこは通常のOpenSeaと全く同じ機能で、本番同様にNFTの取引を無料で自由に試すことができます。

ここで、テスト用のイーサリアム(*2)を手に入れて「まずどんなことをやるの?」と体験的にやるといいでしょう。お金は一切掛からないし、そこだったらいくら失敗しても全然問題ないので。むしろ「失敗したら何が起きるの?」と、わざと失敗してみることもできます。

ですので、まずは『OpenSea』のテスト用のサイトで試してみるのも一つだと思います(*3)

*1. ブロックチェーン技術とは、情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、暗号技術を用いて取引記録を分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、「ビットコイン」等の暗号資産に用いられている基盤技術である。(総務省ウェブサイトより引用)
*2. イーサリアム:ビットコインに次ぐ時価総額を持つ仮想通貨。
*3. 足立明穂氏の著書『だれにでもわかるNFTの解説書』の巻末には、読者特典としてテスト環境の使い方レポートがついています。

出品するNFTマーケットプレイスの選び方。戦略は必要?

NFTマーケットプレイスってOpenSeaだけなんですか?

NFTのマーケットプレイスは、OpenSea以外にもたくさんあります。
最近では、国内の企業が運営するNFTマーケットプレイスも存在しています。

クリエイターは自分の作品をどこで販売すれば良いのかを考えないといけないのですが、これは普通のビジネスと同じ。「とりあえず出してみましょう」で良いなら、どこでも好きに手数料の安いところを探してそこでやればいいのですが、そうではなく誰かに買ってもらわないといけないですよね。

何を作りたいのかをしっかりと決めて、自分の作品をどんな人に見せたいのか、どんな人に買って欲しいのかを考えれば、消去法的にどのマーケットプレイスに出すか決まってくると思います。

作品を買ってくれる人がいて、ファンがついてくるからこそ、次の作品をつくる動機付けにもなってくる。「誰かに買ってもらいたい」「欲しい人が現れて欲しい」という目標をもって作品つくりをしないと、段々何をしているのかわからなくなってきます。出しても、出しても、売れない状況に陥ってしまわないためにも、「とりあえず出す」ではなく、販売戦略はしっかり考えた方がいいですね。

(参考)

HEXA:日本円だけで取引ができる日本初のNFTマーケットプレイス。仮想通貨が不要。

Rarible:大手NFTマーケットプレイス。RARIという独自のトークンを発行できる。

OpenSea:世界最大規模で、最も盛り上がっているNFTマーケットプレイス。

仮想通貨・NFTは詐欺が不安!心がけるべき大切なこと

NFTにチャレンジできそうな気がしてきました!でも、NFTや仮想通貨は詐欺も多いって聞いたことが……。

自由にできるからこそ、いろいろな責任が伴うのです。このことを理解しておくことが、詐欺リスクを防ぐために重要になってきます。

NFT、ブロックチェーン、Web3といった文化は、「中央集権型ではなく、分散しているからみんな自由にできるよ」といった特徴があります。

だからこそ、意識転換が必要です。運営会社があって「わからなかったら聞けば何とかなる」「間違ったらそこに言って直してもらおう」といった感覚はもう捨てないといけない。リスクに対して責任を取る存在がいないからこそ、すごく自由度が高いし、NFTの作品が売れたときの利益率が大きいわけです。

自由とそれに伴う責任が表裏一体の関係になっているのを、しっかり理解しておきましょう。

日本は保護や保障が手厚いので、この表裏一体の感覚はわかりづらいと思います。保護されていたり、保障されていたり、いろんな手当があったりするのはすごく良いことなんだけど、「その分、自由度が無くなっているよ」ということでもあるのです。

アーティストの中でも「NFTはよくわからない。やりたくない」「やっぱり自分はキャンバスに描いてみんなに届けたい」っていう人も当然います。反対に「これからはデジタルなのだから、そっちへ行くべきだ」っていう人もいる。そこは価値観の問題で、それだけ選択肢が増えていることなので、私はすごく良いことだと思います。

怖いと思う方もいると思いますが、私はそこに魅力を感じているので、「こんなに面白いことってないよね!」とすごく思っています。

NFTで稼ぐために重要なことは「コミュニティ」

ずばり、NFTで稼ぐためのコツは?

NFTの価値については、クリエイターの作品への想いが重要であるという話をしましたが、もう一つすごく重要なのがコミュニティです。

これは個人的な意見ですが、コミュニティの価値が、コロナ前よりも高まっていると感じます。コロナ禍になって、人と直接接する機会が減ったり、全国のお祭りやイベントが中止になったりで、人が集まれなくなった。その反動で、みんな人とつながりたくなってきています。だからこそ、「面白そうなことをやっているな」と思ってもらえるのは、人を集める上で大事なことだと思います。

ファンの人たちがついて、そのファンの人達とTwitterやDiscordなどのSNSやチャットツールでコミュニケーションが取り合えるか、みんなで作品について語り合ったり、新作への期待感を高めあったりできるか。

どんなに良い作品を出そうと、コミュニティが無いとなかなか上手くいきづらいです。現実世界で有名な方が突然NFTを出しても、残念な結果になってしまうことがあります。やっぱりそこは「出したら終わり」じゃなくて、「出すことによってファンとのつながりができる」という意識が不可欠。

上手くいっているところは、最初にお伝えした希少性と、このファンとのコミュニティが上手く回っています。

ちなみに、それらをすべて自分1人でやる必要はありません。お祭り的にワイワイ盛り上げるのが好きな人や、コミュニティを回すのが上手い人に仲間になってもらって、チームで活動する方法もあります。

海外進出も夢じゃない!?日本人が海外を狙うにはどうすればいい?

NFT市場は、国内より海外の方が活発な印象です。自分の作品を海外に広げるには絶好のチャンスに思えます。

NFTの主要マーケットプレイスには世界中のクリエイターが集っているので、「自分の作品を外国人にも買ってもらえるかもしれない」「海外で人気がでるかもしれない」と考える方もいらっしゃるでしょう。そこで、英語力が必要だと感じると思うのですが、英語できるかどうかよりも、繰り返しになりますが希少性が大事です。

最近は、日本の作品を海外に紹介する活動をしている方もいますし、海外で日本の作品に興味を持っていて片言の日本語が喋れる方もいます。片言の英語でも海外に作品を売り込むチャンスは十分にある。

写真/shutterstock

日本人は外国語に対するコンプレックスが強くて、「正しい英語を喋らなきゃいけない」という恐怖心がすごくあると思います。英語ができないと大変かもしれないけど、今はGoogleの翻訳など便利なものがたくさんある。多少おかしな英語であろうが、「自分はこれだけのものをつくっているんだぞ!」って、どれだけ言えるかにすごく意味があります。

想いが強いと、何度もいろいろな作品を出したり、新作を次々と出していけたりするので、チャンスに近づくことができるのです。

いつまで続くのNFTブーム?!ずばり今後の行方は?

今は盛り上がっているNFTですが、一過性のブームに過ぎない気も……。今後NFTはどうなっていくのでしょう?

未来は誰にもわかりませんが、私は「インターネットの最初の頃と同じような感じで、インフラのように広がっていく」と考えています。NFTもツールだし、ベースになる技術なので。

インターネットの仕組みを知らなくても、ウェブサイトを閲覧したり、メールでやりとりしたりできますよね。それどころか、動画配信をしたり、オンライン会議をしたり、インターネットのことを何も知らなくても使っている人が大勢います。

それと同じように、NFTやブロックチェーンがインフラのように広まって、「今で言うインターネットのように、人々が意識しなくてもバックグラウンドで稼働している」「デジタルのアート、映画、音楽、いろんなものがNFTとかに結びついているのが当たり前」といった状態になってくるのではないでしょうか。

写真/shutterstock

その先の話になりますが、「君が持っているのはNFTじゃないの? コピーだよね」という価値観に変わってくるんじゃないかと。たとえば、有名ブランドの偽物バッグを持っていたら、かっこ悪いと思われますよね。それと同じように、デジタルの世界でも価値観が変わってくる可能性があると思います。

NFTが無かった頃は、デジタルなものに対して「これがオリジナルだ」とか「それはコピーだ」という概念がない世界でしたよね。全く同じデータなので。でもNFTにより、「これがオリジナル。作者が認めた元のデータ」というのが明確にわかるようになった。「オリジナルとコピーされたものは違うよね」という考え方ができるようになってきたので、みんなの価値観がすごく変わってくると思います。

今、世の中のいろいろなものがガラッと変わるパラダイムシフトが起きているような時なので、めちゃくちゃ面白いですね。ベースが変わるので価値観から変わってくる。そういう時代に入ってきています。

私はもう、面白くて仕方がないですね!

次回は4人のNFTクリエイターが登場!

足立明穂さんのお話は以上です。

NFTは儲かる! 早くやったほうがいい! インフルエンサーや先駆者の声を聞いて焦る方もいらっしゃるかと思いますが、「とりあえず、ちょっとやってみました」程度では売れないというのは大切なポイントですね。

まずは基本を勉強し、販売戦略を持って挑む方が良さそうです。

次回は、実際にNFT作品をつくって販売されている、3人のクリエイターさんが登場します。お楽しみに!

取材・文/北野啓太郎
写真/shutterstock

この記事を書いた人

北野 啓太郎
北野 啓太郎ライター
文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。

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