絶対に失敗するカフェの作り方誰も雇わない、誰にも雇われない。小さなカフェのマスターが1時間で9千円を売り上げる方法
行列ができる横浜の喫茶店、珈琲文明の店長赤澤智が、小さなカフェを立ち上げる方法、黒字でい続ける方法について本気で語ります。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
目次
小さなカフェが赤字にならない理由
この連載でお伝えしていることは、大前提として「ワンオペ」のカフェの立ち上げ方、運営の仕方です。
ワンオペに特化したハウツー本というものを私はこれまでに見たことがなかったし、そもそもお店をやるなら「スタッフを雇う」ことを前提として始める人が非常に多いので、大きく警鐘を鳴らしていきたいという考えのもと私は「ワンオペ個人店」を強く推奨しています。
私は自分の店舗(珈琲文明)で大儲けしているわけではありませんが、ただひとつ誇れることは創業から今日に至るまでのこの16年間「一度も赤字になったことがない(コロナ禍も含む)」ということです。
これはひとえに「ワンオペ」、人を雇わないカフェのなせる技といえましょう。
コロナ禍などは大箱で従業員を多く抱える店舗のオーナーさんは大打撃を受けたと思います。ワンオペの小さなカフェの真骨頂は、何か起きた時、「最少の流血で止められる」ことです。
小さなカフェ経営の成功はマスターの能力にかかっている
私には勝手に師匠と呼んでいる人がいます。
その人は綱島に「カルディ」というお店を40年以上営んでいます。
「カルディ」のマスターは15坪、客席も30以上でさらに近年オープンデッキの外席まで設けメニューのスイーツは全て自家製かつコーヒーは自家焙煎、営業時間は午前10時から午後10時、休みは火曜日だけという鉄人です。
つまり、「当たり前」の水準がそもそも一般人とは桁違い。
ただ、個人でカフェを立ち上げたい、と思う人であれば、「当たり前水準の高さ」は本当に重要であると思います。
これは、企業で働いてきた人の能力が生きる場面でもありますが、個人でカフェを立ち上げたいと思うなら一度この「カルディ」に足を運んでみてください。
月商80万円を超えない限りは一人で経営する
もう1つ現実的な話をします。
これも私がさまざまな統計や数値分析をした結果到達した考えなのですが、少なくとも月商が80万円以上のお店でなければ「スタッフを雇ってはいけない」と断言します。
その根拠はまた改めてお伝えするとして、とにかく、「月商80万以下の店はスタッフを雇ってる場合じゃない」「なんとしてでもワンオペで月商80万円(しかもコンスタントに)の店にしてみせる」という気概が必要だと考えてください。
「人時売上高(にんじうりあげだか)」という言葉があります。
簡単に言うと、「スタッフ一人あたり一時間にいくら売上げているか」という数値です。
一般的には3~4千円あたりが平均と言われ、人時売上高が5千円を超えるとそのスタッフ(及びシフトを管理する人)はかなり優秀と言われます。
また7千円を超えてくるとそれはそのスタッフが優秀なのではなく、勤め先が「ブラック」と呼ばれ始めます(苦笑)。
ここでお伝えしますが、珈琲文明の土日における私の人時売上高は9千円に及びます。
はい、つまり、独りブラック企業です(笑)。
大変ではありますが、「カルディ」のマスターを師匠とあおっている以上、弱音は吐けません。
とはいえ何も私がドMというわけではなく、珈琲文明はカフェにはあるまじき週休二日のお店でたんまりと休みを謳歌しています。
それでも「人に雇われずに生きていきたい」を貫きたいか
もともと私がワンオペにこだわりたかった理由、初期衝動は前職サラリーマン時代に「人に雇われたくない」と思ったこと、そして、それ以上に「人を雇いたくない」ということを痛感したからです。
前職私は学習塾の教室長を任されていたと同時にエリアマネージャーとして山梨県全域の教室を統括していました。
教室長としては講師たちのシフト調整、エリアマネージャーとしては新人研修等様々な人材業務がありました。
遣り甲斐ある仕事だったと今でも思いますが、「発するエネルギーが多岐に及んだ」ということは言えます。
「教育業」の最も原始的なかたち、 それは「生徒を募集」し、「生徒カウンセリング及び保護者との入会面談」ののち「授業」を行う(講師を雇うのではなく自分が教える)、それによって対価を得る、 という流れを本流とすると、 本流ではないところにかなり水は流れます。 そしてそれを否定はしません。 企業や組織とはそういうものですから。
しかしこうした「本流」のみで、自分自身が物事の全行程を把握し、携わり、責任を持って思い切って取り組むことが出来る世界があることに気づきました。
それが「自営業」です。
脱サラ開業講座などで私が「人に雇われるのと同じかそれ以上に雇うのも嫌だったんです」と言うとその場に居合わせた私と同世代で中間管理職とおぼしき方々の頷き様はそれはもうメタルのライブかと思うほど皆さん首をブンブン縦に振られます。
「人生は一度、だからもっと思い切って直接的に物事の全工程に関与し、全責任を負い、己の意志を貫き通して人生を終えたいなという思い」
これを求めた結果、ややブラックだろうとなんだろうと、自分だけで完結し、お客様が笑顔になり、黒字が続くカフェを経営できているわけです。
皆さんがこれから開くお店が黒字で長く続くお店になりますよう。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」