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会社を辞めて独立するのは危険?副業禁止でも独立・起業前にできる準備とは

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副業解禁が進む一方、副業禁止の企業も多く存在します。また本業が忙しく副業する暇もないという方も多いでしょう。では、独立後の準備としてどんなことが出来るのでしょうか。

「大企業に勤めていて、辞めるのはもったいない」
「転職ではなく、独立となると不安」
「副業禁止なので起業準備ができない」
長年勤め続けてきた会社を辞め、独立するのはとても勇気がいることです。

webメディアI am (アイアム)では、一つの会社だけに依存しない、一つの収入だけに依存しないで生きていくために、自分の好きや得意を活かして独立した方を多数インタビューし、どのようなタイミングで退職を決意し、独立後はいかに稼いでいったのかなどの知見を蓄えています。

今回の記事では、大手製薬会社の『株式会社エーザイ』から退職・独立された森田翔さん、無印良品やMUJIブランドを展開する『株式会社良品計画』を退職・独立された清水洋平さんのチャレンジをご紹介します。
特に、大企業にお勤めの方でフリーランスとして独立したい方にとっては、ヒントと勇気がきっと得られるでしょう。

大企業に勤めても安泰はない

Canvaにて作成

新卒一括採用、その会社で登り詰め、定年まで勤めあげる。
大企業であっても先の見えない世の中で1つの会社に頼って働くのは難しくなっています。
そんなライフプランが崩壊する今、必要なのは「自分の稼ぐ力」です。

では具体的にどのように「自分の稼ぐ力」をつけていけばいいでしょうか。

<営業スキルを活かして独立>製薬会社エーザイを退職した森田翔さん

掴(つかみ)代表 森田翔さん

副業禁止の会社でできること

まず、ご紹介するのは森田翔さん。
2008年に株式会社エーザイへ入社し、営業を担当。2020年3月末に退社・独立しました。
辞めようと思ったきっかけは「終身雇用や年功序列が崩壊している中で、自分がもっと心の底から情熱を注げるものを見つけ、稼ぐ力を早い段階から身につけておいた方がいいのではないかと考えるようになったから」

とはいえ、すぐに行動を起こせたわけではありません。なぜなら、当時の会社が副業禁止で、日々の業務に忙殺されていたため、勤めながら起業の準備ができなかったからです。

そこで森田さんは、決意します。

「無収入で向こう何年生きていけるのかを計算して、腹を括って将来の自分の伸びしろに賭けよう」と。

本業に磨きをかけた結果の「講師業」

学生時代はサッカーに明け暮れ、営業職は体育会系ノリで精神力で乗り切れると自信を持っていた森田さん。しかしなかなか営業成績が振るわない時代を過ごします。
そして先輩に連れられたまたま見た吉元新喜劇で「売り込むより笑いを取ろう!」と開眼。それから営業成績はウナギのぼり。社内のプレゼン大会でも優秀な成績を残します。

早くから独立心旺盛だったため、この営業スキルを活かして独立を決めました。

森田さんが選んだのは講師業でした。
講師業は経験やスキルのマネタイズなので、原価が掛かったり、在庫を抱えたりするリスクがありません。副業でトライアルできない森田さんにとって、講師業は無理なく始められる手堅い職業だと考えたのです。
そして休日や空いた時間を独立準備にあてながらひたすら本業に取り組みました。

独立後は教えたいと学びたいをつなぐまなびのマーケット『ストアカ』の「プレゼン・資料作成講座のランキング」で、講師を始めてからおよそ1年間に渡り人気1位をキープする大人気講師に。

*本記事執筆時点で、教えた人数は1,152名、星5の評価を獲得
【参考】ストアカ https://www.street-academy.com/steachers/322521

前職の人間関係が独立後も生きる

独立後、古巣の会社からの発注というのはよくある話ですが、どうやったら良好な関係で仕事につなげることができるのでしょうか?

森田さんの場合も「会社員時代にお世話になった同期や先輩、後輩が法人研修を紹介してくれた」ことが初年度から波に乗れた要因でした。
会社を辞めると決め、先輩に話した時に、副業もしておらず、先の見通しもない中で退職しいきなり独立することを止められたそうです。
しかし丁寧に自分の思いを伝えてまわったことで、先輩方も森田さんの熱い思い汲んで応援してくれたそうです。

会社の辞め方、自分の事業の始め方は表裏一体、丁寧に築いた人間関係があったからこそ、前職の繋がりから今の法人研修につながったといいます。

〈新規事業から独立に繋げた〉無印良品を退職した清水洋平さん

清水洋平さん

ルーティンワークから新規事業へチャレンジ

次にご紹介するのは清水洋平さん。
2000年に株式会社良品計画でアルバイトとして働きはじめ、その後、店長を経て、2015年にMUJI BOOKS事業の新規立ち上げに携わりました。退社・独立は、2021年4月。

長年店舗の店長として、シーズン毎に決められたルーティンで店舗運営をしていくなかで、自分の個性を店舗に反映することが難しく、もどかしさを感じていたといいます。

その後、本社から本を販売するという新規事業のマネージャーの公募があるのを知り、手を挙げました。それが現在のMUJI BOOKSとなり、現在の清水さんの独立にもつながっていきます。

新たな出会いが独立を後押し

MUJI BOOKSのコンセプトから始まり、本の選書、仕入れ、販売ルートをゼロから作り上げるのは大変でした。
しかし、今までの店長業務では知り合えない出版社や本を生業とする人達とのつながりが生まれました。

そして店舗でイベントの企画運営もするようになり、著者とも直接つながりがもてるようになったといいます。
また仕入れやイベントで繋がった出版社から新刊プロモーションの相談を受けるようにもなります。その経験を活かし、本から生まれる仕事を自分でつくっていきたいと考えました。

前職が今ではクライアント

独立後は「清水屋商店」として本にまつわるあらゆる仕事を受けています。
例えば、MUJI BOOKSで出会った出版社からPRを請負ったり、イベント登壇で知り合った森岡督良さんの銀座森岡書店ではキュレーターとしても活躍しています。

そして、現在は無印良品のポッドキャスト『無印良品くらしのラジオ』のプロデューサー兼パーソナリティも務めています。
今まで出会った出版社や著者とのつながりを活かし、何度もプレゼンを重ね、企画を実現させたのです。
「今の自分は、社内の人間では気づかない価値を引き出すことができる。しかもその価値を忖度なしで伝えることができる」と考え本社に提案し実現。
本だけでなく、無印良品で培ってきたライフスタイルを伝える。
活躍の幅をさらに広げています。

【元社員だからこそ分かる】前職は一番のお得意様

Canvaにて作成

このように会社を辞めた理由は様々ですが、辞めた後もいい関係を続ける人は船出も順調です。
であればいっそ、「前職を、独立後のお客様にしよう」というものです。

勤めてきた会社のことは、社外の方よりもあなた自身がよく知っています。
それを活かして前職に貢献するのです。清水洋平さんは、ポッドキャスト『無印良品くらしのラジオ』で前職に貢献しています。森田翔さんは、直接的では無いものの、前職のつながりから仕事を獲得しています。
つまり、独立前に何の準備もできていなくても、前職との良い関係はあなたの次につながる資産なのです。

私ごとですが、本記事の筆者である北野啓太郎も、会社員を辞めて独立したフリーランサーです。

森田さんや清水さんのような大企業勤めではありませんでしたが、独立後は前職から業務委託を受け、ウェブメディアの編集長としてサイト制作・運営を任されました。退職・起業が先行し、最初は稼ぐ手段が無かったので、前職からの依頼は大いに助かりました。毎月固定でまとまった収入を得ることができたからです。

勤めている会社に不満を持っていたとしても、独立後は仕事を発注してくださるクライアントになってくれる可能性もあるのです。「仕事が忙しくて独立準備ができない」「副業禁止だから在籍中は何もできない」などと嘆くのではなく、本業に磨きをかけることそのものが独立準備になり得るのです。

30歳〜45歳の退職理由

Canvaにて作成

ちなみに退職理由にはどんなものがあるのでしょうか。厚生労働省の雇用動向調査によると、30歳〜45歳の退職者は「前の勤め先を辞めた理由」に以下を挙げている方が多いことがわかりました。

・収入が少ない
・労働条件が悪い
・職場の人間関係
・能力・個性・資格を生かせない

そして興味深いのが、退職後に転職した方の理由。

30歳〜45歳の転職者は、「現在の勤め先を選んだ理由」に以下を挙げているのです。

・仕事の内容に興味があった
・能力・個性・資格を生かせる

辞める理由に「収入」と答えた方が多いのに、転職先を選んだ理由に「収入」を選ぶ方は少ないのです。つまり、多くの方にとっては収入よりも、「仕事の内容」や「自分の能力などを活かせる」仕事、つまり「働きがい」や「やりがい」を選んでいることが伺えます。

文/北野啓太郎

この記事を書いた人

北野 啓太郎
北野 啓太郎ライター
文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。

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