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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル「ビジネスモデル」に欠かせない「何度でも」「稼げる」仕組み【第15回】

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アイデアがあっても、それだけではマネタイズ出来ません。そのアイデアを収益化するための「ビジネスの仕組み」つまり「ビジネスモデル」が重要になります。今回はその「ビジネスモデル」を考えていきます。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

++ 「アイデアを事業化するにはどうすれば…?」 ++

中堅学習塾チェーンに新卒入社した松井ゆみ(32歳)は、学生時代の塾講師経験が評価され、
20代で吉祥寺校の教室長になった。
しかし勤務先の会社が大手学習塾チェーンS社の傘下になるという発表が…。
順調にみえたキャリアに暗雲が立ち込め、ゆみは自分自身のこれからのキャリアを考え、今のスキルを使って副業や起業が出来ないかを考え始める。

【第14回】に紹介したフレームワークを使い、ビジネスアイデアを考えたゆみは、今は学習塾で働いている(Must)が、本当はもっと子どもの教育に関わりたい(Will)こと、姉のまゆと一緒に2歳の姪っ子の姪っ子たちにおもちゃを作ってあげるのが得意(Can)なことから、知育玩具の商品企画を副業ではじめようと考えた。

「アイデアはできたけど、これを事業にするには、何をどの順番で考えていけばいいんだろう?」

そもそもビジネスとして成り立つのか、また成り立つとしても続けていけるのか、ゆみは考えれば考えるほどわからなくなってしまった…。

「何回でも」「ずっと」収益化できる仕組みが「ビジネスモデル」

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自分のアイデアを事業化するためには「ビジネスモデル」が重要です。
では「ビジネスモデル」とは何でしょうか。

そもそも、収入を得る方法ならば宝くじや不用品の販売など色々あります。
しかし、「当たればラッキー」な宝くじを買うことや、自分の不用品をフリーマーケットで販売することは「ビジネスモデル」にあたるのでしょうか。

一般的にこれらは「ビジネスモデル」には当たりません。
しかし、古着屋や古本屋のように、特定の不用品(例えば衣類や本など)を仕入れて売る仕組みがあれば、それは立派な「ビジネスモデル」です。

このように、収入を得る方法の中でも、何らかの仕組みを持っているものが「ビジネスモデル」です。一番の違いとしては「再現性があるか(繰り返し行えるか)」「持続的に営めるか」という点です。

宝くじを常に当て続けることはまず不可能です。
不用品販売もいつかは売り尽くしてしまいます。こういった、持続可能で再現性がないものは「ビジネスモデル」とは言いません。

自分のビジネスアイデアを一生稼げる事業にしていくためには、「再現性」と「持続性」が担保された仕組みに落とし込む必要があります。

儲け続けるために「誰に・何を・どのように提供する」か?

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一般的に「ビジネスモデル」とは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造を示す、アメリカで誕生した言葉で、日本の研究者としては経営学者の根来龍之氏と國領二郎氏の2名がビジネスモデルの権威として有名です。

私は、ビジネスモデルとは「誰に何をどのように提供し、儲け続けるための仕組図」と定義しています。
会社員が自分のビジネスアイデアで「半径5メートルのビジネス」をスタートするなら、「あなた自身が続けていけるか」という視点で考えてみてください。

自分のビジネスアイデアが、お客さんに商品やサービスを提供し続けられる「需要と供給が持続できる仕組み」になるのかを考えて、見える化していきます。
それがまさに「ビジネスモデル」を考えるポイントです。

「戦略、オペレーション、収益」の3つの要素

ビジネスモデルは「戦略、オペレーション、収益」の3つから構成されます。まずはそれぞれについて解説します。

①戦略とは

どういう資源、活動、仕組みを元にして、「誰に」「何を」提供するのか。

②オペレーションとは

戦略を実現するために、自分たちがどういうプロセスで商品やサービスを作って提供していくか。

③収益とは

何にどのくらいのコストを使うのか。事業活動の結果として残る収益や利益をどう確保するのか。

戦略は主に「再現性があるか(繰り返し行えるか)」につながるもので、ビジネスのスタート時だけではなく、軌道にのってからも継続して重要です。
また、オペレーションは商品やサービスの提供を「持続的に営めるか」、収益はビジネスに必要不可欠なお金を「持続的に確保できるか」といったことにつながります。

この3つの観点を備えたビジネスモデルを考えることが、「再現性」があり「持続的」なビジネスを創ることにつながります。

成功するビジネスモデルには「これ」が不可欠

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これまでビジネスモデルについて、一般的なことをお伝えしてきましたが、「半径5メートルのビジネス」においても「再現性があるか(繰り返し行えるか)」「持続的に営めるか」は重要なポイントです。

あなたのビジネスアイデアを単なるアイデアで終わらせないために「ビジネスモデル」に落とし込むことが必要になります。
そして自分らしく好きなことで一生稼げるように、きちんと仕組み化していきましょう。

今回紹介した3つの観点をどう考えて整理していくか、その枠組み(フレームワーク)が、「ビジネスモデルキャンバス」(Business Model Canvas略して「BMC」)です。
次回以降で、「ビジネスモデルキャンバス」をはじめとしたビジネスモデルを作る時に使えるフレームワークをご紹介していきます。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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