絶対に失敗するカフェの作り方カフェを開業。SNSや口コミだけじゃない「選ばれる店」の絶対ルールとは、結局「立地」だった?
喫茶店やカフェを開業するとき、「SNSを活用すれば大丈夫」と立地や内装を軽視すると失敗する!? 行列が絶えない人気喫茶店「珈琲文明」のマスターが語る、選ばれる店になるために必要なこと。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
目次
立地はメチャクチャ重要
飲食店というのは立地ビジネスで、かつては「立地と外装内装で九分九厘勝敗は決まる」などと言われてきました。
ええ、2〜30年前の「普及の時代」は確かにそうでした。
しかし「成熟、選択の時代」である昨今は立地や内装だけで勝利はできません。
「SNSやクチコミで広がっていくことも多い今日ではQ(クオリティ).S(サービス).C(クレンリネス)を追求し、評判を高めてリピーターを増やし……」
なんてここで言うつもりは「毛頭ありません(笑)」。
いや、言ってもいいのですがそんなことはきっとここの読者は既に知っているでしょうし、他の書籍やコンサルが散々言ってることなのでそちらにお任せします。
というよりも、今やこの「立地よりQSCを大事に」のような説のほうが幅をきかせている感がありますので、ここでは逆に以下のことを思いっきり強調しておきます。
「立地はメチャクチャ重要です」
「立地はムチャクチャ重要なんですわ」
「滅茶苦茶重要」なことなので東西に向けて繰り返してみました。
ワンオペで持続可能なカフェ経営の「攻撃」と「守備」
「立地と内装で九分九厘決まる」とまでいかなくなったのは事実でしょう。
しかし、それで「立地や内装は重要じゃない」という話になるわけがありません。
一人でこじんまりとお店を始めようとする人がよく口にする「隠れ家のようなお店を出したい」……これ、ちゃんと考えてくださいね。本当にただ隠れ続けて知られないで終わってる場合ではありませんからね!
では、「立地は重要である」という考えは絶対のものとして、軽んじることなくしっかりと考えていきましょう。
それを大前提としたうえで、今から立地に対して「攻撃的」な話と「守備的」な話をしたいと思います。
あ、私がお伝えしていくのはあくまで「ワンオペ」で永続する喫茶店の作り方ですので、そこを踏まえて読み進めてくださいね。
攻撃:家賃3万円をケチってはいけない理由
まずは「攻撃的な話」から。
立地選定の際にネックとなるのは当然ながら「家賃」です。
例えば2〜3万円の家賃の差というのは固定費ですから大きいのは確かです。しかし、その2〜3万円の差で激的に人の流れが違う物件がある場合ではどうでしょうか。
お店が3万円余分に稼ぐためには、25日営業として、一日に1,200円分余分に売上げたら良いということです。単価600円なら1組(2人)多く来ればいいだけです。
「甘いな、毎日常に余分に1,200円売り上げるのは簡単じゃない、わかってないなぁ」
いえ、このことは毎日現場にいる私はまだこれから始めようとしている人よりも少しだけわかっているつもりです(※さらに「売上」ではなく「利益、せめて粗利」で考えるべきだから2人ではなく5人くらいの増加が妥当、ということもわかっています)。
それを承知の上で敢えて言います。
3万円をケチってヘンテコな立地物件に決めると大変なことになります。
10万円の家賃の物件Aと13万円のBがあるとして「Aよりも30%の集客増加が見込めないと13万の物件BはNG、Aにしておこう」だなんて発想はただの机上の空論で、現実はもっと恐ろしいのです。
物件Aは30%減なんてレベルではなく損益分岐点に満たない赤字店になる可能性だってあるのです。A店が70人B店が100人来るというよりもAが0人、Bが120人というような結果のほうが大袈裟なようでいて実はリアルなのです。
これらを踏まえて、くれぐれも家賃が安いからと言って変な立地を取らないようにしてください。
守備:家賃20万円以上は超えてはいけない理由
次に、「守備的な話」をしていきます。
「いい物件でガーンと稼ぎたい」という人がいるのはわかります。でも、やる気だけで動くと破滅します。
駅近の人気物件を選んで人気カフェになって……と妄想し、「家賃はバーンと張り込んで20万円のところで200万円売り上げればいい」という考えは攻撃的なのではなく、自滅的破滅的。いやハッキリ言いましょう「無理!」です!
「ワンオペ」で「長期的継続的に営業をするお店」で「テイクアウトや通販その他の副次的な売上を含まない状態」「アルコールメインの呑み屋ではないドリンクメインのカフェ」では不可能な数値だと断言します。
自分がやりたい喫茶店の上限を考える
そうです、ワンオペのお店というのは客数や売上の上限というものがあるのです。すべてにおいて、その上限と照らし合わせて検討していかなくてはなりません。
立地についてもそう。上限を軽く超えてしまうほどの「一等立地で高い家賃」の物件は意味がなく、無駄なのです。
意味があるとすれば、少なくともワンオペではなくて20坪以上の大箱、結局チェーン店で展開する場合ということになります。
もっと具体的に言いましょう。
ワンオペでの上限家賃は20万以内、売上はせいぜい150万が限界(100万も結構難しい)と考え、それゆえ20万以上の家賃の物件は見送ってください。
いい喫茶店でも家賃を度外視した店はつぶれる
皆さんの周りにも「お店の雰囲気もメニューもいいしお客さんも結構入ってたのに潰れたお店」ってありませんでしたか?
これは家賃がネックであった可能性が非常に高いのです。
このように立地と家賃は切っても切れない関係にあり、家賃を変にケチっても無駄に高いところにしてもダメということを踏まえて、「立地」の話をします。
では改めて、優良立地物件の見つけ方を述べていきます。
ここで皆さんに質問です。
街の中にある「優良な場所にあるハコ」ってどんなところでしょうか? それはやはり「有名ファーストフード」や「コンビニ」ですね。
立地と物件と家賃の見る目を鍛える方法は「コンビニ」?
もちろん、このような店は便利で駅近だったりするので、家賃20万円以下で見つけるのは困難なので、ワンオペ喫茶店の立ち上げには無関係です。ただ、これらのコンビニや有名ファーストフード店の立地を検証することで「優良物件を見極める感覚と目」を持つことができます。
いざ自身のお店を探すとなった場合でも、最高の物件を知っておくことで、家賃は下げつつ、場所も検討しつつ、でも「この物件ならいい」という、通行動線や集中場所を見つけることができるようになります。
次回はこうした実際に自身のお店を出す場合の具体的な立地選定方法と、不動産屋さんとの交渉方法等、完全実践編に続きますね。
珈琲文明店主、赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」