絶対に失敗するカフェの作り方客単価は最低800円にする。一人経営の小さなカフェで成功したいなら絶対知っておきたいこと。
自分でカフェを開きたい人必読の情報をお伝えする連載。客単価を店側が決められるって本当? 珈琲文明の店主・赤澤智がカフェ経営の本当のところを赤裸々に語ります。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
カフェ経営を目指す人が気になる情報の一つが「客単価は一体どのくらいになるのか」。客任せのように思える客単価。でも、実は店主側で決めることができるものだといいます。
目次
カフェを開きたい人がなかなか得られない情報
「カフェ経営、ぶっちゃけどのくらい儲かるの?」
という命題に対して、前回私は数式をお伝えし客数についてお話をしました。
・売上(客数×単価)×営業日数×0.4
今回は、客単価についてお伝えしようと思います。
これから、カフェの開業計画を立てようとしてる人は、売上の予測、つまり何人の人が来店し、いくら使うのか(客数×単価)ということを机上の空論ではなく、なるべく正確に知っておきたいと思っていることでしょう。
もちろん私もそうでした。
融資の際の事業計画にしても「売上予測」が必須項目です。
「そんなもんやってみなきゃわからんちゅうに!」
が地球上全開業希望者共通ワードでしょう。
融資する側がそれを訊きたいという心情ももちろんわかりますし、それ以前に何より店をやろうとしている自分自身が知りたくてしょうがないでしょう。
私もこの部分に関して、無数の本や人間その他様々な情報をアンテナ張り巡らして貪欲に得ようとしてきましたが、いかんせん話がやはり他人の家に土足で踏み込むような感じもあるわけで気を遣いますし、また気を遣うべきだとも思います。
逆に聞かれても、なかなかに答えにくい。
でも、これを知らない限り、カフェ経営を失敗する確率が激上がりします。
例えば来店されたお客さんにいきなり出し抜けに「毎月どれくらい儲かってんの?」「何人くらい人くんの?」って言ってきた人には「想像におまかせします」と顔だけはにこやかに完全回答拒否の姿勢はこれからも変わりません。
が!しかし!自身が主宰する「カフェラボ」内やIamの連載では、しっかりと述べさせてもらいます。なぜなら、本当にカフェを開業したい人が読者だと思うからです。
以上、前置き長くなりましたがそれではいきます。
客単価は実は開店前からわかっている
今回は単価の話をしますが、実は「客単価」は予め決めることが出来るんです。
これ、結構ビックリじゃないですか?
その前に!毎度毎度で恐縮ですが、私がここで推奨するメソッドを踏まえたうえでの話というのが前提ですのでそれをもう一度確認します。
あくまでも「ランチやディナー等フードをほとんど置かず、ドリンク中心で、しかしサイドメニュー(メインであるドリンクも頼みたくてしょうがなくなる類のものに限る)は用意してあるお店※テイクアウトも基本的に無し」であります。
上記の条件を前提として話を進めますね。
この手のお店の客単価は、ズバリ……
「そのお店の看板メニュー(注文最頻度メインドリンク)の値段」×1.2または1.3
です。
この公式は私が知る限り、まだ誰も提唱していないもので結構価値があるものだと思います。ぜひ、ここで読んだことを、有り難がってください(笑)。
看板メニューの単価の決め方には法則がある
例えば喫茶店(しつこいようですがモーニングやランチをやらないお店ですよ)で、筆頭メニューが「ブレンドコーヒー¥450」のお店であれば、客単価は540~600円弱だということです。
スタバだと筆頭メニューが少し分かれる、つまり単なるコーヒーというよりラテやアレンジコーヒーがかなりの注文頻度と思われるため微妙ですが、ドトールなどでは当てはまると思われます。
公式公開はしていないでしょうがおそらく「当たらずとも遠からず」の自信はあります。
またこの公式はラーメン屋等にも当てはまります。
前述8坪のカフェの店主の最低収入の算式「16×700×25×0.4=112000」を単価700円で計算したということはその店の「看板メニュー」は550円前後だということです。
係数が1.2または1.3と決まっている以上、どうしたってこの「四番筆頭メニュー」の元々の値段に全てがかかっているわけです。
客単価は最低でも800円になるようにする
昨今の度重なる原材料費の値上がりなども考慮するとなんとしてでも単価で最低でも800円以上には持っていってほしいのです。
そうなるとつまり「筆頭メニュー」は税込で600円以上である必要があります。
ここでひとつ鉄の意志を持って、「筆頭メニューのドリンクが600円以上することに自分自身がビビんないこと」を徹底してください。
例えばコーヒー1杯あたりの全国平均値は税込みで484円(※2022年7月時点での総務省統計局による小売物価統計調査による)です。
ファーストフードやチェーン店を含め、あなたのお店のドリンクの価値、美味しさってそんな程度でしょうか?
高価格帯にビビるよりもとにかく何としても「高いけどすごく美味しい」を追求してみてください。「安くて美味しい」ではダメで「高いけどすごく美味しい」というところから目を逸らさずそこでだけ勝負をかけてください。
知名度が上がれば客単価は自動的にアップする
ちなみに私のお店(珈琲文明)の現在の「筆頭メニュー(文明ブレンド)」は660円なのに対して単価は約1000円あります。
つまり1.5倍という状況であります。
これは創業当初からそうだったわけではなく、だんだんと世間に広く認知され、混雑してなかなか入れない状態なってきたからでもあります。
入店されたお客様は「せっかく入れたんだからこれも注文しよう」となる心理が働くからです。
ええ、私も行列が出来てるラーメン屋に入ったら「全部のせ」にしようとか思うので(笑)、この心理はよくわかります。
つまり知名度が上がって繁盛店や名店になると単価も勝手に上がっていくものだと思ってください。
しかしここではまだこれからお店を始めようとしているまだ何物でもないお店を題材とするため数字も低めに見積もって1.2~1.3くらいで考えておくと良いと思います。
カフェ経営で大切なのは単価より客数
さて、みなさん、ここで質問です。
売上を構成する2大要素「客数」と「単価」ではどちらが大事であると思いますか?
「どっちも大事だけど強いて言えば……」ではありません。
こんなものあまりにも当たり前で圧倒的大差で「客数」のほうが大事です。
「単価」は今回述べたように、こちらであらかじめ決めることが出来るんです。
そう、「操作が可能」なんです。
たまに単価がやけに高い日というのもありますが、これは例えば身内や友人が来店し少しでもお店にお金を落としていきたいと思ってくれたボーナス的なものだったりする場合もありますので単価が上がった下がったで一喜一憂するのはよくありません。
大事なことなので何度でもいいます!
「単価」は既に決まっているのです。
ところが、「客数」だけは自分で決めることが出来ません。
飲食店のみならず、あらゆる営利目的である会社はすべからく、日夜この「集客」という部分で頭を悩ませ企業努力をしているわけです。
カフェも同じで「集客」は大命題です。
集客について、また新規とリピーターについての大事な話も今後必ず触れていきますが、ひとまず今回は「客数>単価」、「客数のほうが圧倒的に重要」であり「単価はあらかじめ決めることが出来る(操作可能)」ということを覚えておいてください。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」