Interview
インタビュー

累計70万部ベストセラーヨガで救われた経験を発信、ベストセラーへ!たどり着いたスタイルは「誰かのために」《イラストレーター漫画家崎田ミナ・第1話》

『自分の手でときほぐす!ひとりほぐし』ベストセラー!累計 70 万部突破のイラストレーター、漫画家の崎田ミナさん。紆余曲折の末にたどり着いた売れっ子イラストレーターの自分流スタイルの作り方

プロフィール

イラストレーター 漫画家崎田ミナ

1978年群馬県生まれ。著書に『ずぼらヨガ』(飛鳥新社)、『すごいストレッチ』(MdN)、『くう、ねる、うごく!体メンテ』(マガジンハウス)など。新著『自分の手でときほぐす!ひとりほぐし』(日経BP)はベストセラーに。著者累計70万部。

誰もが自分のイラストを発信しマネタイズできる時代。数多いるイラストレーターの中で頭角を表すために「自分のスタイル」を確立するのは重要です。では、“売れっ子”と言われる人は、どのようにしてそのスタイルを身につけたのでしょうか。『自律神経どこでもリセット! ずぼらヨガ』(以下『ずぼらヨガ』)のヒットを皮切りに現在『自分の手でときほぐす!ひとりほぐし』がベストセラー、わずか 5 年半で累計 70 万部を売り上げ、さらに快進撃を続けているイラストレーターの崎田ミナさんに、現在のスタイルが生まれたきっかけをお聞きしました。
*全2話はこちら

「なんでも屋」をやっていた 15 年前

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崎田さんの本は、情報量がめっちゃ多いのにスっと内容が入ってきて、読みながらすぐ試したくなります。この動作は何に効くというエビデンスがしっかりしているから、「なるほど、それならやってみよう」という納得感もあります。

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私自身、ヨガを始めたことで調子がよくなって、「なんでだろう?」と思って調べたことを書き出したのが出発点なので、基本が素人目線というか、当事者目線なんです。

今でもそうですが、「こういうことだったのか」って分かったときの新鮮な驚きが、そのまま伝わるように書くことを大事にしています。

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押す動作ひとつにしても、「グッ」「ググーッ」「じわー」など書き分けてあって、力の強さ加減が伝わってきますよね。

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そうですね。自分がやってみて、「こうだったよ」って感じたことを書くと、読む方に届きやすいっていうことが分かりましたし。そもそも私は専門家ではないからそういう書き方しかできないってところもありますが……。

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このスタイルはイラストレーターを始めた頃からでき上がっていたんですか

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いえ、紆余曲折がありまして、このスタイルになったのは 30 代後半。ヨガのマンガを Web にアップし始めてからです。

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スタイルができるまでに割と時間がかかってるんですね。

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22 歳頃からフリーランスでイラストやレイアウトの仕事をしているので、15 年以上……。

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その間はどんな仕事を?

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フリーで仕事を始めた頃は雑誌が全盛期だったので、男性誌などにマンガやカットイラスト、レイアウトデザインなど、いわゆる“なんでも屋”的な仕事をしていました。

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いわゆるクライアントワークですね。ご自身のお名前で書くようになるまでの下積みは長かったんですね。

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私、幼少期から“マンガ家になりたい”という夢を持っていて、それは今も続いてますが……。だから、どんな仕事もそのための修行だと思っていたんです。

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修行の甲斐あって、夢はかなったんですね?

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いえ、私が目指していたのはストーリーマンガ家なので、まだ夢は叶ってないんです。ただ、ずっとその夢を持ち続けていたから、ここまで来られたんだと思います。

PV 数を意識して激変⁉

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今のスタイルが確立したのはいつ頃ですか?

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“いまトピ”という配信サイトから、「好きな題材で書いてください」と依頼されて、『雑念だらけのヨガタイム!』という Web 連載を書き始めたことがきっかけです。

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当初から今のスタイルで?

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いえ、最初は日記みたいな感じでした。それまで紙媒体の仕事が中心で、Web での連載が始めてだったこともあったので、誰に向けて描くのか、どういうものを描いたらいいのかよく分からなかったんです。

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そこからどのように出版につながったのでしょうか?

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担当者が Web 記事はどういうものかを、丁寧に教えてくれたんです。それで、PV 数が伸びる記事を作るには何を省き、どう書いたら分かりやすくなるかを二人で探り始めました。

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PV 数を稼ぐというのは、紙媒体にはない考え方ですもんね。

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はい。手探り状態が続いていろいろと迷走しましたが、4コママンガの回で PV 数が上がったので、それをきっかけに、4コマ形式に絞ることにしたんです。

でも、Web 上で多くの人に見てもらうためにはどうしたらいいか、その時に色々と試したこと、学んだことは今も生きています。

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具体的にどんなことを試したのでしょうか?

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そうですね。PV 数を伸ばす手段として、Twitter アカウントで宣伝をするということも、そのとき学びました。

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たしかに、多くの人に見てもらうためには、SNS を利用 するのは今や常識ですが、その時から原稿だけでなく、SNSの発信にも力を入れ始めたと。

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はい。その時期は赤字覚悟で、1記事を5日から1週間ぐらいかけて書いたり、自分の時間を削って発信をするようにしたら、次第にバズるようになり、それを見た『ずぼらヨガ』の担当さんに声をかけてもらって出版、という流れになりました。

セオリーより自分の持ち味で活路を開く

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『ずぼらヨガ』刊行当時、それまで“ヨガ=意識高い系女性”に向けた本が多い中でタイトルに「ずぼら」というキーワードを入れたり、表現もイラストと文章のみの構成で、ポーズの形より「どこにどう効く」ということが明確に書かれていて、今までの路線の本と決定的に違っていましたよね。

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ヨガは私にとって人生の大きな転機のひとつで。ヨガ教室で老若男女が気持ちよく体を動かしているのを見ていたので、その通りに伝えたいと思っていました。
「ずぼらヨガ」を描いた目的はヨガで楽になるとか整うということを多くの人に知ってもらうことでした。様々な人に読んでもらうためには、自分の絵柄だと女性的なイラストではダメだと考えました。

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今までのヨガ本のセオリーみたいなものをぶっ壊しましたよね。たしかに『ずぼらヨガ』のキャラクターは男の子でした。あの本で“ヨガ=おしゃれな女性”のイメージが変わったような気がします。

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もちろん更年期など女性に特化したことを書くときや、雑誌の媒体に合わせて女性のキャラクターにしますが、基本的に体の仕組みを描くときに、髪の毛や胸はジャマになるんです。

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“誰がやっているか”より“どうやるか”、“何に効くのか”の方が、読者にとっては重要な情報ですもんね。

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はい、読者に正確に伝えるにはどうすればいいか、とにかくそこを追求しています。
健康実用というジャンル柄、そこには人一番神経をつかっているので、解剖学の本を見てかなり勉強しました。
読者が間違ったポーズをして体を痛めてしまうというリスクを負っているので正確さでは一切気が抜けません。

美大でデザイン科専攻でしたが、スマートなデザインセンスがなくて、作品がいつも泥臭くなりがちで成績は良くなかったんです。
だからその分、正確さや分かりやすさで勝負しよう、みたいなところはあります。

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その分かりやすさに加えて、崎田さん自身が体験して描いているところが強みですよね。そういう感覚が入っていないイラストは、写真と変わらないですから。

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そうなんですかね。実は私、他の方の書いた本はあまり見ないんです。自己評価が低いから。自分の足りないところばかりを見つけては落ち込んでしまうので……。

寝室とリビングにも本棚があり、漫画がたくさん入っている。(本人提供)

うつ病で苦しんだ時期に出会った“ヨガ”が転機に

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ところで、ヨガを始めたきっかけは?

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私、20 代後半から 10 年ほど、うつ病を患っていたんです。もう何も手につかなくて、近くのコンビニでさえ行く決心がつかないほど具合が悪い状態のときに、これならできそうだと始めたのがヨガだったんです。

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えっ、何が原因でうつ病に?

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私の自己評価が低くなったひとつの原因でもあるんですが、1回目の結婚相手から受けたモラハラなどの DV です。同棲期間が長かったのですが、とにかく「お前なんか……」的なことを言われたり、他の人と比較し続けられて。結局相手の浮気が結婚後に発覚し、1年経たずに離婚しました。

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なんと……。

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相手の口もうまかったし、私も若かったから「なんとかなる」と思っていて。離婚直前ぐらいからパニック障害の症状を起すようになりました。でも、当時はそれがパニック障害とかウツの症状だということは、分かりませんでした。

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その後、どうしたんですか?

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離婚して、実家の近くのアパートに引っ越しました。それまで信じていたことがすべて崩れて、頭の中のすべてが壊れていくような感じで、寝ても起きても怖くて。何もできない状態が続いたり、動いたり出かけたり人と話したりするのがやっとという状態が、断続的に 10 年ほど続きました。記憶すらところどころ抜け落ちているような、暗黒時代ですね。

第二話はこちら

取材/I am 編集部
文/岡田マキ
写真・イラスト/崎田ミナ(本人提供)

この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。
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