Series
連載

高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル未経験から独立できる?自分の強みの見つけ方【第13回】

ログインすると、この記事をストックできます。

「自分には独立できる強みもスキルもない…」と考えがちな人必読! 今回は、自分の経験からビジネスアイデアを生み出す考え方をご紹介します。

プロフィール

プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎

東京大学法学部卒業。デジタルハリウッド大学院客員教授。プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。

自分が「無理なくできる」ことの中にある

shutterstock

「自分には独立できる強みもスキルもない…」と独立にハードルを感じている人は、どのように半径5メートルのビジネスアイデアを考えればいいでしょうか。

そもそも、半径5メートルのビジネスは、会社での仕事にとらわれないキャリアだからこそ自分自身のスキルとして「長期積立」(ストック)出来るという側面を持っています。
だからこそ継続することが重要になります。

もっとも、「貯金」で日常生活に支障のない金額を設定するように、「無理のない仕組み」でないと長期継続することは不可能です。

そこで「無理なく続けられる仕事が何か」という視点で考え、ビジネスアイデアが「自分の中にあるもの」とつながっていることが重要なポイントとなります。

「スキル」「経験」「スタンス」の掛け合わせが「あなただけのビジネスアイデア」になる

shutterstock

「自分が無理なくできること」の中には、すでに持っているスキル、現在の仕事や経験が入ります。
また苦労せずに、難なくできることも入るでしょう。

みなさんは、「100万分の1の存在になる方法」をご存じでしょうか。
これは教育改革実践家の藤原和博氏が提唱している専門性(スキルや知識)の掛け合わせで、ビジネスパーソンとしての希少性を持つというキャリア戦略の考え方です。

例えばあなたが現在経理の仕事をしていて、もともと英語のスキルが高かったとします。また人と話すことが好きという特徴があれば、「英語力」「経理」「高いコミュニケーション力」の3つを持っているということになります。

「経理」「英語力」「コミュニケーション能力」など、それぞれ1つだけなら「100人に1人」が持つスキルですが、3つ備えれば1/100×1/100×1/100で100万人に一人の存在になる、というものです。

この考え方は、キャリア戦略に限ったことではありません。
「半径5メートルのビジネス」を考える際にも、自分がすでに持っている「スキル」「経験」「スタンス」などの掛け合わせの中に「あなただけのビジネスアイデア」のヒントが隠れています。

3つのスキルを掛け合わせて唯一無二の存在になる

shutterstock

私の事例を参考例としてあげましょう。
私は「パートナーCFO®」※1という、中小・ベンチャー企業の社外CFOを7社に行っています。
これは私が持っていた「経営企画/財務(職種/スキル)」「ベンチャー取締役/中小企業の管理職(階層/経験)」「経営のディスカッションパートナー(スタンス/スキル)」の掛け合わせから生まれました。

※1CFOとは、「Chief Financial Officer」の頭文字で「最高財務責任者」のこと。企業における財務戦略の立案、執行をおこなう責任者です。

「経営企画/財務」の経験があってスキルを持つ人は、世の中そんなに多くは無いと思いますが、まったく見当たらないものではありません。
「中小企業での管理職」経験者も同様です。これら2つの掛け合わせでは1/10×1/10=1/100。
ビジネスアイデアとして悪くはありませんが、まったく競合がいないビジネスアイデアとまでは言えないでしょう。

私は新卒で入った銀行で、法人営業を行っていました。
この仕事は、中小企業経営者相手に、定期的なコンタクトで、ビジネスチャンス(融資)を探る仕事です。そこでの会話は、経営者相手なので、自然と会社経営にまつわるよもやま話になります。
また、中小企業での経営企画、ベンチャー企業でのNo.2経験から、経営者は答えのない事を考え、最後は決断していかなければいけないこと、社内外に適切な相談相手がいないことを知りました。

銀行での法人営業、中小・ベンチャー企業での経営企画/取締役経験から、「経営のディスカッションパートナー」はできるのではないか。それが1/100のビジネスアイデアに、さらに1/10を掛けて、100万分の1のアイデアに尖らせるきっかけとなったのです。

副業への挑戦は「自分で稼ぐ力」を見出すチャンス

shutterstock

私の場合は「半径5メートルのビジネスモデル」につながる「スキル」や「経験」を本業で積み重ねることができました。これは複数回の転職によるものでもありますが、転職は多少のリスクや覚悟を伴う人生の選択なので、万人向けの方法ではありません。

そこでおすすめなのが「副業」です。実際の仕事を通じて、ご自身の「スキル」を磨き、「経験」を広げるまたとないチャンスです。

副業では単に単価の高い仕事を選ぶだけではなく、例えば「自分のスキルを本業と違う形で使えるか」「興味がある業界の仕事ができるか」といった視点で選んでみることがおすすめです。
たとえ副業が禁止されていても「教育に関心があるからNPO法人でプロボノ活動※2をする」といった方法で経験を重ねることは可能です。

※2プロボノ活動 社会的・公共的な目的のために、スキルや専門知識を活かしたボランティア活動のこと

副業では本業があり生活基盤が安定している中で、あえて自分の時間を使うのですから、目の前の収入にとらわれていてはもったいない。
「半径5メートルのビジネス」の選択肢を広げるイメージで副業を選んでみてはいかがでしょうか。

自分の内なる声を聞けば、持続可能な「ビジネスアイデア」が見いだせる

shutterstock

副業・起業で何をしようかを考える際、つい身近な人や雑誌などに出てくる事例に目がいくかもしれません。そうした事例は刺激にはなりますが、そのままマネをしてモノになるとは限りません。

これまでお伝えした通り、人間何もないところからいきなりアイデアが降ってくることはありません。必ずその背景には、ふつふつとした思いやこだわりなど、何かしらあるものです。

つまり、実際に自分の「半径5メートルのビジネスアイデア」を考える場合は、自分の中にあるスキルや経験の中にこそ「考えるネタ・素材」が隠れています。

それらをちゃんと省察し、振り返り、掘り下げていくと、ネタは見つかるものです。
そしてそれらを掛け合わせることで唯一無二のビジネスアイデアが出てくるのです。

次回は、「自分のキャリア」について掘り下げて考えるツール(「Will Can Must」のフレームワーク)を紹介します。

この記事を書いた人

高森厚太郎
高森厚太郎プレセアコンサルティング株式会社 代表取締役パートナーCFO
プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン