SNS時代の「スマホでプロ級」写真教室料理写真のおしゃれな撮り方とは? 誰でもスタイリングがうまくなるテクニック
料理写真の失敗あるあるの原因の一つは「モノの数の多さ」。スタイリングしすぎて見せたいものが埋もれてしまうのです。
プロフィール
カメラマン・撮り方コンサルタント田部信子
「スタイリング、頑張っているのになんか格好よくならないんです」
と相談されることが多くあります。
スタイリングの失敗あるあるは3つ。1回目は「主役と壁が近すぎる問題」、2回めは「色を使いすぎる問題」についてお伝えしました。
最終回の今回は、「モノを入れすぎる問題」をお伝えします。
【写真で丸わかり】スタイリングが苦手な原因はモノの入れすぎにあった
目次
before モノが多すぎる
今回はスコーンの写真を撮っていこうと思います。
スタイリングが苦手な人によくあるのがこちら。スタイリングを頑張ろう!と思うあまり、色々なモノを画面に入れてしまい、結果として、肝心のお料理が目立たなくなっているケース。
スコーンを食べるのは朝だからジャムがあるといい、紅茶もあるといいな・・・。せっかく紅茶を淹れるなら可愛い紅茶の缶も一緒に入れよう。ジャムのビンもあるといいよね。赤いチェックの蓋が可愛いし。食卓にお花もあるといいな・・・。洋書を置いたらオシャレな感じになる?りんごを置いたら可愛いし朝っぽくみえるかな?そんな風にどんどん画面に入れたいものが増えていって、気がついたら画面がギチギチ。
そんなことはないでしょうか。
前回の「色を使いすぎる問題」の時も書きましたが、スタイリングの基本は、主役のお料理に目がいくこと。
多くのものを画面に入れてしまうと、せっかくのスコーンに目がいきません。
今回はここから少しずつモノを減らして、写真がどう変わるかを見ていきたいと思います。
【構図を考える①】まずは「ズームして離れて」撮ってみる
モノを減らす前に、まずは料理写真のキホン。「ズームして離れる」からやっていきましょう。
写真の中の歪みを取り除くためにズームアップします。
スマホのカメラアプリにある[x2]、もしくは[x3]のボタンをタップするか、2本指でピンチアウトして少し拡大してください。その後、自分が少し後ろに下がって、撮ってみます。
先程よりは写真が安定してきました。しかし、やはり要素が多すぎる写真ですね。
今回の主役はスコーンなので、そこに目が行くように変えていきましょう。
【構図を考える②】モノを減らして主役を目立たせる
まずは右奥と後ろにあるお花を取り除きます。
こうするとスッキリはするものの、右奥が寂しくなりました。少し紅茶のカップを右に寄せましょう。
次に左上の紅茶の缶を外します。
次に、左手前にあるりんごを外します。
赤という色は目立つので、それ自体に意味がない場合は無駄に目立ってしまいます。赤いものを使う時は慎重に考えた方が良いですね。
次に左下にある洋書を外します。
この洋書、そもそもあまり存在感は無かったのですが、外すとすっきりしますね。
最後は、右下にあるジャムのビン。これはスコーンを食べる時にも使うので入れておいても良い気もするのですが、この大きさのビンは悪目立ちをしてしまいます。また、先程りんごのところでも書いたのですが、この蓋の赤はかなり目立ちます。思い切って外しましょう。
かなりさっぱりましました。せっかくなので、もっとスコーンに寄ってみようと思います。
スコーンと紅茶と、取皿。実際に食べる時に使うものだけのシンプルな構成です。
これで、間違いなくスコーンに目がいきますね。
ただ、色味が少なくてこれだとちょっと寂しい気もします。
先程、赤いチェック柄のジャムのビンは外しましたが、やはりスコーンにはクリームとジャムがあるとより美味しそうです。そこで、今回はジャムをビンごと入れる代わりに、同じお皿にクリームとジャムを盛ってみたいと思います。
これで、シンプルですが色味も追加され、スコーンに目がいくスタイリングになりました。
AFTER 見せたかったスコーンが主役に
スタイリングはできましたが、この写真だと朝っぽさがないですね。スコーンはやはり朝のイメージ。もう少し朝っぽくしていきましょう。
とはいえ、難しいことはありません。全体に明るくするだけ。
iPhoneでピント位置をタップしたら、右側に出てくる太陽マークを上にあげていきます。Androidの方も、お使いのカメラアプリで明るさを調整できるはずです。どのようにしたら明るくできるのかは、「お使いのスマホの機種名、アプリ名、露出補正」で検索してみてください。
全体を少し明るめに調整したのが下の写真です。明るさを変えただけですが、随分とイメージが代わりました。今回はこれが完成カットです。
スタイリングする時に色々なモノを使いたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、モノをあまり詰め込みすぎると主役が目立たなくなってしまいます。主役に一番関連していそうなモノを厳選して置くようにしましょう。
そもそもスタイリングは、あくまで主役である料理を引き立てるためにあるもの。
やみくもにモノを置かず、その料理を一番引き立たせるのはどんなモノがあると良いかをまずは考え、最小限のモノでシンプルに画面を構成してみましょう。
おさらい
今回は、スタイリングがうまくいかない人が陥りがちな落とし穴の3つ目、「モノを入れすぎる問題」について解説しました。
◎撮影する料理に関連するものを厳選して、最小限のもので構成してみる
◎最小限で寂しい画面になったら、料理に工夫してみる(今回はクリームとジャム)
◎明るさを変えて自分のイメージに近づける
執筆/料理カメラマン・田部信子
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この記事を書いた人
- カメラマン。料理・人物を中心に撮影を行う。ダメアシスタント時代に撮影現場で何をしたら良いのか分からな過ぎて怒られ続けたことから、撮影の流れやコツを必死に言語化することに取り組む。それを元に作った講座が分かりやすいと人気になり、前職では写真教室を立ち上げ3000人に撮り方を教える。写真を撮るのに苦手意識を持つ人に、写真の楽しさを教えることに定評がある。