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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル#07 ビジネスの種はすごいことを考えるのではなく「アレとアレを」くっつけるだけ

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会社から与えられた仕事を果たすだけでは「自分の稼ぐ力」は伸ばせない。それでは、特筆したスキルや好きなこともない人はどのようにその力を伸ばしていけばいいでしょうか。今回は「自分には何もない」と思っている人に向けて、ビジネスアイデアを生み出すための考え方をご紹介。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。

++ 「スキルがない私はどんな副業・起業すればいいの…?」 ++

勤務先が大手学習塾チェーンS社の傘下になると聞いた松井ゆみ(32歳)は、
「この先ずっと会社に左右される人生はイヤだな」と、副業や起業を考え始めた。
さっそく副業と起業した2人の友人に話を聞いた。

  1. 大好きな海外のベビー用品を個人輸入して使っていたら、SNSで『欲しい』という声が多くて起業した
  2. 本業では英語を使う機会がないから、NPO法人を運営する友人のところでビジネス翻訳をしてスキルを磨いている

「どうしよう。私には仕事にしたいほど好きなものも、人に貢献できるスキルもない…」
独立につながる副業を始めようと、ビジネスアイデアを考え出した松井さん。
しかし、イケそうなアイデアは勿論、やりたいアイデアも考えられず、身動きできなくなってしまった…。

自分には何もないと思う人に向けたビジネスアイデアの考え方

写真/shutterstock

副業にせよ起業にせよ、まずは「副業・起業のタネ」となるビジネスアイデアが必要です。
「半径5メートルのビジネス」では、どのように考えていけばいいのでしょうか。

「ビジネスのアイデアを考える」と言っても、初めてのことであればそもそも「どういうことが商売になりそうか」や「『私やりたい』と思えるか」はすぐに思い浮かばないかもしれません。

ビジネスといっても、身近な新聞やニュースで話題になるAmazonやFacebookなどGAFA企業の話を聞けば、何かものすごいアイデアがないと副業も起業もできないのではと思われるかもしれません。
実際にGAFAのような企業を立ち上げたいのならばともかく、我々が目指すのは「半径5メートル」のビジネス。
となると、案外ありふれたものが十分ビジネスアイデアになる可能性を秘めています。

ビジネスの種は「世界初レベルのアイデア」とは限らない

西暦が始まって2000年の人類の歴史があり、世界には現在80億人の人口がいます。
常に誰かが何かを考えている中で、全く誰も考えたことがないビジネスアイデアを思いつくことは、現実味がありません。そもそも「誰も思いつかないアイデアとは、逆に言えば、思いつかないから、誰からもニーズがない」ともいえます。 

例えばAmazonはよくあるサービスにITをかけあわせただけ、書店(小売業)とインターネット(技術)の掛け合わせによるビジネスです。

shutterstock

Amazonの場合、はじめはネット上で本が買えるというサービスだったのが、試し読みなど、リアル書店のいいところは取り入れ、ワンクリック購入、口コミコメント、星印での評価、オンラインならではの価値提供にも力を入れて、「よくありそうだけど、どこにもないサービス」を実現し、Amazonが選ばれる理由になっています。

このように、ビジネスが成功するためには「世界初レベル」のアイデアである必要はなく、「今あるもの」の掛け合わせで十分に素晴らしいアイデアになるのです。

事業×○○の掛け合わせから新たな価値が生まれる

ではビジネスアイデアを考える際にどんな組み合わせを考えたらよいでしょうか。
それは「事業×技術」の掛け合わせです。

例えば蔦屋書店のような本屋×カフェ=ブックカフェといった「事業×事業」は世の中に昔からたくさんあります。

shutterstock

しかし、現代は「事業×技術」の掛け合わせにチャンスが豊富に潜んでいます。
様々な事業で「DX化(デジタルトランスフォーメーション)」を推進しようという動きがそれにあたります。

例えばfreeeやマネーフォワードなどのクラウドサービスは、パソコンで使える会計ソフトがベースになっています。
会計ソフトを使えば、紙ベースで作成、管理していたものをパソコン上で作成、管理できます。
これだけでも十分画期的だったのですが、さらに「データの管理は、職場のパソコンやサーバーでなくても、インターネットでいいのは」と考えた人がいました。
職場のパソコンの代わりに、データをセンターに集めておく、つまりクラウド化することで、社内サーバーがいらなくなるのでより安く、データをどこでも扱えるのでより便利になります。
さらに、専用センターを使うことでセキュリティも向上しました。そうなると、安くて使いやすいクラウドの会計に流れるのは当然です。

shutterstock

個人での事業×技術、DX化の例をあげると、在宅秘書があげられます。
従来、スケジュール調整や出張でのホテル手配などエグゼクティブの秘書業務は、オフィスでのface to faceコミュニケーションをベースに、フルタイムで雇用した秘書により行われていました。
しかし、現代ではgoogleやzoomなどインターネットサービスを使えば、リモートで秘書業務が可能に。つまり、オフィスでなく在宅で、フルタイムでなくパートタイムで、個人事業主が秘書サービスを受託、提供可能なのです。
キャスターやココナラなどクラウドサービスを使えば、見ず知らずの、遠方の会社や個人とのマッチングも可能です。

このようにたとえ副業・起業するほどの特筆したアイデアを持っていなかったとしても、ご自身の今までやってきた経験を棚卸し、その中で持っている技術と今ある既存の事業を掛け合わせることで新しい価値やサービスを生み出すことがあるかもしれません。

次回は、新たなビジネスを考える上で押さえておきたい「イノベーション」について触れていきます。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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