Interview
インタビュー

先輩アーティストに聞く「趣味と副業の両立方法」自分でも二度とやりたくない超絶技巧。世界一になった極繊細のシュガーアートは好きだからこそできる⁉〈シュガーアーティスト・玉川玲さん/第2話〉

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好きこそものの上手なれ。自分の才能を発揮させたい、できれば自分の能力で稼ぎたいとお考えの方にぜひ読んでほしい。趣味のシュガーアートに出会って才能を開花させ世界一になった玉川玲さんに話を聞いた。

プロフィール

シュガーアーティスト玉川玲

副業を推奨する会社で、平日は会社員として勤務し、土日に作品を制作している。美容院でたまたま見た雑誌に載っていた、芸能人のウエディングケーキに飾られていたシュガーアートにあこがれ、2007年にシュガーアートの教室に通い始める。3年目の2010年に教室内の展示会に出品し銅賞を獲得。世界大会優勝実績があり、繊細なアイシングワークが得意。南麻布の工房を拠点に、シュガーアート教室も行っている。

砂糖に卵白などを混ぜた生地で美しいお菓子を作り上げるシュガーアートの世界で注目を集める玉川玲さん(41)は、シュガーアートを始めてわずか6年で日本一、その翌年には世界一というとんでもない経歴で世界を驚かせてきました。大手通信会社に勤める会社員の顔も持つ玉川さんは、アーティストと会社員という二つの側面をどのように両立させているのか。そして、かわいさと奇跡のような繊細さが同居する作品の着想は一体どこからに得ているのか。独占インタビューの後編です。

日々自分の心が動くものを探し求める

ライター顔写真

作品作りではどんなこだわりがありますか。

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はじめの頃は作品の写真が載っている本などを見て参考にしましたが、今はオリジナリティーが大切なので、あちこちで自分が「かわいい」と思うモチーフを探すよう心がけています。おもちゃ屋さんだったり、テーマパークだったり、「あっ、かわいい」と心が動くことでインスピレーションが湧くことが多いです。宝塚歌劇も大好きで、舞台をモチーフにした作品も作っています。

満開の桜をシュガーアートにした作品 ©︎玉川玲

会社員とシュガーアーティストを両立

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世界トップクラスのアーティストになられた今も会社勤めを続けているそうですね。

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勤務先は、届け出さえすれば社員の副業を推奨していますので、平日は普通の会社員として勤務して、夜や土日に作品を作っています。

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日中に教室を開くなど、お仕事と両立が難しい局面はありませんか?

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国内外のコンテストで評価をいただいたこともあって、日本各地でハイヒール作りを教えてほしいと言ったご希望をいただくなど、教室を開く機会も増えていたのですが、コロナ禍で対面形式の教室が難しくなってしまい……。今はオーダーメードのアイシングクッキーの販売や、ウエディングケーキのトップに置く作品の受注制作などが中心なので、勤務時間外で対応できています。それでも、好きなことをして年間100万円ぐらいにはなっているのでうれしいです。

オーダーで作ったドレスパーツのアイシングクッキー ©︎玉川玲

シュガーアート専用キッチンのあるマンションを購入

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この世界で世界トップなわけですから、もっと大きな収入になるのかなと想像していました。

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コンテストで評価をいただいているような繊細でかつそれなりに大きな作品は、アパレルメーカーなどからごくまれに注文をいただく程度なので、なかなかお金にならなくて。コンテストの賞金も、最高でも数万円といったレベルなんです。コロナ禍が落ち着いて、教室をたくさん開けるようになれば、また状況が変わるかもしれないと期待していますが、収入的には今でも満足していますよ。

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シュガーアート仕様のご自宅を購入されたそうですね。

インタビュアー顔写真

通販サイトを作ってアイシングクッキーの販売を始めたのですが、食品営業の許可を得るには生活用とは別に、もう一つキッチンが必要で。35年ローンで1LDKのマンションを購入して、キッチンを一つ追加するリフォームをしました。なので今は「1LDKK」という変わった間取りです。専用キッチンで、一人で思う存分シュガーアートができる毎日を楽しんでいます。

立ち上げた通販サイト「SugaR DayS」でレースのハイヒールのシュガーアート作品も販売中。受注生産でハイヒールの色は指定可能

《前編はこちら》

この記事を書いた人

華太郎
華太郎経済ライター
新聞社の経済記者や週刊誌の副編集長をやっていました。強み:好き嫌いがありません。弱み:節操がありません。

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