Interview
インタビュー

主婦歴30年、趣味のお菓子作りを仕事に。自宅の料理教室を経てお店オープン。/正伯和美さんインタビュー第1話

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主婦歴30年。55歳で大好きなお菓子作りで起業。コツコツ貯めた貯金で洋菓子店をオープンさせた正伯和美さん。未経験でどうやって、行列ができる洋菓子店にまで育てたのか?

プロフィール

「季節のお菓子 Miel」店主正伯和美

1965年福岡県生まれ。千葉・流山の「季節のお菓子 Miel」店主。新鮮な食材と季節の果物を使ったケーキ、焼き菓子などが並ぶ。販売されるお菓子は当日のInstagramにアップされる。

毎週火曜日と土曜日のたった週2日間の営業にもかかわらず、

開店前からお客さんが並びはじめる運河沿いにたたずむ「季節のお菓子 Miel」。

店主の正伯和美さんは、千葉県野田市在住の55歳。

会社勤めの夫を支え、2人の子どもを育て上げた主婦。

正伯さんは製菓学校を卒業したわけでもなく、

洋菓子店で働いた経験もない。

主婦歴30年の正伯さんが洋菓子のお店を開業するに至った経緯とは?

第2話はコチラ

第3話はコチラ

最終話はコチラ

お菓子作り。習う側から教える側に!

私は小さい時からお菓子を作るのが好きで、子どもたちがまだ幼い頃に、地元の公民館でお菓子やパンの講座があり、通っていたんです。そのうち、その先生のご自宅の料理教室にも行くようになりました。

先生は自宅や公民館でたくさんの講座を開かれていて、とにかくたくさん教えておられました。それである時、当時生徒の中では若手(笑)だった私に講座を手伝ってもらえないか、とおっしゃって。

最初はもちろんアシスタント的なことからはじめて、できるようになれば講師として教えてほしいと。私がよければお願いしたいということでした。その時は「私にできるの⁉」と思いましたが、人に教えるというのは、自分がきちんと習わないとできないことでもあり、習いながら教えられるようになればいいのかな、と。

開店直前まで作業は続き、作り立てのお菓子が並ぶ

ただ、お菓子作りを習いはじめて、まだほんの少ししか経っていないので、やっぱり勉強が足りないと思うようになったんです。製菓学校を出たわけでもなく、人に伝えるのに、「これじゃあ知識が不足しているな」「もうちょっと勉強しないと」っていうのがあって。

独学だけではダメ。教わることの大切さ

とはいえ、子育てにもまだ忙しく、本格的に製菓学校に通うには、時間的にも距離的にも金銭的にも、ちょっと難しいのが現実でした。

お菓子作りの本もたくさん出ていて、プロセスが細かく紹介されているので、自分でその通りに作ってみるんですが、うまくできない。でも、先生に実際に教わって作るとおいしくできるんです。独学だけではダメで、実際に教わることの大切さは経験的にわかっていました。

子どもが成長するにつれ、少しずつ時間にゆとりが生まれ、パートに出たりもして金銭的な余裕も出てきました。お菓子作りを探求したいと、都内の有名なお菓子教室に行くようになったのはこの頃からです。

もともと福岡なので、東京は詳しくないのですが、本で知って「すごくおいしそうだな」と、いつかそこで習いたいなと思う先生が何人かいたんです。2008年くらいのことなので、もう40歳を過ぎていたんですね。

探求のため、都内の有名教室へ

お菓子を習ったのは、武蔵小金井市にあるケーキと焼き菓子のお店のオーナーパティシエの先生です。女性パティシエの草分けのような存在で、自身のお店を有名店にし、レッスンもされて、熱烈なファンがたくさんいらっしゃる方です。当時すでに人気の教室で、空きがなくて。それでも、あきらめずに頑張って申し込みました。

焼き菓子やシンプルな生ケーキを作る方で、素材の味が生かされた、本当においしいお菓子です。私の味のベースになっているものは、その先生から教えていただいたものだと、感謝し、尊敬しています。

また、パン作りにも興味があったので、「わいんのある12ヶ月」というパンとワインの教室を主宰されている高橋雅子先生のところにも通うようになったのもこの時期です。

私がお菓子を教えていることを知って、アシスタントにと声をかけてくださり、1年ほど務めました。レッスンでお出しするデザートレシピをそれ以来作らせてもらっています。14年もお世話になっている先生です。ここで広がったご縁は自分の財産になっています。

自宅で教室を開きたいが…

高橋先生にもすごく影響を受けて、先生に紹介された別のパン教室にも行ったりしながら、“自宅で教える”というスタイルの先生がたくさんいらっしゃるということも知りました。私も最終的には自宅で教えられたらいいなと漠然と思いました。

OLYMPUS DI千葉・流山市を流れる利根運河沿いに「季節のお菓子 Miel」はある

教室をはじめるには、資格もいらないし、誰でもできるのですが、生徒さんを集めるには当然ですが、それなりの実力が必要です。それに、先生自身の魅力というか、人物的にも人を惹きつけるものがないと難しいんですね。

それに加えて、私の自宅は駅から遠く、わざわざ自宅まで来ていただけるのかという不安もありました。自宅で生徒さんを集めて教室ができるかどうか、自信が持てないまま、公民館で教える日々が続きました。

そのうち、ママ友からお菓子を教えてほしいと言われて、自宅でもお菓子を教えはじめました。ブログにその様子をアップしたら、問い合わせが来るようになったのですが、見知らぬ人を自宅に招き入れるのには少し不安がありました。募集をかけず紹介のみでレッスンするような状態で……。回数もこなせず、趣味の域にとどまっていましたね。

目的はないけどパートで資金を貯め始める

その頃、この近くでNPOのパート勤めをはじめました。今から5年ほど前のことです。流山市の利根運河の観光振興や地域創生を担う業務で、偶然ですが、この利根運河のPRにも関わっていたんですよ。お菓子作りとはまったく別の仕事ですが。

具体的な目標があったわけではなく、とにかく“いつかの何かのために”自分のお金を貯めておこうと。「キッチンをリフォームする」とか、「家族で海外旅行に行く」とか、「もしかしたら、フランスでお菓子を習えるかも……」みたいな、本当に漠然とした目標でした。

けれど、何かに背中を押されるように仕事をはじめ、「まとまったお金を貯めておこう」と思ったのは、今思えば、「思う存分、お菓子を作ったり、教えたり、販売できるようなことのために」というのが、心のどこかにあったのかもしれませんね。

ブログと教室と通販。自分にできること

実際、パート勤めの間に、自宅での営業許可を取って、家でお菓子の製造・販売ができるようにして通販をはじめました。パートもしながら、なおかつ教室もやっていました。

我が家はキッチンが2つあるんです。もしかしたら営業許可が取れるかもしれないと思って申請したんです。最初は許可が下りなくて……。あきらめようと思ったんですけれど、1年後にもう一度チャレンジしたら、許可が下りました。それで 販売ができるようになって。

ブログはすでに2010年くらいからやっていて、習ったケーキのことなどをアップしていたんですが、営業許可が取れたので「本日、お菓子を販売します」と告知すると、数が多くないこともありますが、ありがたいことにすぐ売り切れになって。次第に、販売(通販)でもやっていけそうかなと思うようになりました。

人気のバスクチーズケーキ。やさしい味わいの逸品

それで、自分でホームページも作って、「通販をやっています」、そして「教室もやっています」と伝えれば、多くの方に知ってもらえるかなと思ったんです。

そうしたら、教室の案内をブログやホームページで見てくださって、思いもかけないような遠方から生徒さんが来てくださるようになりました。

私がそうだったように、真剣にお菓子作りを習いたいと思っている方は、一生懸命情報を探して、たどりついてくださるんですよね。本当にありがたいことだと思いました。

取材・文・写真/時政美由紀

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この記事を書いた人

I am 編集部
I am 編集部
「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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