ファッションアドバイザー MB 命の最小単位は時間 リミットは意識できているか!?SNSごとに目的を分けよう、発信内容の混ぜこぜはNG! MBインタビュー第2話
自分のビジネスをネットで情報発信したい! でもSNSは種類が多いし、他にもたくさんの媒体があるし、どう使い分ければいいのかわかりません。ブログ、メルマガ、SNS、オンラインサロン、音声配信など、メディアの使い分けについてお伝えします。
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ファッションアドバイザーMB
自分のビジネスをネットで情報発信したい! でもSNSは種類が多いし、他にもたくさんの媒体があるし、どう使い分ければいいのかわかりません。
会社をやめて独立したり、個人でビジネスを立ち上げたりする際、今や情報発信は避けては通れなくなってきました。そんな中、ブログ、メルマガ、Twitter、YouTube、Instagram、オンラインサロン、音声配信など、どう活用すればいいのでしょうか?
有料メルマガ個人配信者として会員数日本一、ベストセラー本多数、テレビや雑誌など数々のメディアに出演など、大人気のMBさんにメディア戦略について伺いました。
全3話。今回の第2話では、メディアの使い分けについてお伝えします!
*第1話はこちらからどうぞ。
*第3話は5月12日配信
目次
あなたはどっち? SNSを厳選すべき人、手広くすべき人
情報発信をする際、お客様となりえる層がいるSNSに集中すべきか、それとも手広くするべきか。どちらが良いでしょうか? メディアっていろいろな種類があるので悩ましいです。
それには、なぜやるかが必要です。たとえば「TikTokやろうかな?」って迷ったときに、「なぜやるのだろう?」を考えなきゃいけなくて。
僕の場合、Instagram以外は「ここでは、こういう目的に基づいてやる」とちゃんと決めているんです。「このメディアではこういう風に立ち振る舞って、こういう人たちをこっちへ連れて行く」といった具合に。
具体的には?
たとえば、書籍を買ってもらいたいのなら、「メルマガは本を買ってもらうためだけの目的の媒体にしよう」など、目的を決めるんです。
なるほど!
10代に自分の顔を売り込みたいなら、TikTokはすごく良いツールなんですよ。但し、じっくりと見るタイプではないので、情報に対するロイヤリティはすごく低くなってしまう。YouTubeだったら、「これ良いな」と思ったら概要欄のリンクをクリックしてくれるかもしれないけど、TikTokはかなりの人数に見てもらっても難しい。
だから、「自分がここでやる意味って何だろう?」って考えるのが大事。10個しかない商品を売りたいのか、とにかく顔を売って知名度を高めたいのか。
目的を決めず、あれこれ手を出すのはダメということですね。
時間って超有限じゃないですか。I amをご覧になっている方は、特に身に染みてわかっていると思います。すでに社会経験を積んだ30代・40代の方が多いと思うので、その年齢になると時間のリミットを意識しだす頃だと思うんですよね。無限にあるんだったら別にいくら遊んでもいいと思うけど、有限だとすると命を削ってやる訳じゃないですか。
そうですね。たしかに、焦りはあると思います。
命の最小単位って時間なので。時間を使うのは命を犠牲にしているのと同じことだから、時間をいかに効率的に無駄なことをやらないか、っていうことを考えた方がいいと思うんですよね。
遊ぶときは無駄に時間を費やすほうが楽しかったりするし、その無駄さを楽しむ趣味もいっぱいあると思うので、それはいいんですけど。ビジネスは、なるべく時間を圧縮して、命が削られるヒットポイント(HP)の消費量をなるべく抑える方がいい。そう考えると、むやみやたらに手を広げて媒体を増やすよりも、目的に応じたものだけを選んで、それ以外はやらないって考えた方が絶対に良いと思います。音声SNSのClubhouseが出てきた時は、みんなこぞってやっていたけど……。
Clubhouseは、パッと大勢が飛びつきましたね。
このとき、「とにかく早くやらなきゃっ!」って、先行しちゃう方ってすごく多いと思います。早く始めないと、早く触れないと、って。それも考え方の一つとしては全然アリなんだけど、そこにも自分のビジネスの核があって、成り立っているかどうかを考えた方がいいと思います。「とにかく早く」「乗り遅れないように」と、無駄に広げるのはあまり良い策だと思えないんですよね。
でもインフルエンサーの方達は、「先行者利益があるから早くやれ」って煽るじゃないですか。
やりがちですね。
そこでも目的と手段を意識しておかないと、振り回されてしまうんですね
そうなんですよね。たとえば僕だったら、最終目的は「面白い服をみんなにもっとわかってもらいたい」とか、「マニアックな服をもっとみんなに知ってもらいたい」っていうことだから、ゴールは、自分のメディアを読んでもらうとか、僕が紹介したり作ったりした服を買ってもらうとかになるんですよ。だから過剰に人を集めたり、あらゆる媒体に手を伸ばしたりしなくてもいいんですよね。エンゲージメントが高い人を集めて、その人たちにアプローチをしていくっていうことが僕の仕事なんです。
一方で、影響力を重視したアイドルのような方達っていうのは、媒体にとにかくいっぱい手を出すっていうことが正解だったりもするわけですよね。
おぉ、なるほど!
目的が「自分を売る」っていうことだったら、いち早くTikTokやClubhouseを始めるのが正解になってくる。そうすれば、取材、トークショー、ライブ、執筆などの依頼が来る。自分のサービスが存在しない、自分の媒体が存在しない、そんな方にとっては影響力が重要ですからね。
YouTubeはマスメディア、UNIQLOやGUの話をメインにする理由
以前、MBさんがVoicyで「YouTubeはマスメディアだ」というお話をされていて、私自身YouTubeに対してマスメディアの感覚がなかったので驚いたことがあります。
えぇー、そうなんですね。面白い! なるほど。
マスメディアだから万人にウケるUNIQLOやGUを紹介するのがいいんだとお話されていて、「YouTubeはマスメディアだったんだ!」と、とても驚いたんです。そのときガーンとやられました。それに気づいていなくて。
面白い、それは。実は最初、僕もそう思ってなかったんです。YouTubeを始める前に母親と話していて、「きまぐれクックさんって知ってる?」って言われて。うちの母親は65歳くらいなんですけど、その世代がYouTubeを見ているんだと知って、「あっ、これは時代が変わったな。僕の感覚は間違っているな」と気づきました。
その頃、僕はマスメディア = テレビやラジオだと思っていたから、テレビの出演でもすごく頑張っていたんですよ。今も別に頑張っていない訳じゃないですよ。ただ、テレビに出演すればマスに届くという考えは、もしかしたらすごい間違いなんじゃないかなって、寒気がきちゃって……。
MBさんのアイデアを広めるためにマスメディアの活用をしたけど、そもそものマスメディアの概念が違っているかも……と。
そう。やっぱりYouTubeやんなきゃいけないかな……って。でも、YouTube嫌いだったんですよ、僕。むしろ大嫌いで。
なぜ、YouTubeが大嫌いだったのですか?
僕、テレビの人たちをすごく尊敬しているんです。自分がテレビ番組に出させてもらったり、自分の冠番組を持たせてもらったりして、なおさら尊敬するようになったんですけど。やっぱりみなさん、職人なんですよね。芸能人の方って、何もないゼロの状態から100まで話や場をつくることができるから、もう本当にリスペクトしています。
一方、YouTubeでは、普通の人がありのままのことを喋っているからウケるっていう構造じゃないですか。だからアマチュアなんですよね。そのアマチュアさが面白いからウケているのも事実なんですけど、あまりにもテレビに対するリスペクトが無いなって。だから、あんまり好きじゃないなと思って、遠ざけていたんです。
なるほど。意識的に避けていたのですね。
食わず嫌いもあったんですけど、母親の話を聞いて「ちょっと僕の考えはヤバいかも。古いかも」と思って。
ただ、相変わらずテレビの人は尊敬しているし、すごいなと思っています。音声さんやカメラマンさんがいて、台本を書く人がいて、スポンサーを探してくる人もいて、もちろん演者さんがいてっていう、大勢の人と企業を巻き込んでつくる総合芸術がやっぱりテレビだと思うから。それはやっぱりリスペクトです。
Amazonのレビュー見て買う人が多いのと一緒で、一般の人が同じ目線で語るっていうことに価値を見出している人がこれほど多く、年齢の高い母親にまで刺さるようになっているんだって思うと……。YouTubeもマスメディアのひとつとして本腰入れないと、僕が思っているファッションの文化っていうところには行かないだろうなと思って。「じゃあYouTubeは何のためにやろう?」という風に考えだして、目的設定をして、そこから始めたって感じですね。
なるほど! そもそもYouTubeはマスメディアっていう意識のもとで始めたから……
始めました。だから大勢のYouTubeユーザーの中からどう自分のお客さんを抽出して、次の段階に上げていくか。そして、じゃぁYouTubeではこういう話をしないといけないな、と考えました。
YouTube全体を捉えて考えるのはすごい発想だと驚かされましたが、そういう経緯だったのですね。
母親のおかげですね。
MBさんのYouTubeチャンネルでは、ファッションのコアファン向けに高級ブランド『メゾン マルジェラ』 のお話もされていますが、やっぱりUNIQLOの話題の方が人気ですよね。
はい、全然違いますね。だからもうYouTubeでほとんどUNIQLOとかGUとかワークマンとか、そういうもの以外の話をしないようにしないようにしています。たまに遊びでコアな企画をやったりもしますけど。
音声配信のVoicy、ビジネスをテーマにする理由
音声配信のVoicyでは、逆にビジネス寄りのお話をされていますね。
そうですね。Voicyは完全にビジネスですね。
あれは、Voicy内の空気を読んで、ユーザーに合わせた感じでしょうか。
どちらかというと逆で……。僕自身、10年もこの仕事やっているので、予期しないところが支持され始めたんです。ファッション領域の中で人をどれだけ成長させていくかを考えていくうちに、外見だけでなく内面についての話もさせてもらうようになりました。考えだったり、人生論の哲学だったり。Voicyで番組を始める前から、「内面も外見も綺麗になる」っていうところから両方の話をしていたのですが、思いがけずそっち(内面)の人気がすごく出てきて。
なるほど。たしかにビジネスと言っても、テクニックより本質に迫るお話が多いですね。
僕、仏教がすごく好きなんです。仏教や哲学の見方としてすごくファンが増えてきたので、こっちもちゃんと成り立たせようかなって思うようになってきたんですよね。「じゃあこっちを成り立たせるためにはどうしたらいいだろう?」って考えたときに、Voicyって良いツールだなと。
でも最初は「ファッションの話もした方がいいのかな?」と思い、Voicyを始めたての頃は紆余曲折していたんですけど、やっぱりVoicyでは「考え方や生き方とかに興味を持って、自分の人生やビジネスをブラッシュアップできる人が増えたらいいな」と思って、今のかたちになりました。Voicyを窓口にして、ここからトークショーにつなげるとか、ちょっと成長構造みたいなことは考えているんですけどね。
入口と出口を設定しよう! お客様を呼び込むだけではダメ
つい、ごった煮になりませんか? やりたいことが複数ある場合、あちこちでいろいろな話題を出してしまいそうです。
そう、だから媒体によって分けていますね。「YouTubeの目的はこれ」「Voicyの目的はこれ」と。Voicyを始める前はYouTubeでもいろいろ話していたけど、今は分けていますね。
すごいです! つい混ぜちゃいがちだと思います。
ごちゃごちゃになったり、わけわかんなくなっちゃったりする人の特徴は、目的設定ができてないんですよ。
確かに(笑) SNSって迷走しがちですもんね。
お客様をどうしたいかって、ビジネスの基本じゃないですか。誰を、どうしたいのか。某牛丼店だったら、忙しく一生懸命働いているサラリーマンの方にすばやく美味しく牛丼を食べていただくみたいな。マラソンだったらスタートとゴールがあるっていう感じ。
なるほど、ちゃんとゴールを設定しておかないといけないのですね。
そうです。「誰を?」はみんな見ているんだけど、「どうしたいか?」は結構見ていないんですよね。
つまり、ゴールのないマラソンをさせてしまう。そうすると迷子になって、こっちへ行ったり、あっちへ行ったりするから、当然その成約率は低くなるに決まっていて。誰をどうするかっていうのが無い……。びっくりするぐらいみんな持ってないんですよね。
あぁ、確かにこれはありがちですね。入ってはみたものの、どうすれば良いんだよ? って。
そう。たとえば「何かを売る」っていうことが最終目的だとしたら、これを意識してコンテンツを作んなきゃいけないのに、それが無いとみんな迷っちゃう。動線のない洋服屋さんと同じで、お客さんが入っては来たものの「どこでもいいから見てってください」「何でもいいから好きなように」ってやると、誰も洋服を買わないわけですよね。
なるほど!
お店で物が売れるのは動線があるからで、マラソンでゴールができるのはちゃんとゴールのフラッグが立っているから。それが無いっていうのはまずいですよね。
たしかにネットの記事でも、「いらっしゃいませ。ぜひ見てくださいね」みたいな感じで呼び込むけど、そこから先が無い場合は多いかもしれないです。
そうなんですよ。みんな「いらっしゃいませ」は大得意なんですよ。でも、「ありがとうございます」ができないんですよね。
かなり前ですけど、MBさんがどこかでお話されていた洋服屋さんのショップブログのエピソードを思い出しました。「ブログを毎日更新しよう!」と決めたものの、途中でファッションのネタがなくなって「今日のメシ」など適当な記事を上げ始めたショップスタッフさんのお話。
ありましたね。いつの間にかラーメンを紹介し始めて、ちょっと待てよ……と。
読者に「こうなって欲しい」という意志を伝え続けないといけないってことですよね。
そうなんですよ。ユーザーってそんなに意志は持っていないと思います。SNSでたまたま見掛けた記事をクリックしたときって、別に意志は持っていないですよね。だからこっちが明確な意図をもって、きちんと提案してあげないといけないんです。
高級時計の販売員時代、先輩からアドバイスを受けた「売れる方法」
発信者や販売する側がぼんやりしていたら、相手に伝わるはずはないですね。
僕、メンズの高級時計の販売員やっていたときに、すごく思ったんですよね。時計って、オメガ、ロレックス、タグホイヤー、IWC、ブライトリング、ウプロ……いろいろなブランドがある中で、お客様が来たときに「高級品だから押し付けるのって悪いな」と思ったから、「好きなように見てください。全部見てください。言っていただければお出ししますので」っていう風にやっていたんです。すると、ちっとも売れない。
はい。高級品なので、接客の具合はたしかに難しそうですね。
そこで、すごく売っていた先輩に「どうして売れないんですか?」と聞いたら、「いいから、3本出せ」っていうんですよ。そのお客様におすすめしたいものをパッと考えて、3本ご提案する。その場で考えられないんだったら、お客さまの世代別に事前に決めておけ、と。いずれにしても「3本出せ」「全部見せるな」って言われたんですよ。
なるほど。それを実践してみたら……
おもしろいように売れたんですよ。
えぇー、不思議!
お客様はその3本の中から選ぼうとするんです。もちろん「もっと見たい」といって店内を廻るんだけど、結局戻ってきて「たしかにこの3本良いですね」みたいな感じで悩んでくれて。高級時計だから即決はしないんですけど、また来て買ってくださる方が多かったです。
これは何かというと、ゴールがあるからなんですよね。
あぁ、なるほど。
バリバリ売っている渋谷109の販売員さんも、「提案を考えろ」って叩き込まれるんです。お客様に自由に見てもらうのは良いかもしれないけど、それだと「なんとなく欲しいものがあるんだけど、やっぱりいいや」って帰っちゃう。接客って邪魔なときもあるけど、本当に素晴らしい接客というのは、やっぱりうまく提案をする接客。つまり、ゴールの設定なんですよね。それこそが本当のサービスだと、僕は思います。
ゴールを設定してないビジネスっていうのは、本当にやっちゃいけないと思いますね。
ゴールが広すぎて、ぼんやりしている場合もありますよね。「老若男女みんなにおすすめ!」みたいな。
ぼんやりしすぎなのはよくないですよね。もう何も生まれないですから。
上手くいっている人や企業には、誰をどうしたいのかちゃんとゴールがある。ゴールへ向かう途中で失敗することもあるけど、ゴールがあることで動くことができる。逆にいうと、ゴールが無いと人は動けないし、迷走してしまうのです。
全3話、第3話は5月12日配信。
第1話はこちらからどうぞ。
取材/I am 編集部
文/北野啓太郎
写真/田尻陽子
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この記事を書いた人
- 文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。