絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェでの独立開業でモーニングやランチをやると失敗する?
ワンオペのカフェを開きたいという人が絶対にやってはいけないこと。モーニングやランチを出してはいけない理由とは。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
目次
手のかかるフードは絶対に出してはいけない
今回から、より連載タイトルに沿った、「絶対に失敗するカフェの作り方」をお伝えしていきたいと思います。
そう、書籍の目次だと「カフェで●●をしてはいけない」という文言になるであろうことですが、もちろん「いけない」なんて「誰が決めた?」って話で、それはあくまでも私が「そう思う」というだけなので悪しからず。
やるか、やらないか、は勝手だし当然自由です(笑)。
ただし! ここではあくまでも「ワンオペで」お店を運営していくということに力点を置いて述べていくということと、「飲食店での経験ゼロ(私がそうでした)」の人に向けてお伝えしていきたいと思っています。
ということで、ワンオペの小さなカフェを立ち上げる人が、絶対にやってはいけないこと。
「手がかかるフードは絶対に出してはいけない」
です。
これはあくまで「ワンオペのカフェ」が前提。
御夫婦で運営される場合はその時点で二人体制ですので、フードももちろん可能ですし、ひとりであってもオーナーシェフ&接客までする料理店はいくらでもありますね。
私がお伝えするのは、「喫茶メイン、かつ単価は1,000円以下、一日の集客が80~100人くらいまでは対応可能なワンオペレーションのお店」で、の話です。
お洒落なカフェ雑誌に出てくるような「採れたて有機野菜とイベリコ豚のなんちゃらかんちゃらとハーブティーのセットで店内はボサノバがかかっている(いや別にボサノバはいい)お店」を目指している人(やはり女性が多いでしょうか)にとってはあまりこの記事は参考にならないと思われるので、ここから離れ、己の道を邁進してください。
あ、嫌味でもなんでもなく、道は異なれど、チェーン店には出せないクオリティを追求する素敵な個人店が増えることは本当に嬉しいのでお互いに頑張りましょう。
カフェ運営のオペレーション最低でも8つ
はい!残っていただけた方、改めましてこんにちは!
さて、ここでいわゆる「ワンオペのお店」の流れをお伝えしましょう。
- お客さんを迎え入れ
- お水を出し
- オーダーを伺い
- 調理(←はい、ここ後で説明入ります)
- 会計し
- 器を下げて
- 洗い
- 収納
基本はこれらの流れですが、これはあくまでも最低限完全必須項目です。
例えば一気に全く別の3組が来店されて、人数は計7~8人同時または時間差わずかで更にもう1組畳み掛けるようにいらっしゃる場合なども多々あります。
そこに更にお客様からのメニューに関する質問があって、それに対する説明をし、別の問い合わせの電話、宅配便の受け取り……と、これまたいたって日常的な事柄が押し寄せます。
さらに、グラスが割れた、こぼした、トイレットペーパーがなくなった、物凄い酔っ払いがやってきた、などなど、不測の(いやこれらを不測と言ってはいけない。十分予測可能!)事態が加わります。
ワンオペのカフェでは、このような一連のオペレーションでの淀みを最小のものにしていく必要があります。
ということは、やはり「作る」という部分をいかに短縮出来るかにかかってくるわけです。
最適フードは「作っておいて、すぐ出せる」
では「作る」ものは出さないのか、というと、そうではありません。
提供までにほとんど時間がかからないカフェで出すのに最適なフードというものはいくつかあります。
これは、ファストフードを提供するという意味ではありません。たとえ、手間暇がかかっていたとしてもその制作時間は営業時間外であったり、アイドルタイム(お客様がいない時間)に行うことが可能なものであれば、「フードを出すのもあり」だったりするわけです。
ということで、小さなカフェで出せるフードの筆頭格はやはりカレーやシチュー、スープ類やスイーツ各種ということになります。
時間差で作っておくことが出来て、ケーキであれば生クリームをのせたり、ちょっとしたフルーツのトッピングをしたりブルーベリーソースなどをかけたりといったオーダーから提供まではさほど時間を要さないもの。
その範囲でフードを出すのはありです。
いや、むしろ出しましょう!
ドリンク無料のモーニングとランチはやってはいけない
「えっ!?なんだよ、結局、『フードあり』なんじゃん!」
という声が聞こえてきそうですが、その通りです!
先ほどお別れを告げた人は戻って来てくれるでしょうか(笑)。
結局のところ私がお伝えしたいのは、「モーニングやランチはやってはいけない!」いや、だからいけなくない、もとい、「モーニングやランチはやらないことに決める(のもひとつの考えですよ~)」です。
非常に大切なことをお伝えします。
一人でお店をやる場合、まずとにかく極端な時間のムラを避けるべきなんです。
レストランであればもちろんランチやディナーは生命線であり、アイドルタイムの3時~5時あたりは休憩で店を閉めたりもするでしょう。
しかしここで私が提唱するのは「ワンオペカフェの全時間帯ウェルカム体制」であります。
ご自身が普段外食やお茶を飲んだりする場合の意識や行動を振り返ってみてください。
あなたが物凄い頻度でモーニングやランチの利用をするカフェや喫茶店ってそもそもありますか? あ!名古屋の人の場合はあるか!……(笑)、いや、でもそのお店は、店主が一人でやっているお店じゃないですよね。
「え? 私は週4でランチに行くカフェがあります」
という方は、改めて考えてみてほしいのですが、そのカフェは自分の中で「ランチに行く店」になっていませんか? 多分、ですが、コーヒーだけを飲みに行くお店ではないはず。
これは心理的にも根拠はあって、モーニングやランチをするカフェでは十中八九ドリンクがサービスでついています。
この瞬間に、そのカフェのドリンクはお客様にとって「無料」という脳内シールが貼られます。そうすると、モーニングやランチ以外でお金を出してこのお店のドリンクだけをわざわざ飲みには行かなくなるのです。
全時間帯ウェルカムなカフェを目指す
「無料でコーヒーが飲めるランチの店」として生きていけるのかどうか……というと、かなり厳しいかと思います。その理由を私の考え方と経験を通じて説明しますね。
フードを出すということは、仕入れ原価が高くつくということを考えておかなくてはなりません。食材で3割程度ではセントラルキッチンや農園まで所有し、大量仕入れにより仕入れ単価が安く済んでいる大手チェーン店に太刀打ち出来ず、4割以上かけなければクオリティの差別化は難しいでしょう。
満席なんかになった場合のワンオペでのフード対応は無理があると同時に、集客の機会ロスもすごいことになると思います。
食材のロス(機会ロス、廃棄ロスとも)や在庫管理など、フードを出すことへの悩みの種は多いのです。
フードを出さず、ここでドリンクに原価をかけて他のカフェと差別化を図ることができれば、「全時間帯ウェルカム体制」のカフェを生み出すことができます。
モーニングやランチはやらないことに決め、その上で、提供までにほとんど時間がかからないカフェで出すのに最適なフードを出すのです。
そんなわけで、今回はワンオペ個人店というのはモーニングやランチは避けドリンクメインのお店で全時間帯ウェルカム体制であることを述べましたが、それでは具体的にメインメニュー(その店の4番バッター)はどんなものが相応しいのか、またサイドメニューに相応しいのはどんなものなのかを次回述べていきますね。
珈琲文明店主、赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」