ニーズはどこにある? 好きを仕事にするときのリアルな現実経験者に聞いた!趣味のハンドメイドを仕事にするには、どこで・どうやって売ればいい?
ハンドメイドを趣味としている方必見。せっかくクオリティの高い作品を作れるならば、趣味の域を超えて販売にチャレンジしてみませんか?販売の手段や、販売する際のポイントを解説しました。
目次
仕事にする前にチェックすべき「どんな商品が人気?」
ハンドメイドが好きで趣味にしている人の中には、趣味の域を超え、商品として値段が付くような素晴らしい作品や、オリジナリティがあり光る1点ものが作れる人もいます。
せっかくの得意と趣味があるのなら、作品を販売しお金につながれば励みになり、さらに楽しくなることでしょう。
そのためには少しずつ販路を広げ、クオリティをあげていくことが必要です。
また、ハンドメイド商品ではどんな作品が人気であり売れるのか、その時期・時代のニーズに合わせたものを作れるよう、市場調査をして把握しておくことも大切。
ハンドメイドで売れているもの、人気のアイテムって?
ハンドメイド作品を誰もが気軽に販売できる、人気のネットショップで売れている商品をリサーチしてみました。
①ピアス・ネックレスなどのアクセサリー
比較的トライしやすく初心者にも作りやすいのは、アクセサリー類です。
ピアスやネックレスは特にオリジナリティのあるデザインを求めている人、一点ものが欲しい人に、大変人気です。
②ティッシュカバーやポーチ
意外とお店に売っていないティッシュカバーやポケットティッシュケース、化粧品や小物を入れるポーチなどは、大変人気です。
ミシンを持っていて難なく使えるのなら、トライしやすい作品なのではないでしょうか。
③ペーパークラフト
子どもの写真アルバムや、退職する方へ渡す色紙、自宅の壁面などのインテリアに人気なのがペーパークラフトです。褪色しない専用のペーパーで様々な形にカットしたペーパークラフトやガーランドなどが人気ですね。
意外と専用の器具が必要で、持っていない場合は初期費用がかかります。。
④ミシンを使ったバッグや衣類
バッグや衣類はミシンを使うハンドメイド作品の中でも少し難易度が高い作品です。気に入っていただければ、直接オーダーが入る場合もあるでしょう。
⑤通園グッズ
幼稚園や保育園へ入園する際に準備しなければならない、園バッグ、上履き入れ、給食ナフキン、エプロン、三角巾、座布団、スモッグなど、ハンドメイドのものを用意しなければならない園もあるので、春前は特にこういったものがよく売れます。
また、コロナ禍にあるので、マスクや子どもの使いやすいサイズのハンカチなども需要が高まっているようです。
上靴が指定の場合は、上靴に可愛いイラストを描いた商品も人気です。
⑥スマホケース
スマートフォンケースは、機種によってお店で販売されている種類が少なかったり、機種が古くて販売されていなかったり、個性的なケースを求めている人もいます。
クリアケースに飾りつけするタイプや、革製の手帳タイプ、収納ポケットや持ち手が付いているタイプも人気でしょう。
⑦オリジナル家具
木工制作品も大変人気です。テーブルや椅子などの大型家具から、スパイスボックスやスイッチカバーなどの小物まで、ハンドメイド販売サイトで検索されています。また、部屋のサイズにぴったり合わせたオリジナル製品のオーダーメイドも受注できるでしょう。
ハンドメイド品を売りやすいおすすめサイト・アプリ
ハンドメイド作品は、実店舗に委託し商品を置かせてもらい販売したり、イベントなどで販売したりすることもできますが、最近ではウェブやアプリで簡単に販売できる場所が増えてきました。ここでは、ショップを簡単にオープンでき、人気の高い販売サイトやアプリをご紹介しましょう。
ハンドメイド専用マーケットの「minne」
ハンドメイド商品を販売するウェブショップの大手のひとつが「minne」(ミンネ)です。
出品料は無料ですが、売れた場合は手数料として販売金額の9.6%が徴収されます。
商品数が非常に多いので、自分の作品作りの参考にしたり、売れ筋や価格設定なども参考になるでしょう。
ハンドメイド専用マーケットの「creema」
ハンドメイド作品のほか、ハンドメイド素材や食品も扱うウェブショップ。素材を購入し、作成し、販売するという一連の仕事がこのサイトで実践できます。出品料は無料、販売手数料が10%です。
商品が売れた際に商品と一緒に送るメッセージカードや、ラッピング素材も販売しています。
商品ラインナップが豊富なので、ハンドメイドを仕事にしたい人に大変参考になるサイトでしょう。
自分のショップでハンドメイド品を売れる「BASE」
「BASE」はサイト内で自分のショップをオープンするというイメージのウェブショップです。初期費用や月額使用料は無料のほか、BASE負担のクーポンを定期的に発行してくれるので、販売促進に活用できます。Instagramでの販売が可能、配送日の指定ができる、注文データのダウンロード機能が使えるなど、80種類もの拡張機能も利用できます。
また、月の売上が17万円以上の場合は、有料プランのほうが販売手数料を安くおさえられます。月額使用料は5980円で、販売手数料は徴収されますが業界最安値の2.9%と無料プランよりお得に使えます。
ハンドメイド品も多く売買されている「メルカリ」
ハンドメイド専用の販売サイトではありませんが、ハンドメイド商品の販売も数多く行われているフリーマーケットサイトです。匿名で発送できることや、アプリを使うと発送手続きが楽なことが利点です。販売価格の10%が手数料として徴収されます。送料込みの出品が多いので、価格の設定が難しいかもしれません。
番外編:フリーマーケットやレンタルスペースなどリアルな場所
フリーマーケットや各種地域のイベントなどで、ハンドメイド商品を販売したり、ショップのレンタルスペースや委託販売など、実際に商品を手に取ってみてもらって購入してもらうこともできますね。
定期的に開催しているイベントをチェックしてみましょう。
キャリアのその先へー Webメディア I am(アイアム)キャリアのその先へー Webメディア I am(アイアム)https://iam-iam.jp/4638
ハンドメイド品を売るときのポイント
ハンドメイドの商品を販売につなげたいとき、どんなことにポイントを置くと売れやすいのでしょうか。いくつかのポイントをご紹介します。
①自分が好きで、作れるものは何かを考える
せっかく得意な趣味を仕事につなげるのであれば、自分のできる範囲で楽しく制作できるものを作りましょう。仕事が辛くなってしまうと長続きしません。
自分の作りたくない商品や、自分の力量を超えた商品は、作らない・受注しないという意識を忘れず、自分の作りたいものを作りましょう。
自分が好きでうまく作れるものが何で、それが誰にとってどんな価値を与えられるのかを考えましょう。
楽しく丁寧に作ったものは購入者にも思いが伝わるはずです。
②魅力が伝わる写真・文章を用意する
ウエブショップで販売をするときは、写真が命と言っても過言ではありません。商品をいかに魅力的に撮影し、商品のポイントを分かりやすく文章にして合わせることで、購入者数が増えるはずです。
商品の撮影をするときは、商品の背景や商品に合う装飾品を用意すること、実際の大きさがイメージできることを意識して撮影しましょう。自分のショップにテイストの違う写真がバラバラ並ぶとコンセプトを伝えにくくなるので、写真のテイストはそろえて撮影するほうがいいでしょう。
③利益を確保しつつ適切な価格設定をする
ハンドメイド商品の販売をするにあたって、難しいのが価格の設定です。材料費だけで価格をつけることなく、作成した時間や商品の流行やニーズを価格に入れこむことが大切です。
材料費だけでは利益は出ません。
出品している人、販売している人の価格を参考にしながら価格設定をしてみましょう。
④販売するサイト・アプリによって商品を変える
先ほどご紹介したハンドメイド商品ができるウェブサイトは、それぞれのサイトのイメージや取り扱っている商品の傾向が違います。
ハンドメイド商品が多いけれど自分の得意とするジャンルの商品の出品が少なめである、ハンドメイド商品が少ないけれど、よく売れていて購入済み商品が多いなど、どのサイトにどんなチャンスがあるか、自分の作れる商品の種類によってどのサイトが売れそうか、よくリサーチし、出品しましょう
⑤集客のためのSNSを開設する
商品の販売サイトに商品を出品するだけではなく、TwitterやInstagramなどで新商品や商品の販売状況を常に発信することも大切です。
つながりのある人はもちろん、つながりのない人へと少しずつ情報が広がり、集客につながります。
SNSでの情報発信は、インターネットを使った販売には欠かせません。
商品の写真とウエブのURLを掲載し、商品販売サイトへ誘導しましょう。
⑥ニーズのあるハンドメイド品は何かを調べる
最後に「バランス感覚」「市場のニーズ」について。自分の好きなものを作るのがハンドメイドの醍醐味ですが、それを商品にする場合にエッセンスとして必要なのが、お客さんのニーズをどこまで取り入れるかです。ECショップやイベントで、どのような商品が主流であり、商品ジャンルはどんなものが多いか知っておくことが大切です。
季節や様々なイベントシーズンによってニーズはその都度変わるので、販売商品の作成や販売に慣れてきても、常にニーズや流行をよく知っておくことが、よく売れる一番のポイントでしょう。
〈実践者に聞く〉作品販売で心がけていること
革を使って商品を作り、自分のお店とネットショップで商品の販売をしているハンドメイド作家さんに、商品の販売に至るまでの経緯や、販売する上で心がけていることなどを聞きました。
皮製品クリエイター
2018年2月に店舗を構え、自分の制作した商品を制作・販売しているのは、北海道旭川市の「はせがわ ともこ」さん。革を使ったアクセサリーや小物、バッグを制作しています。
店名の【tocotoco.】(とことこ)は、自分のニックネームからとったのだとか。
人との縁で革小物作家に
ぬいぐるみづくりやバッグ作りが趣味で、パターンを起こすところから作っていたはせがわさん。親しい雑貨店オーナーから、入荷したスエードを使った製作の相談を受けて、コサージュを作ったことが初めての革小物づくりとの出会いでした。
コサージュは好評で勧められて販売もはじめました。このとき、販売のノウハウについてアドバイスを受けたと言います。さらに別の知人からも背中を押されたことがきっかけとなって、本格的に革のハンドメイド作品を作りはじめました。
はせがわさんの作る革小物は全て手縫い。「作るのに時間がかかりますが、5年・6年経っても型崩れせず長く使えるのですよね。少しずつ納得のいくものを作れるようになっていきました」手がける作品もイヤリングやヘアアクセサリー、財布、バッグなどラインナップを広げています。
お店は自分の場所であり、革小物作りは好きな仕事
販売をはじめて今年で4年目。「ここまできてもまだまだ正直大変さはあります」と話すはせがわさん。革小物づくりのほかにも経理の仕事をしています。
革小物の制作以外の仕事をしながらも、作品作りの手間を惜しみません。どれも一つひとつが手縫いで作るため、制作には手間と時間がかかると言います。このため大量の注文があるときは大変なのだとか。「手がかかりすぎるので大量生産はできません。納得のいく商品をお客様に提供したいので、ほかの方へお任せして作ってもらうこともしたくないのです」
また、商品の価格を決めるときも難しさも。「お値段よりも商品を気に入ってくださって購入される方がほとんどなのですが、中には「高い」と感じられる方も」いるとのこと。はせがわさんは、原価と「この価格なら自分も買えると思う値段」をすり合わせて設定しているのだそう。「少しずつ自信がついていくと価格も伴っていく」と自分の納得のいく値段をつけるようにしているとのことでした。
実店舗の販売のみだったこともあり、コロナ禍では売上もかなり落ちたのだとか。その中でネットショップや公式サイトを開設し、Instagramでも商品の紹介をはじめたところ、注文が入るなど少しずつ販路が拡大。
大変でもお店を手放さないのは、「やっぱり自分の場所であり好きな仕事だから」という思いから。好きなことを仕事にしていくためには、思いがけない苦労も伴うこともあります。「これで自分はやっていくんだという腹をくくる」ことも大切だと、はせがわさんは話してくれました。
ハンドメイドで活躍する人へのインタビューを紹介します!
かわいいがコンセプトのクレイ作家
「心を込めてつくったものは人を笑顔に出来たり、心をときめかせることが出来ると分かったときに自分はそれがしたい!」とフリーランスとして働くことを決意したというちばさん。美味しそうなスイーツと愛らしいクマをプラスした、 “とてもかわいい”をコンセプトとするフェイクスイーツのクレイ作品を制作、販売しています。
2011年、作家活動を始めた当初は委託とデパートがメインで活動していましたが、その後ネット販売を始め、今に至ります。委託販売では入荷情報を発信すると、多くの問い合わせがあり、完売することも少なくないと言います。
ちばさんに、集客、フリーランスとしての思考法や心境の変化、備えておきたい失敗・トラブル・リスク、そのほか100項目の質問に答えていただきました。
タティングレースアクセサリー作家
繊細で唯一無二のデザインが人気。タティングレースのアクセサリーで、国内外から注文が届くというアクセサリー作家、大庭聡子さん。はじめは「全然売れるとは思ってなかった」と当時を振り返ります。販売を始めたきっかけは、カフェを経営する友人に、作品を置いてみたら?と誘われたことがきっかけ。
現在、作家としての活動の傍ら、千葉県市原市の内田未来楽校で開催されているおしゃれなマルシェ・伊丹陣屋の運営するなど活動の場を広げている大庭さんですが、イベント出店などで家を開ける時間が増えていくにつれ、家族からは仕事だと認めてもらえず寂しい思いを抱えた時期もあったと言います。
趣味を仕事にして見えたこと、予想外の展開や苦労について聞きました。
消しゴムはんこ作家
好きなことを仕事にするイメージのあるハンドメイド作家ですが、津久井さんの場合は、好きというより特技だと言います。中学生の頃、友達に喜ばれて作っていた消しゴムはんこが…まさか、「18年続く仕事になるなんて、当時は思ってもみませんでしたね」と語る津久井さん。
消しゴム作家の先駆けとして、2003年から「はんこや象夏堂」の屋号で、インターネットやイベントでオーダーメイドのはんこ受注制作を開始。国内外での作品展開催をはじめ、消しゴムはんこに関するなど著書も多数執筆するなど、書籍制作、講師活動に引っ張りだこの津久井さんに、自分らしく表現し、働くために必要なことを聞きました。
〈まとめ〉ハンドメイドの売れるポイントとは?
ハンドメイドを仕事にする、ということは、お金を頂くプロになるということです。ハンドメイドが趣味だからそれがお金につながればいいな、とイメージするところからスタートする人がほとんどでしょう。
ですが、好きなことを好きなままに報酬を得る、さらにその仕事で生活を立てていくということはしっかりとした覚悟と、「作る」だけではない仕事が待ち受けています。
それでも自分にしか作れないオリジナリティを、求めているひとに届けられたときの喜びは何よりも大きな幸せになるでしょう。
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。