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高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデルレッドオーシャンで競合に勝つには?有利なポジションの見つけ方と作り方

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もはやブルーオーシャンはない?
競合が多いレッドオーシャン市場でも「持続的な競争優位性」を作り、あなたのビジネスを戦略的に有利なポジションにもっていくための考え方について解説します。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。

レッドオーシャンでも負けない「競争優位性」とは何か

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「競争優位性」とは、ビジネスにおいて競合相手と比べて、自分のビジネスが有利なポジションにいること、を指します。

「商品やサービスの独自性がある」「特定の市場で強い販売力がある」など、競合相手がマネをしようと思っても、簡単にマネできないところに「競争優位性」があります。この「競争優位性」を見つけることであなたのビジネスも有利なポジションを築くことができます。

競争優位性を作るポイントは「差別化」×「集中」

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競争優位性を作るための戦略として、アメリカの著名な経営学者マイケル・E・ポーター(ハーバード大学教授)は、「3つの基本戦略」(コストリーダーシップ、差別化、集中)を提唱しています。

3つの基本戦略のうち、価格で優位性を築くもの(コストリーダーシップ戦略)は、ある程度の規模が必要となります。

ヒトモノカネ情報といった経営資源に乏しい「半径5メートルのビジネスモデル」で有効だと考えられるのは、集中戦略、その中でも「差別化集中戦略」です。

「差別化」とは

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差別化集中戦略の詳細に触れる前に、「差別化」について整理しておきます。

「差別化」とは、商品やサービスなど顧客に提供する価値において、競合相手にはなく、真似されにくい価値を創ることです。
「競合相手にはなく、真似されにくい価値」とは、商品・サービスの特徴だけに限りません。
顧客が価値を見いだす違いがあれば、それは「差別化」出来ていると言えます。

具体的には、以下の4つのポイントで「差別化」できないか考えると良いでしょう。

  1. 商品・サービス
  2. 顧客サービス
  3. 流通チャネル
  4. ブランド

商品・サービス

商品・サービスは、機能や素材、デザインなどの面からこれまでにないものを作ることで、競合と差別化を図ることができます。
そうすれば、価格競争に巻き込まれることはなく、「価格が高くても売れる」高い競争力を持つことができます。

例えば、「天然酵母にこだわったパン」、ハンドメイド製品なら「アロマの香りがついたブックカバー」や「これまでにないオリジナルデザインの子供服」、あるいは「転職に特化したコーチングサービス」など、商品・サービスどちらの場合でも考えられます。

顧客サービス

あなたが販売する商品やサービスそのものに加えて、顧客サービスを充実させることで差別化を図ることもできます。

例えば、あなたがハンドメイドで子供用の衣類を作って販売するなら、「素材を選べる」「試着後のサイズ変更1回無料」「名入れ」「複数同時購入で送料値引き」などのサービスのありなしで、顧客にとっての価値を変えることができます。

流通チャネル

流通チャネルは、顧客がどこで商品・サービスを手にできるか、を指します。

具体的には、実店舗やECサイト、フリーマーケットで直接顧客に販売する方法や、ターゲットが利用する関連商品を扱う店や飲食店で委託販売をするという方法があり、商品・サービスによって適したものが異なります。

「差別化」を図るなら、ターゲット顧客の行動・購買パターンから、出店する場所を考えます。
例えば「パンを作ってキッチンカーで売る」場合、家庭用食パンを売りたいなら主婦が立ち寄るスーパーや駅の近く、ランチタイムのビジネスマンをターゲットにするならビル街にする、などです。

ほかにも、日常使いの商品であれば「すぐ」「どこでも」手に入ることに価値がありますが、一方で特別な贈り物であれば「特定の時期・場所にしか購入できない」といった限定性があることが価値になることもあります。

ブランド

ブランドとは、顧客からの信頼を獲得し、市場の中で唯一無二の存在となることです。
ブランドには「商品ブランド」「事業ブランド」「企業ブランド」などがありますが、半径5メートルのビジネスであれば、まずは「商品・サービス」について考えればよいでしょう。
ブランド力が高まれば、あなたの商品・サービスを選ぶ顧客が増え、競争優位性は高まり優位なポジションを築くことができます。

ただし、ブランドは一朝一夕で出来るものではありません。
商品・サービス作りでのこだわりや、商品やサービスに関連してどんな情報発信をするかなど、中長期的な視点での行動が重要です。

「集中」とは

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集中戦略は、狙っている市場をさらに細分化し、特定のターゲットに絞ってアプローチする戦略です。集中戦略には2つのアプローチがあります。

①「コスト集中」

②「差別化集中」

特定の市場でコスト優位に立って競争に勝つ「コスト集中」、特定の市場で差別化で優位に立って競争に勝つ「差別化集中」の2つです。

特定の市場とはいえ、コスト優位を築くためには、前述の通りある程度の規模が必要になります。この「半径5メートルのビジネスモデル」連載では、「差別化集中」に絞って事例を紹介します。

オタフクソースの「差別化集中」戦略とは

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お好み焼き用のソースと言えば、オタフクソースの「お好みソース」。
これがまさに、「差別化集中」の賜物なのです。

オタフクソースは広島で戦前の1922年に、広島市で酒・醤油類の卸小売業として創業。戦後になり「洋食の時代が来る」と「ウスターソース」を製造販売に取り組んだものの、当時ソース業界では後発メーカー。すでに市場には他社製品が出回っていて、なかなか競合に勝てずにいました。

そこで、直接味を見てもらおうと屋台や飲食店の訪問を始めたところ、出会ったのが「お好み焼き店」でした。当社は「お好み焼き」に的を絞って一軒ずつ訪問するなかで「サラサラしたウスターソースは天板に流れ落ちる」という悩みを聞き、独自の製法で「お好み焼きにぴったりの」ドロッとしたソースを開発しました。

出典:「オタフクソース」コーポレートホームページ

「ソースと言えば洋食向けのウスターソース」という時代に、飲食店の中でも「お好み焼き店」に的を絞り(集中)、「とろみがあるソース」という競合にはない価値(差別化)を提供してきたことで、今や国内はもちろん、世界的にも「お好み焼きソースと言えばオタフクソース」のブランドを確立しました。
このように、商品として後発であっても「差別化集中」に取り組めば勝つことができるのです。

半径5メートルビジネスは「差別化集中」が適した戦略

「半径5メートルのビジネス」のような、経営資源が限られたビジネスでは、戦略的に「競争優位性」を作り、有利なポジションで成果を出していく必要があります。

事例のように、「差別化集中戦略」に基づいて、出来るだけ効率よく経営資源を活用して、持続的に競争に勝てる事業を構築・運営していきたいものです。

「競争優位性」を持ち続けるには、変化が欠かせない

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かのダーウィンが残した言葉に「最も強いものが生き残るのではない。 最も変化に敏感なものが生き残る」というものがあります。

これはビジネスの世界においても言えることです。
競争優位性」は一度出来たら完成して終わり、ではありません。
私たちを取り巻く環境は常に変化しています。
新型コロナウイルスの感染拡大のような突然の脅威も起こりえますし、競合相手が似たビジネスを始めたり(例:スターバックスに対する、ドトールのエクセシオールカフェ)、あるいは、まったく別の商品・サービスがあなたのビジネスの代替として登場するかもしれません(例:デジタルカメラに対する、スマートフォンのカメラ)。

一度出来たら終わりではなく、環境の変化を見て客観的に「競争優位性が保てているか?」と考えながら、ビジネスを磨き続けていく必要があります。
ぜひ、あなたの「半径5メートルのビジネスモデル」ならではの「競争優位性」を作り、有利なポジションを築きながら、自分サイズのビジネスを続けていきましょう。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

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