Interview
インタビュー

フリーランスはRPGゲームと同じ?フリーランスに欠かせないポートフォリオは失敗から生まれた⁉<エッセイマンガ家カワグチマサミさん/第3回>

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育児をしながらでも、好きを仕事にしたい! 会社に勤めずにフリーランスで働いてみたい! それを可能にする方法を見つけたエッセイマンガ家カワグチマサミさんに秘訣を聞いた。

プロフィール

イラストレーター川口真目

1984 年大阪生まれ。2010 年から漫画家・イラストレーターとして活動を始めフリーランスに。その後、結婚し2012 年に男の子を出産。育児とフリーランスを両立しながらコミックエッセイを描いたり、子育てフリーランスに向けた講演会に登壇したりしている。

デザイン事務所でデザイナーとして働いた後、イラストレーターになり、フリーランスへ。妊娠・出産しても変わらずに働きたいと思っていたが、それは至難の業だった。
紆余曲折しながらも、育児をしながら好きを仕事にし続けるために奔走したカワグチマサミさんが見つけた、育児と好きな仕事の良いバランスとは?
さらに、フリーランスとして働くために必要なこと、自己分析やスキルアップ、売り込みなどの方法なども、たっぷりと教えてもらいました。
*全 3 話  1話はこちらからどうぞ

最初は誰でもレベル1

ライター顔写真

フリーランスを希望する人の声を聞いていると「どうやって仕事を取ったらいいのかわからない」というものが多いのですが、営業の仕方について伺えますか?

インタビュアー顔写真

営業、というだけでおののいてしまう人もいるとは思いますが、フリーランスでスタートするのって、RPG ゲームで主人公を育てていくようなものだと思うと少し気が楽になると思います。

ライター顔写真

RPG ゲームですか。

インタビュアー顔写真

最初は誰もが Lv1です。まずは、いきなり大ボスを倒そうと意気込むのではなくて、自分のレベルを上げること。
まずは、ひとつ目の仕事を得てこなすことからはじめてみてください。たとえば、いきなり何の知識も実績もないまま大手企業に売り込むのではなく、友人知人あたりに「こういう仕事をしたい」と伝えてみること。

本人提供
ライター顔写真

身近なところから仕事を紹介してもらい、実績を作るんですね。

インタビュアー顔写真

はい。私は実際に、友人知人に「イラストの仕事がしたい」と伝えたことで、仕事を紹介してもらいました。

失敗から生まれたポートフォリオ術

ライター顔写真

カワグチさんは、いわゆる売り込みをされたことはあるんですか? おすすめの営業方法があったら教えてください。

インタビュアー顔写真

フリーランスになって初めてやったことといえば、クリエイティブなフリーランスの人向けのセミナーに参加したことです。でも、セミナーの受講って、それが仕事につながるわけではなく挫折しました。その次に参加したのはクリエイターや企業が集まる異業種交流会でした。

ライター顔写真

それはどうやって見つけたんですか?

インタビュアー顔写真

「異業種交流会」でネット検索すると、怪しげなものもたくさん出てきました。だから、できるだけ怪しくない、
怖くない、市町村や商工会議所などが主催しているものに絞って、地元のクリエイターと民間企業が集まる交流会に参加したんです。

本人提供
ライター顔写真

確かに行政主催なら怪しくない。でも、初めての人に会って営業するのはなかなかハードルが高くありませんでしたか?

インタビュアー顔写真

そうなんです。最初は壁の花になっていましたが、主催の方に後押しされて、クリエイターを探しに来られていた企業の方に売り込みをしました。でも、その人のところには人だかりができていて、手応えゼロでしたね。

ライター顔写真

異業種交流会で仕事を得るのは至難の技ということでしょうか。

インタビュアー顔写真

それが、そうではなく私の準備と経験不足の問題でした。自分の営業ツールを見直して、ポートフォリオには表紙にイラストを配置してすぐに見てもらえるように工夫しました。名刺を2つ折りにしてイラストと説明文を入れて QR コードでウェブサイトに飛ぶようにして。さらに、異業種交流会に参加する際には参加企業についてあらかじめ調べるようにした結果、仕事の依頼がいくつも来るようになりました。

https://note.com/kawaguchimasami/n/n2fbf3537541f?m agazine_key=m685c643e7e94
ライター顔写真

すごい!失敗したからといって、諦めずに工夫を続けるとちゃんと仕事につながるんですね!

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初めてのことをやっているので、うまくいかないのは当然ですし、そもそもフリーランスという仕事は常に、自分の頭で考えて行動していく仕事です。とはいえ、いくら営業が大事だからといって、自分の身が削られたり、どう考えても向いていない営業の仕方をしても続かないので、トライアンドエラーを続けながらも自分に合う方法を模索するといいと思います。

ライター顔写真

そうやって少しずつレベルアップしていくんですね。

インタビュアー顔写真

今は、フリーランス向けのエージェントも多数ありますし、SNS やブログで自分の作品やエッセイを発信することがそのまま営業になることもあります。自分に合う営業の方法を模索することも、フリーランスとしてのレベルアップにつながります。

単価を上げたいときどうする?

ライター顔写真

仕事が軌道に乗ってきて、フリーランスとしてやっていけるようになり経験値も上がった時に、「単価をあげたい」「やりたい仕事にスイッチしたい」という思いが出てきたらどうすればいいんでしょうか。

インタビュアー顔写真

すでに取引のある仕事先に対して単価を上げる交渉をするのはなかなか難しいことなので、一度仕事の断捨離について考えてみるのもいいかもしれません。自分の今のステージと合っていないものは、ワクワクしない仕事になっていたりしますから、そういう仕事をお断りするなどして、ワクワクする仕事のために隙間を作ります。

ライター顔写真

フリーランスにとって仕事を断るのは勇気のいることではないですか?

インタビュアー顔写真

私も、なかなか断ることができなかったのですが、それを続けている限り、駆け出しの頃の単価のまま仕事の数だけが増えていき、結果、ストレスが溜まってしまいます。好きな仕事を好きでい続けるため、また、駆け出しの後輩に仕事を譲るつもりで、ワクワクする仕事を優先してみると、いい循環が生まれます。

本人提供
ライター顔写真

なるほど。駆け出しの後輩に単価の安い仕事を譲り、自分はもっとレベルアップしていく、と。いい考え方ですね。

インタビュアー顔写真

また、私は当初単価の安い仕事ばかりを受けていて自分の首を絞めていたのですが、その理由として、出版業界からのみお仕事をいただいていたことがありました。広告業界からお仕事をいただいたときに、初めて、雑誌や書籍に使用するイラストにはイラストレーター名前の入る分単価が安く、広告用に使用されるイラストにはイラストレーターの名前は入らないけれど単価が高いということに気づきました。

ライター顔写真

それで広告業界の仕事に軌道修正したんですか?

インタビュアー顔写真

いいえ、出版業界からと広告業界から、両方の仕事を受けるようにしてバランスを取ったことで、結果的に収入アップにつながりました。自分の名前が入る場合は、その記事や書籍が多くの人の目に触れて次の仕事に繋がることもありますから、どちらも大切です。

ライター顔写真

そう考えると、自分がやっていこうとしている業界についてよく知るということも大切ですね。

インタビュアー顔写真

そうですね。それから、私が明らかにステージアップしたなと感じたのは、自分が理想としていた人に会えたときでした。なので、理想の働き方をしている人に会う機会があったら、ぜひ会いに行ってみてください。そうすることで自分が最初に描いていたフリーランスの地図を
更新することができます。常に新たな世界が広がっているのも、フリーランスの魅力。大変なこともありますが、ぜひ挑戦してみてください。

取材/I am 編集部
文/MARU
写真/本人提供

この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

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