絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェ開業で「内装」にかかる費用をケチると失敗する?
小さなカフェにお客さんが殺到するために必要なこと。それは、内装にはしっかりお金をかけ、素人から見ても「素敵」と思わせること。珈琲文明の店主赤澤智さんが語ります。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
目次
カフェ経営は内装に凝らない限り失敗する!?
前回までは最強のサイドメニュー作りについてお伝えしました。
今回は、カフェの内装についてお伝えします。
かつてカフェは「立地と内装で9割決まる」と言われていました。
でも今やネットのクチコミサイトやSNSの普及に伴い「昔ほど重要じゃなくなってきている」と言われていますね。
しかし!私が声を大にして言いたいのは、「今も重要に決まってんじゃん!」です。
どのくらい重要かと言いますと、「内装に全てを賭ける」くらいの勢いで重要です。内装をおろそかにするとカフェ経営は失敗する、と言っても過言ではありません。
その理由は、以前「立地編」でも、お伝えしましたが、今回は、「内装編」です。
内装に失敗すると廃業に追い込まれるカフェ経営
突然ですが、よくある喫茶店でのシーンから今回の話はスタートします。
シーン①「いやぁ気持ちがいい天気といいますか、暑いくらいですよね。【あ、アイスコーヒー2つね】さて、早速なんですが今回の見積もりの件ですが・・・」
シーン②「タエコ、ごめんね呼び出して」「どしたの?急に」「いや、アキラがさぁ【あ、ブレンドください。タエコは?あ、2つで】」
シーン③「【ホット二つね~】田中さん、これが例の夢をかなえる奇跡の壺なんですけどね・・・」
お客様が来店後すぐにこのような「本題の会話」になるケースが多いとしたら、ワンオペ個人店は「失敗」します。何故かというと、「本題の会話」目的のお客様には選ばれにくいのが小さなワンオペのカフェだからです。
何故かというと、これらの「本題の会話」を持っているお客様のニーズを満たすお店は、「駅前」で、「店舗面積が広く」、コーヒー1杯が安いに越したことがありません。つまり、チェーン店ということになります。だから、ワンオペの小さなカフェ、個人店が「本題の会話」をする場所を目指すべきではないのです。
来店したお客さんが、店内を見回して、メニューもしっかり見て、複数でいらした場合はそこの店やメニューのことを話題にし、店内やオーダーの写真を撮ったり、出てきたオーダーの味を語りあったりすることにあります。もちろんその上で、「本題の会話」に入るといった流れもあるとは思いますが、それよりも、「店に来ることそのもの」が目的であることが理想です。
こういったお店にするために必要なのは「商品力」と「店内の雰囲気」に尽きます。
「店内の雰囲気」を、端的に言うと「内装」ということになるんです。
ね、内装、大事でしょう?
まずは自分が憧れる理想のカフェを見て回る
さて、では「その店に来ることそのものが来店目的であるお店」にするためには、どうしたらいいでしょう。
はい。一番簡単なのは、「既にそのようになっていると思われる店」をとにかくたくさん見て回ることです。
もっと言うなら、「人気店」「名店」と呼ばれるカフェに実際に足を運んでみることです。
これは別にお店のことに限らず、音楽にもファッションにも映画、書物にも言えることですが、「勘やセンスを磨く」ためにはやはり「上質な(←これも大事!)ものを数多く見聞きし体感する」ことです。そうすることで自ずと目が肥えてきますし、なんとなく「こうすればいい」というものが見えてきます。
そしてそのまず一歩としては、「こういうお店に出来ればいいなぁ」という憧れや、理想店があるとやはり良いと思います。
素人目にも「内装が素敵」と思えるカフェを目指す
「このお店は内装に物凄く力を入れているな」と素人目にもすぐわかるような完成度を目指すことが重要だと思います。
もちろんお金をかければいいというものでもなく、センスがあれば効率的かつとてもお洒落な内装に仕上がるとも思いますが、私の場合とにかく内装については素人でしたのでお金をかけるしかありませんでした。
でも、素人だから、「素人でも素敵と思えるカフェ」を目指すことはできます。
合版の木材よりも無垢の木材、クロスよりも漆喰の塗り壁のほうが、素人目線でも瞬間的にその上質さを感じ取れるゆえそういう作りにしたい。
その結果、相応にお金がかかってしまいましたが、もともとインテリアに関心があったり、DIYが得意だったりする人は、本領発揮することで費用は抑えることができるかもしれません。
内装をケチりすぎるとカフェ経営は失敗する
さて、ここで「投資利益率(ROI)」について考えてみましょう。
「投資利益率(ROI)」っていう言葉だけで、なんだか、ビジネスチックですね。
そう、チェーン店であったり、完全にビジネスとして店舗運営を行っている経営者にとっては何よりも「ビジネスとして成功するか」が最重要事項。
そして、「投資利益率(ROI)」というのは、簡単に言うと「いくら金をかけていくら儲かってるか」ということです。
当たり前の話ですが、「お金をなるべくかけないでたくさん儲かる」ことは理想ですよね。
世の優秀な経営者の方々はほぼ例外なくこの点に非常にシビアであり、シビアであるからこそ優秀な経営者とも言えます。
「よーし、じゃあ、やっぱりお金はかけずにたくさん儲けよう」と思った方、ちょっと待った!ここで考えなくてはならないことがあります。
あなたにとってお店って何ですか?
ビジネスか、と言われれば、当然ながらビジネスです。
儲けがない限り、廃業に追い込まれます。
でもカフェ開業の究極の目的は「幸せになるための手段」。
少なくとも私の場合そうでした。
まず、ワンオペの小さなカフェで、オーナーとして一日の半分以上を過ごす空間、これは完全に住む家以上の関わりのある場所です。
個人店にとってお店はまさしく店主の城、住処、要塞基地&遊び場です。
だからこそ、店主自体が居心地が悪いとか、「イマイチダサい」なんてあってはなりません。
カフェの内装が快適であるための工夫や努力は、そのまま、自分が幸せになるための必須項目なんです。
もちろん、赤字は困りますがそこには「投資利益率」といった概念は必ずしも筆頭事項ではなくなってくると思います。
だからこそ、声を大にして言います!
「内装はケチってはいけない」と。
内装にかけたお金は集客として戻ってくる
そしてそのような店作りは結果的に一般の人が「なんかいいなここ」と瞬間的体感でわかっていただけるようなものにつながっていく気がします。
もうひとつ、人々のクチコミやメディアでの紹介をする側のことを考えてみてください。
「一千万かけて妥協なく満足いくものが出来たお店A」と「数十万円でかなり妥協して出来たお店B」があったとします。
いろんな媒体でAのお店ばかりが紹介された場合、Bのお店のオーナーは「そりゃそうだよ、うちは安い予算でやってるんだから」と釈明(言い訳?)するかもしれません。
しかし、とにかく紹介する側というものは「結果のみでの瞬間的判断」という徹底的にシビアでクールなジャッジをしているのです。
確率論的にはそれ相応にしっかりとお金をかけたものが瞬間的判断で良しとされる場合が多いはずです。
もともとのセンスや経験がないオーナーであればなおのこと予算の相当額を内装工事費に充当するということは非常に重要だと思いませんか?
さて、次回は内装(そしてちょっとだけ外装)のもう少し深く突っ込んだ具体的な話、理想と現実、席数確保や動線の話等にも迫ります。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」