競合はなに? ブロガーかアルゴリズムか?「ブログは稼げる」は本当か? ブログ・アフィリエイト20年の歴史から”次の一手”を考える
「ブログで稼げるよ!」と聞いて、始めようとしている方にお伝えしたいこと。
「ブログで稼げるよ」
そう聞いてブログを始める方が、昨今の副業ブームと相まって増えてきています。本当に稼げるようになるのでしょうか。
かくいう私は、2004年にブログの運営を始め、以来18年間に渡って個人・企業共に数々のウェブサイトの運営に携わってきたブロガーであり、ライターです。
長年ウェブ界隈を見てきた私が、これからブログで稼ぎたいと考えている方に、あまりよそでは語られていない切り口で「ブログで稼ぐためのヒント」をお伝えします。最新のトレンドやSEO対策ではありません。ここ20数年間の歴史を俯瞰しながら、今後の一手を考えます。
【補足】本記事では、ウェブサイトに広告を設置して稼ぐ方法に絞って解説しています。自身のオリジナル商品・サービスを販売する、企業案件を受注しPR記事を書く、完成したサイトを売却するなどは含みません。
目次
《1990年代》ホームページで稼ぐ個人はほとんどいなかった
日本でインターネットが普及しはじめたのは、1995年8月のWindows 95、1998年8月の初代iMacの発売が大きなきっかけ。この頃はまだ、個人がインターネットで稼ぐという概念すらほとんどなく、掲示板の「売りたい・買いたい」コーナーで個人間取引をしたり、企業の懸賞に応募して当選を狙ったりなどで、多少の収益を得ていたくらいでした。Yahoo! オークション(現・ヤフオク!)が日本で始まったのは1999年9月です。
そんな中で、個人の人気ホームページ(*1)がちらほらと登場しはじめ、そこに対して企業が広告出稿をするようになります。
*1. 当時はサイトやウェブサイトではなく、ホームページの呼び方が主流でした。
個人的に印象深いのは、ある個人の方が運営していたApple関連のニュースサイト。月額5万円でバナー広告を募集していて、常時20ほどが設置されており、「このサイトは毎月100万円を稼いでいるのか。夢があるなぁ」と感じていました。
また、90年代の後半のインターネットでは占いコンテンツが人気で、中でも「動物占い」は大ヒット。占いページにアクセスするたびに広告バナーが増えていて、「稼ぐためには人が押し寄せるキラーコンテンツが必要なんだな」と、企画の重要性を痛感しました。
当時のインターネットユーザーは、検索とリンクがネット閲覧の主流。SNSはまだ無く、Yahoo! などを入り口するポータルサイトを活用して自分の好みのホームページを見つけては、ブックマークにせっせと追加していた時代です。
アクセスしたページに表示されているリンクを辿ってネットサーフィンを楽しむユーザーが多かったので、何の関連性もないバナー広告であってもクリックするユーザーは多かったと思います。私もその一人でした。
ひとつのサイト内にバナー広告が大量に並んでいても、それなりに広告効果はあったのです。
《2000年代初頭》アフィリエイトがスタート
アメリカで誕生したアフィリエイトと呼ばれる成功報酬型広告が、日本で広まったのは2000年頃です。
今でも続く老舗のバリューコマースが1999年11月、A8.netが2000年6月にアフィリエイトサービスを開始。ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)と呼ばれる広告代理店が登場しました。
また、2000年には日本語版のAmazonがオープンし、翌2001年にAmazonアソシエイト・プログラムがスタート。Amazon独自のネーミングが付けられていますが、仕組みは成果報酬型のアフィリエイトです。
アフィリエイトとは、サイト運営者がASPやAmazonから紹介したい商品・サービスを選び、それを自分のサイトに掲載。販売や申し込みがあると「売上の5%」「1件につき3,000円」など、報酬を手にすることができる仕組みです。
このように2000年代に入り、いよいよ個人がウェブサイトを運営して稼ぐアフィリエイターが登場し始めたのです。稼ぐのは今も昔も容易ではありませんが、2004年頃には月に30万円を稼ぐ専業主婦が現れ、一般的にもアフィリエイトが認知されるようになりました。
アフィリエイトが流行した背景には、ネットでお買い物をするユーザーの増加があります。ネットショッピングが流行り出したのです。
《2000年中頃》ブログとGoogle AdSenseが誕生
日本でブログが流行りはじめたのは2003年です。IT企業各社がブログサービスを展開しました。「livedoor Blog」「はてなダイアリー」「Seesaa ブログ」「ココログ」など。
同時期に、米シックス・アパート社が開発・提供するブログツール「Movable Type」も世界的に注目され、個人でレンタルサーバーを借りてMovable Typeをインストールし、自分のオリジナルのブログを立ち上げるユーザーも出始めました。
これに呼応するかのように、Googleがコンテンツ連動型広告配信サービス「Google AdSense」のサービスを始めたのです。日本でGoogle AdSenseの一般募集が始まったのは2003年12月。
Google AdSenseは、アフィリエイトのように自分で商品を選んで、それをユーザーに対して訴求する必要はありません。Googleから提供されるHTMLコードを自分のウェブサイトに記述しておくだけで、自動的に広告が表示されるのです。その表示回数やクリック数をもとに収益を得ることができる仕組みです。当時「アドセンスはマネー製造機だ」とも称されました。
私個人的には、ブログ到来はまさに自分の理想としていたところ。2003年に初めてドメインを取得し、Movable Typeを勉強し、2004年1月にレゲエに特化したブログ「Yellow Jamaican」を開設。ブログブームの波に乗り、ニッチジャンルではありますが人気ブロガー入りを果たしたのです。手前味噌ですが、そんなエピソードを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
収益を目的としていた訳ではありませんが、当時得られた収益は、Google AdSenseで月に1〜2万円。それにプラスして、Amazonアソシエイトで書籍やCD、ジャマイカ料理用のスパイスなどを販売し、月に数千円を稼ぎました。
どっちで稼ぐ? アフィリエイトかGoogle AdSenseか?
さて、ここまでは「個人がウェブサイトで稼ぎ始めるようになった黎明期」について解説しました。ここから現代に話が飛ぶのは端折りすぎる気もしますが、実のところ当時から20年ほどたった今も、基本的な仕組みは変わっていません。
アフィエリエイトか、Google AdSenseか――。
これが大きな柱です。インターネットをとりまくトレンドは日々刷新され、「昔のことを知っても役に立たないのではないか」と考えてしまいがちです。しかし、この2本柱はおよそ20年も続いているのです。
今からウェブサイトをつくって稼ぎたい方は、この2本柱を要に考えていくのが良いでしょう。
そこで大切なのが、「どちらの柱をメインにするか?」です。
アフィリエイトを主として稼ぎたい場合は、その商材を販売するためのサイトをつくる必要があります。たとえばキャットフードを商材にしたいのであれば、猫の種類、猫の飼い方、猫の魅力など、ペットのムック本をつくるようなイメージでサイトを設計し、必要な記事を書いていきます。そして、サイトに猫を飼っている方を集客し、キャットフードを購入していただくのです。
もう一方のGoogle AdSenseを軸に稼ぎたい方は、どんなサイトでも構いません。大切なのはアクセス数です。たとえばラーメン食べ歩きブログをつくってもアフィリエイトだと販売する商材はほとんどありませんが、Google AdSenseなら広告を設置しておくだけで収益を得ることができるのです。
また、アフィリエイトで稼げるジャンルはライバルサイトがひしめくレッドオーシャンですが、渋谷駅周辺のラーメン店のレビューを網羅したブログならライバルはそれほどいない上に、それなりの需要もあります。Google AdSenseを軸にした場合、ブログのジャンル選びに自由度の高い狙い方ができるのです。
私は「パパやる」という子育てブログも運営しているのですが、子どもと遊べる公園やプールを紹介したところで、アフィリエイトで販売できる商材はほとんどありません。しかしGoogle AdSenseの広告を設置しているおかげで、収益を得ることができているのです。
稼げる金額については、Google AdSenseはアクセス数におおむね比例し、アフィリエイトは商材選びが要です。商材の報酬額が1件100円と1件1万円では稼げる金額は100倍違ってくるからです。もちろん高額商材を販売するのは難易度が高いですが、小さな商品を大量に販売するのも同様に難しいです。
「YMYL」には要注意! 個人・初心者では稼げない
今回は、歴史を振り返りながら「アフィエリエイトか、Google AdSenseか、メインにする柱を決めよう」というお話をしました。
最後に、初心者が手を出してはいけないジャンルについてお伝えしておきます。それはYMYLに関わるジャンルです。YMYLとは、Googleが公開している「検索品質評価ガイドライン」の中で使われている言葉で、Your Money or Your Lifeの頭文字です。
YMYLとは?
Money | お金 |
Life | 医療・健康 |
どこまでがYMYLに含まれるのかは明確にされていませんが、これらに関わる記事についてはE-A-Tが必要とされています。
E-A-Tとは?
Expertise | 専門性 |
Authoritativeness | 権威性 |
Trustworthiness | 信頼性 |
E-A-Tとは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字です。
つまり、初心者がYMYLに関わる記事を書いたところで、Googleからは評価してもらえず、検索結果に表示されづらいのです。
試しに、Googleで「ニキビ」と検索してみてください。本記事執筆時点では、日本皮膚科学会、製薬会社、化粧品会社、その他大手企業ばかりが検索結果上位にひしめいています。ここに個人ブログが食い込むのは非常に困難です。
検索結果を決めるアルゴリズムは頻繁にアップデートされていて、YMYLジャンルに関しては2017年以降その傾向が高まってきています。もし、どうしてもYMYLジャンルで攻めたい場合は、SNSやメルマガなど検索流入以外での集客方法を検討した方が良いでしょう。
検索流入(SEO)に頼りすぎないブログ運営
次の一手としては、検索流入に頼りすぎないブログ運営です。
Webコンテンツが日々増えていき、SEOにE-A-Tが求められるようになる中、検索結果の上位表示を狙うのは益々困難になってきます。今後、楽になることは決していないでしょう。
検索流入以外で集客する手段は様々です。その一例をお伝えします。
- 【Instagram】美容、ファッション系のアカウントを運営し、ブログに集客
- 【YouTube】How To、ビジネス系のアカウントを運営し、ブログに集客
- 【リンク】力のある方にリンクを貼ってもらえるよう、インタビューやイベントレポートなどの企画を実施する
- 【メルマガ】ブログに未掲載のスペシャルコンテンツやお得情報などを発信し、ユーザーを囲い込む
施策は他にも沢山あります。SEOだけに頼らない足場を築くためには、「ブログを作ればOK」ではなくプラスアルファが必要不可欠なのです。特にSNSは欠かせないでしょう。
SNSの活用術に関しては、MBさんのインタビューをぜひご覧ください。実績を伴うノウハウが満載で、とても有益なお話をいただいています。
今回は以上です。
稼ぐためのブログを始めようと考えている方のヒントになれば幸いです。
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この記事を書いた人
- 文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。