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絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェを開業するなら、小さすぎる店を出してはいけない。その理由は?

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カフェを開業する秘訣。廃業しない店にしたいなら、店の坪数は10坪〜15坪!? 珈琲文明の店主赤澤智さんがカフェ開業のコンセプトについて語ります。

プロフィール

珈琲文明店主赤澤智

(あかざわ・さとる)昭和42年生まれ。メジャーデビューを目指しバンド活動をしながら12年間塾講師としても活動。大手学習塾の教室長及びエリアマネージャーとして4年半正社員として働いた後、2007年40歳の時に横浜市白楽にカフェ「珈琲文明」を開店。創業開始から今日に至るまでの16年以上(コロナ期間も含め)1度も赤字になったことがなく、黒字で長く続けられる経営を心掛けている。著書に「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えを見つけた(祥伝社)」がある。

小さすぎる店を出してはいけない

一人でやるお店に対して「あまり大きなハコではやらない」なんていうのは、もはや当たり前で何の新鮮味もなく、ここでわざわざ述べなくとも前準備に余念のないあなたであれば今後必ず耳にすることでしょう。

「店舗内装費、家賃、光熱費、その他様々なコスト、そしてワンオペでのサービスの限界、等々」ハコが大きいほどどんどん負担が増します。

「弱者(資本的に)の戦略」のキーワードもとにかく「小さくはじめる」です。

コンサル本その他様々な書籍を見ても、判で押したように合言葉は「スモールビジネス」。

私ももちろん否定はせず、しかも重要なことなので絶対押さえてほしい点ではあるのですが、あまりこの点にばかり意識していると非常に危険な落とし穴が待っているので、

今回はそっちを強調してみようと思います。

それが今回のテーマ「小さすぎる店を出してはいけない」です。

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珈琲文明店主・赤澤智がお伝えします(写真/珈琲文明)

きちんと売上を上げないと廃業する

「ワンオペ&ドリンク中心のお店」は、その性質からしてある程度の集客が見込めなければやっていけない(やっては「いけない」ともいう)業態なのです。

「粉骨砕身頑張れば」「おもてなしの心で」「無休営業」等、感情精神論は置いておいて、

これからあくまでも統計確率的数字に基づいた生々しい話をします。

唐突ですが、あなたは毎月11万2000円の給料で生活出来るでしょうか?

さらに妻子がいる場合それで家族を養う覚悟がおありでしょうか?

このへんをギリギリと言わない人であれば大丈夫です、8坪のカフェ、ぜひとも開業してください。さあさあ、「THE TSUBOHACHI CAFÉ」いざオープン!

できますか?

それ、先にわかっててできます?

やはり大半の人はそれは厳しいと思うはずです。

脅かすつもりは毛頭なく、現実問題ですので、しっかり受け止めてほしいのです。

カフェを開業する人が知らなくてはならない係数

この11万2000円の根拠となる数式を記します。

  • 16×700×25×0.4=112000

です。

超ド文系で数学はおろか算数もままならないこの私が珍しく数字出しますが、これはいったい何の数字、そして係数でしょうか?

※ちなみに8坪の店舗という前提での数式です。

ワンオペの小さなカフェの規模はどのくらい?

さて、そもそもどれ位の規模が大きくてどれ位が小さいのか、曖昧なのでハッキリさせましょうか。

・大きすぎる店

ワンオペでの個人店の場合(バイト含まず、テイクアウトはなく店内での飲食が完全メインのお店としましょう)、ズバリ、20坪以上ある店舗は「大きすぎるお店」です。

・小さすぎる店

そして、8坪以下のお店が「小さすぎるお店」です。

かなりレンジが狭いと思われた方もいるかもしれませんが、もっと細かく言えば、本当に適正空間規模は、10坪~15坪と私は捉えています。

だからこそ、この範囲内の規模でぜひ物件を探して欲しいんです。

個人が営むカフェの大きな店舗と小さな店舗

15坪以上の物件については、もしも立地的に郊外等で家賃が安いのであれば広くてもOKです。

ただしせいぜい20坪程度にはやはり抑え、席数もなるべく30前後にしておいてください。

そうすることによってかなり贅沢で落ち着くスペースが確保出来ます。

これが、結構いいウリになるんです。

さて、ここからが重要になります。

問題なのは、小さいほうの話、つまり8坪以下のハコの場合です。

かつて空前の居酒屋チェーンにまで発展した「つぼ八」は、出発点が「8坪のお店から始めた」からというその名の由来がありますが、言ってみればこの「8坪の店舗」というのはそれで利益を出すギリギリのスケールともいえ、だからこそ「つぼ八」のこの創業エピソードが痛快なわけです。

小さなカフェでは「8坪」が利益を出すギリギリライン

もう少し切り込んだ話をしますと、坪数うんぬんよりも何より重要なのは「席数」であります。

私が主宰する「カフェラボ」のメソッドでは「席数=坪数×2」としているので、8坪の場合16席です。

これ実際に皆さんが開業前に方眼紙等を使って各パーツの縮尺で店舗レイアウトを考えてみてください。(これ実践せずにカフェを出そうとしている人は、絶対やってくださいね)わかると思うのですが、10坪で20席設ける場合と8坪で16席設ける場合では断然8坪の店舗のほうが困難なのです。

なぜか?

それは厨房の大きさは8坪の店も10坪の店もたいして変わらないということを考えただけでもわかると思います。

さて、席数配置の苦労に関しては狭ければ狭いほど苦労するというのと、そもそも8坪以下はあまりに狭い。全ての位置にいるお客さん同士が近距離過ぎて圧迫感があって、おのおのの会話も駄々洩れになります。

だから、だいたいこういう店は「スナックのような地域コミュニティの場」という末路を辿ります

スナックならある程度の単価が見込めるから良いのですが単価千円に満たない喫茶店はアウトです。

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珈琲文明の店内(写真/珈琲文明)

小さなカフェが廃業する理由NO1は?

メニューのクオリティも接客サービスも申し分のないお店が数年で畳むことになるとしたら、その原因のおそらく断トツナンバーワンはセンスも才能も実力も無関係で単に「席数が足りない」だけなのであります。

こんなにやる前から結果がわかる指標も珍しく、「絶対に失敗するカフェ」の筆頭格がこの「小さすぎる(席数が少ない)店」なのですが、低コストに目がくらんで「そんなに儲けなくてもいいから目が行き届く範囲で丁寧に営んでいきたい」という「イイ人」が後を絶ちません。

「そんなに儲けなくてもいい」のではなく「常時赤字でやればやるほど破産に近づく」だけということなんです。

少なくとも我がカフェラボ内の人や今これを読んでいるカフェ開業希望者にだけは肝に銘じておいてほしい。

だから、なんだかこの話になると私は毎回熱くなってしまいます。

「カフェをやると収入はどれくらいになるのか?」という真実の数字(※世に出回る数値はワンオペ個人店カフェではなくアルバイトがいてやアルコール、フード充実のお店が大半です)に迫ります。

本当に本当に重要な話なので、ここまで読んだ頭の疲れをいったんクリヤにする意味も込めて、その核心に迫るのは次号としましょう。


メソッドを2020年に初の著書として出版。「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えをみつけた

震えて待て(笑)!
珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

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