Be Career
キャリア設計

家庭のために「仕事を辞める」が当たり前だった50代女性。東京都の社会復帰のサポートのリアルは?

ログインすると、この記事をストックできます。

東京都の女性を対象にした社会復帰支援が手厚すぎる。50代女性の結婚・出産・育児・介護からの社会復帰について。「女性しごと応援テラス」に聞きました。

日本国内だけでなく世界から企業がここ東京に集中。企業の数だけ働く人数も日本一。そんな東京都が運営している「女性しごと応援テラス」。

働く、または働きたくても働けない女性への支援が「さすが東京都」という手厚さがあることをご存じでしょうか。同テラスは結婚・出産・育児・介護などの理由で退職し、家庭と両立しながら再就職を目指す女性に向けた窓口で、夫の転勤などライフイベントの変化で仕事を辞めざるを得なかった女性たちが相談に来るといいます。

社会情勢に翻弄される女性の労働市場の実態とは? 東京しごとセンター総合支援部のしごとセンター課長・稲垣裕之さん、女性再就職支援担当係係長・金子郁恵さん(取材時)、総務課企画調整係・倉持公美さん、女性しごと応援テラス事業責任者・村上美都里さんに聞きました。

50代女性が会社を辞めた理由

50代女性は社会的通年によって、仕事を辞めるというレールがいたるところに敷かれていました。仕事を続けたいと思っていても、それを許さない状況があったのです。

寿退社という社会通念

50代女性が寿退社するのは普通だった世代。「結婚=退職」というのが当たり前でした。男女雇用機会均等法が施行されたにもかかわらず、社会が結婚後も女性を正社員として認めようとしなかったのです。夫も妻が働くことに消極的なため、ほとんどの女性は寿退社という道を選んでいました。

夫の転勤や家庭環境

「女性しごと応援テラス」の村上さんによると、テラス登録者の中には夫の転勤や子どもの不登校などにより自身のキャリア継続をあきらめるケースがあるとのことです。転勤族の夫を持つ女性は、通勤が不可能なことから退職を選択する、不登校の子を持つ母は子どもが不登校になると、子どもの心のケアが最優先事項で取り組みたいことになり、子どもと一緒に過ごす時間確保のため退職の選択をする、などのケースが見受けられます。

ワンオペ育児と親の介護

女性の社会進出を背景に晩婚が増えています。高齢出産が増えると、どのような問題があるのでしょうか? 村上さんに聞きました。

「高齢出産をすると、介護と育児のダブルケアの可能性が高まります。また、自分のキャリアを考えたくても、仕事との両立はさらにハードルが高くなるようです」

家族の支援や行政のサポート・民間のサービスの情報をとれないと仕事を続けることは難しくなります。テラスでお話を伺うと家事・育児・介護を一人で抱え込み誰にも相談できていないケースも多々あります。

出典:ソニー生命調べ

コロナなどの突発的事由

「新型コロナウイルス感染症が流行する2020年以前は、ブランクがある女性が短時間で働ける職場も増えてきました。しかし新型コロナウイルスが流行し、子どもが家にいるようになったため、長く正社員で働いていた女性さえも会社を辞めざるを得ないケースがでてきました。また、飲食業・サービス業・観光業で働いていた人の多くが仕事を失い、テラスに登録されました。」と村上さんは言います。

こうしたことから、社会情勢に翻弄される女性の実態が浮かび上がります。

いろいろな事情で仕事をやめたけど、それでも再就職をしたい

村上さんによると、人生100年時代、これから年齢を重ねても長く働きたいたいと考える人が増加しているとのことです。

「女性しごと応援テラス」の利用で社会参加と自己実現へ

さまざまな事情で仕事を辞めざるを得なかった女性たち。長く仕事を離れた50代の女性が再就職するためには準備が必要です。都が運営する「女性しごと応援テラス」はそのような女性向けの就職支援サービスを提供しています。テラスでは、どのように女性たちを支援しているのでしょうか? 村上さんに伺いました。

【社会参加と自己実現へ①】最初の一歩を踏み出す

「『女性しごと応援テラス』では女性が柔軟に働けるような求人を紹介しています。家庭と両立しやすい職場で働くことで1歩が踏み出し、『仕事を辞めてしまったから自信がない』と思っていた女性が、徐々に自分の可能性に気づいていきます」

【社会参加と自己実現へ②】正社員を目指す

「一歩踏み出すと再びテラスでフルタイムや正社員などのステップアップ求人を探す女性も多いですね。少数ですが起業や創業を望むかたもいらっしゃいます。こちらも数は少ないですがダブルワークやトリプルワークなどのパラレルキャリアに進む方もいらっしゃいます。

女性たちは社会の役に立ちたい、自己実現をしたいと望んでいる人が多いです。最初は短時間でも、働くことで自信がついてきます。自分の状況にあわせて徐々に働き方を見直し続け、最終的に『長く働く』ことを実現している方が多い印象です」

在宅ワークで働きたい

さまざまな事情を抱えた女性たちが目を向けるのが在宅ワークという働き方。「東京しごとセンター」の稲垣さんによると、テラスには在宅ワークのセミナーがあり、女性に人気があるため、在宅ワークのニーズは高いと考えているそうです。

【在宅ワークの特徴①】介護や育児をやっている人も働きやすい

介護や育児をやっている人にとって、仕事をするのは時間の制約があります。在宅ワークは仕事との両立のしやすさから、そんな女性たちの注目を集めているようです。

「在宅ワークのセミナーは新型コロナウイルス感染症が流行したあたりから、大人気でした。もともと、自宅近くで短時間勤務をしたいという女性のニーズはあり、女性との親和性が高いんですよね。そのため、在宅ワークのセミナーは大人気で募集するとすぐに埋まってしまいます」と村上さんは言います。

【在宅ワークの特徴②】働くならIT系企業がチャンス

人気が高い在宅ワーク。しかし全員が希望通りの仕事に就けるわけではありません。実際のところはどうなのか、「東京しごとセンター」の金子さんに聞きました。

「テラスの求人情報検索の中に在宅勤務ができるものはありますが、在宅ワークに特化したコーナーはありません。そのため仕事を探す場合、ご自身で検索していただく形になります。在宅ワークはIT系企業の求人が一番多く、職種ではWebデザイナーやプログラマー、カスタマーサポートなどが中心です。

フルタイムで在宅ワークをするとなると、恐らくIT業界での仕事が多いと思うんですね。ですから、IT系のスキルがあれば、在宅ワークがしやすくなります。自分がもっているスキルと、企業が求めているスキルがどの程度一致するかがポイントになるでしょう」

【在宅ワークの特徴③】実は厳しい在宅ワークの現実

では実際に、在宅ワークを望んだ場合、希望はスムーズに通るのでしょうか? 企業は出勤を前提としているため、最初から在宅ワークで働くのは難しいと稲垣さんは言います。

「企業としては、完全に最初からフルタイムでテレワークしたい人は採用しづらいと考えているんですね。また、希望需要に見合うだけの仕事が世の中には、まだ少ないという現状があります。ですから、最初から在宅ワークで働くのではなく、まずは出勤をして、信頼を勝ち取ってからテレワークに移行することを推奨しています」

また、在宅ワークというと、自由に時間が使えて育児や子育てがしやすいというイメージがあります。しかし実際には、働くうえでシビアな現実があります。金子さんによると、テラスでも在宅ワークのシビアな面を伝えているそうです。

「在宅ワークというと、通勤がないことから、会社に行くより良いイメージがあります。しかし現実の在宅ワークは異なるようです。そこで、在宅ワークのセミナーでは、実際に在宅ワークをされている方に登壇いただいています。仕事の管理や選び方など、在宅ワークのシビアな面を知ることができます。参加者は、現実を知ったうえで、『本当に在宅ワークを希望するのかどうか』について、考えるようになるでしょう。その結果、『どういう働き方がいいのか』について、気づいていくと思っています」

「女性しごと応援テラス」で最初の一歩を踏み出そう

村上さんからのメッセージです。

「一歩踏み出すのは怖いかもしれません。やったことがないことを怖く感じるのは当然かと思います。『女性しごと応援テラス』はそんなあなたを応援します。

専任の就職支援アドバイザーが『あなたらしい家庭と仕事の両立』を一緒に考えます。仕事のブランクはあっても人生のブランクはありません。あなたのこれまでの家事・育児・介護などの経験すべてが次のステップに活かされます。

テラスは家庭と両立して働きたい女性のための専門の窓口です。都内で両立しながら働きたい方であれば、どなたでもご利用いただけます。

両立の相談はないという方には東京しごとセンターには年齢別のコーナーもあります。東京しごとセンターは飯田橋と多摩にあり、オンラインでの登録も受け付けています。少しでもご興味があれば、HPをご覧ください。皆さまの納得のいく就業につながるようにお話を伺いたいです」

この記事を書いた人

今崎ひとみ
今崎ひとみIT人文好きライター
うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン