Interview
インタビュー

起業アイデアの見つけ方! 1万人の起業をプロデュースした新井一インタビュー第1話

「やりたいことなし」「スキルなし」「時間なし」。起業コミュニティサロン『起業18フォーラム』を主宰する新井一さんに、自分らしい仕事を生み出す方法をうかがいました。

新井一

プロフィール

起業のプロ新井一

1973年生まれ。1万人の起業をプロデュースした「起業のプロ」。会社員のまま始める起業準備コミュニティサロン「起業18フォーラム」主宰のほか、インターネットからの集客術に特化した起業家向けマーケティング支援などを行う。社会とのかかわり方に問題を抱え、高校・大学と海外のスクールに単身就学。帰国後、日本の企業に就職するも、人嫌いを克服できず、さまざまな失敗を繰り返す。社会になじめず、会社になじめず、自分の居場所を探して15年間会社員をしながら事業を続け、独立後は「起業のプロ」として起業家を育てる。著書に『朝晩30分 好きなことで起業する』(大和書房)、『会社で働きながら6カ月で起業する 1万人を教えてわかった成功の黄金ルール』(ダイヤモンド社)などがある。

15年間、パラレルワーカーとして自分らしい働き方を探求。自身の経験から「会社を辞めずに起業」をコンセプトにした起業コミュニティサロン『起業18フォーラム』を主宰する新井一さん。
人間関係を構築するのが子供の頃から苦手だったという。就職したものの、会社になじめず、社会になじめず、逃げて逃げて、自分の居場所を探し求めてたどり着いたのが起業コミュニティサロン。今では10000人以上の夢をプロデュースする起業の達人。『起業18フォーラム』は起業について学ぶコミュニティで会社員やOL、主婦らが自分らしい働き方、稼ぎ方を探している。起業するのに平均18カ月ぐらいかかるからこの名前になったそう。
そんな新井さんに「やりたいことなし」「スキルなし」「時間なし」でも、自分らしい仕事を生み出せるかを伺いました。

全2話、後編はこちらからどうぞ。

まずは「1個」自分の力で売ってみる

起業18フォーラムの会員さんは性別も年齢もステータスも様々ですが、会社員として様々な悩みを抱えていたり、壁にぶち当たっていたりする人が多く、残りの人生を自分らしく生きたいと考えて入会する人が多いです。

例えば50代で、月50万円の給料をもらっている人が、会社の看板を一切使わないで、初めて自分でビジネスを始めてみたら、残念ながらまったく売れない。でも試行錯誤して初めて売れたときは、言葉にできないくらい感動するんです。最初はみな「自分がビジネスなんて」「私が起業なんて」と思っていますが、2個、3個と売れると、もう「自分にはできない」とは思わなくなってきます。「こうやればもっと売れるんじゃないか」「こうしたらもっと喜んでもらえるんじゃないか」と、どんどん発想が膨らんで、それがさらなる行動につながっていきます。

新井一
写真/本人提供

ただ、この感覚にもだんだん慣れてきて、月に10個“しか”売れないと思い始める。買っていただいた10個に対して感謝の気持ちを忘れて、現状に満足できなくなってくる。ここが分岐点で “最初の1個が売れたときの喜び”に立ち戻ること、初心に戻って改めてお客様に感謝する気持ちを持つことができた人は、結果的にいい方向に進むことができます。

先日、コミュニティの会員さんが「マーケティングをしているときに、お客様のことを『ターゲット』と呼んでいたんです。誰かからお金を取ってやろうみたいな視点になっている自分がとても恥ずかしくなりました」と話してくれました。「初めて売れたときの気持ちを取り戻して、また一からしっかりやっていきましょう」という話をしましたが、起業というのはそのようなことの積み重ねなのだろうと思います。

経験を赤字と考える人、利益と考える人

新井一
写真/shutterstock

私はバブル崩壊後の入社世代です。私の就職活動と同時に就職氷河期がスタートしたみたいな世代だったので、この先どうなるんだろうと思いながら会社員生活を送っていました。そんな私が最初の一歩を踏み出したのが1996年。仕事内容は、海外に住んでいる友人に日本の情報を送るというものでした。当時はまだインターネットが整備されていなかったので、就職情報から家賃、芸能人の情報まで、日本の新聞に載っているようなことを何でも教えてほしいというのです。それで相手のリクエストに沿った情報をまとめてエアメールで送っていました。

ホームページが登場したときには、すぐに取り組みました。海外からマニュアルを取り寄せて、HTMLをひとつひとつ打ち込んでなんとか作った記憶があります。今みたいにブログやワードプレスなんてなかった。

すると、そのホームページに大手企業や小さな学習塾などから広告を載せてほしい、提携してほしいという連絡が入るようになり、なんとなくビジネスに発展していきました。

その経験を元に、参加費1500円のホームページ/インターネットの勉強会を開催しました。最初の参加者は3人。しかも2人は私が呼んだサクラでした。ルノアールの会議室を7000円くらいで借り、さらに何時間かに1回、1人600円のコーヒーを頼まなければいけない。友人2人分から会費は取れず、会場費、2人分のコーヒー代と大赤字でした。でも、これが僕の人生の大きな分かれ目で、この勉強会をやってよかったと思っています。

多くの人は「赤字だったらやりたくない」「やっても意味がない」と思うでしょう。でも、僕は赤字でも続けました。なぜならこの勉強会をすること自体が楽しかったし、人が集まってくるのでコネクションもできた。そうやって経験を積み上げていけたことが、とても役立っていると思います。

僕のこの経験は、今で例えるとドン・キホーテに行っていっぱい物を買ってきて、自分のネットショップで安く売るみたいなことだと思います。もちろん赤字にはなりますが、そこから得られる経験値は膨大です。

  1. ネットショップ作り
  2. 出品
  3. 販売
  4. 発送
  5. 評価をもらう

これだけのプロセス体験を買ったと思えば、全然赤字ではありません。下地ができれば、あとは商品をいかに安く仕入れるかを考えればいいわけです。趣味はお金がかかるものとみんなが納得しています。スキーが趣味ならスキー板やスキーウエアを買い、ゲレンデに通い、リフトに乗って練習する。お金を使うばかりで黒字になることはありません。それと同じ感覚で起業の第一歩を踏み出せたことは、とてもよかったと思っています。

私はダメ社員で、会社員としてうだつが上がらず、転職を繰り返していました。僕は子どもの頃にうつ病を発症したことがあります。そのトラウマから、社会人になったら頑張らなきゃと思って転職を繰り返し、なんとか生きながらえてきました。会社では誰にも相手にされない15年間でした。でもパラレルワークで起業支援やWeb制作を始めてからは “先生”と呼ばれ、休みの日にお金を払って、僕に会いに来てくれる。「この差は何だろう」と最初は戸惑いましたが、適材適所があることに気づきました。自分が花を咲かせられる場所を見つけたい、しかし、転職を繰り返すと評価下がるという現実に不安も感じていました。「だったら、自分でそういう場を作ってやろう」という気持ちがどんどん強くなって、現在に至っているという感じです。

僕自身の経験から言うと、起業というのは生き方の選択肢を増やしてくれるものです。

コツは仕入れ! 起業アイデアの見つけ方

起業というと完璧な事業計画やまとまった自己資金を貯めなければいけないと思いがちですが、そうとは限りません。何でもいい、もっと雑でいいんです。では、何を雑に考えるか。“何をするか”です。起業は“0から1を生み出す”と考える人がとても多いのですが、これは違います。多くの有名起業家は、アメリカで流行ったものを日本で流行らせている。英語で出版された本を見て、日本で展開する。つまり情報を仕入れているわけです。

新井一
写真/shutterstock

仕入れというと形のある物を連想しがちですが、情報も仕入れられます。ですから海外の情報をウォッチしておいて、日本で展開するっていうのは立派な仕入れです。英語ができないなら、自分が好きで参加しているセミナーの自分なりの見解をまとめてみる。好きな著者の本を全部読んで、その人について語るでも構いません。そこから著者を招へいしてイベントができることだってある。

物でなくても、有料ブログや電子書籍なども商品になります。何かしらテーマを見つけて、それが商売にできないかを考えてみるもいい方法です。翻訳や通訳、掃除など、自分が長年やってきたこと、趣味でもいいし仕事でもいい。子育てや介護など、どんなことでも構いません。自分の経験、主に失敗体験は多くの人に降りかかってくる共通する部分が多いので、失敗談をたくさん教えてあげたり、部屋の片付けを教えるという仕事もあったりします。

貸すという手段もありますね。不動産を貸すとか、車や自転車を貸す。自作のボードゲームを貸すという仕事をしている会員さんもいます。ボードゲームは買ってもすぐに飽きるし、結構大きくてかさばるから転売するのも面倒くさい。だからホームパーティーの日だけレンタルするという人がけっこういるらしいです。

起業というと難しく感じますが、要は「行動を通じて人の役に立てばいい」ということ。だから事業計画とか言わずに、「何か人にやってあげられることはないか」「やってあげたいことないか」と考えてみてください。会員さんで、犬のお散歩を仕事にしている人がいて、どんなときに需要があるのか聞いてみたら、飼い主さんがケガをしたり、風邪をひくなど体調を崩したときなどに代行を頼まれることが多いそうです。「そんな需要はない」と決めつけてしまうのはもったいないです。サービスの時間帯や条件を工夫することで、意外と立派な商売になったりすることもあります。

新井一
写真/本人提供

では「何をするか」の次に何を考えたらいいか。皆さんの中に譲れないものがあると思うんです。僕は今48歳なので、70歳まで働くと考えると、最低あと20年は働かなければならないわけです。すると、肉体労働がイヤだとか、年下にアゴで使われるのはイヤだとか、色々と出てきますよね。そういう“自分にとって大事なこと”と“妥協できること”の順位付けをしてみてください。自分の中での順位付けをして、上位2,3つは譲らないと決め、その条件に合った働き方をデザインする。そうすれば長く続けられますし、長く続けられるものは、結果が出ます。ですから、自分の価値観みたいなものをきちっと整理することが、自分を知る上でも、仕事をチョイスする上でもとても大切になってきます。

後編へ続く

取材/I am 編集部
文/岡田マキ

この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。
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