高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル#03 運のよさではなかった⁉「副業」や「起業」での成功は誰でもいつでも再現できる仕組み?
今「副業」は特別なことではなくなっています。いざ始めようとした時、自分には何が出来るのか…?考え込んでしまいます。そんな時、役立つ考え方をご紹介します。
プロフィール
プレセアコンサルティング代表取締役パートナーCFO高森厚太郎
目次
副業や起業は再現性のあるロジック
前回「#02 転職か副業か?」では、「副業」は会社に振り回されないための最大のリスクヘッジであることをお伝えしてきました。
「副業」や「起業」で成功するには、事業内容の良しあしもさることながら、運やタイミングが大事。「当たれば儲けもの」といった、賭け事のような印象を持っている人はいませんか?
いえ、違います。副業や起業は「技術」であり、いつでも、どんな人でも、創めることができる「再現性のある仕組み」なのです。
「創る」「作る」「売る」「回す」のがビジネス
そもそも、ビジネスとは何でしょうか?
ビジネスとは、お客様が求めているニーズや悩みが何かを探し出し、それを解決する何らかの価値を作り出し、提供する、対価として報酬を得るものです。
だから、商品・サービスが売れ、お金が入ってきて、会社は回ります。
つまり、ビジネスは
「事業を創る」
「商品・サービスを作る」
「商品・サービスを売る」
「事業全体を回す」
の4つで成り立ちます。
会社として取り組む事業が「売れたらいいな」という出たとこ勝負な訳はありません。当然ながら、そこにはビジネスとしてうまく回すための何らかの理屈、再現性あるロジックが存在します。
以上の話は、個人の副業、起業でも同じです。
上述のロジックは個人の副業や起業でも求められます。どんなに規模が小さくとも、副業や起業で行うことの本質は、世間一般の企業で行われている普通のビジネスと同じです。
ビジネスの種は「半径5メートル」にあり
では、実際に副業や起業でのビジネスを創っていくときに、どうやって「何をビジネスにするか」決めているのでしょうか。
テレビ等で取り上げられるスタートアップでは、戦略コンサル出身20代後半で華々しいキャリアのある人が、世の中の困りごとを解決するために何十億という資金を集めて起業していく、というケースもあります。
が、ここでは、もう少し身近な例を挙げることにしましょう。
―飲食店での勤務経験を活かして飲食店をオープンする
―自分のお気に入りの商品を扱うセレクトショップ開店
―子育て経験を活かして学習塾
―営業経験を活かしてマーケティング講師
―趣味が高じてヨガ教室
いかがでしょうか。
その人のキャリアと立ち上げたビジネスの内容を見ると、いわゆる「半径5メートル」(※1)から始まる副業・起業が多いことが伺えます。
※1「半径5メートルの法則」(すべての人間関係は生活環境の半径5メートル以内で構築される)より。
起業家の7割は副業からスタート
前述の副業・起業は半径5メートルにビジネスの種があることに加えて、副業から始めた人の約7割が本業へ移行したというデータ(※2)もあり、「副業と起業は地続き」にと言えます。
やはり人間は、自分が経験したことでないとできません。起業、副業となると、基本的には自分が何らかのモノやサービスを「作って」「売る」ということをやる必要があるので、なおさらです。
かくいう私も講師業は当時、本業の兼務で経験し、退職後もそのまま副業で登壇経験を重ね、やがては独立起業に活かすという段階を経ています。
そうすると、副業・起業にあたって、自分の半径5メートルの範囲をいかに広げていくのかが重要です。これはスキルや経験を高める方法と自分の立ち位置をズラしていく方法が考えられます。
例えば「料理人としていつか自分の店を出したい」という人がいても、いきなりお店を出すということはないでしょう。
まずは料理学校に通うなり、飲食店にスタッフとして入って自分の腕を磨きます。実際に店をオープンするとなれば、どんな店にすれば流行りそうか、どうやって開店資金を調達すればいいのか、お店はどのように運営していけばいいか……それぞれに何らかの時間をかけて、考え、準備して、実行に移していくものです。
※2「副業から本業に移行した起業家の割合」(2019年版「中小企業白書」第2部第3節第2-2-40図)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/shoukibodeta/html/b2_2_3_1.html
半径5メートルビジネスの戦略は「価格以外で」選んでもらうこと
副業にしても起業にしても、ビジネスである以上続けていくことが前提です。しかし、ビジネスは自分が「続けたい」と思うだけで続けられるものではありません。
どんなビジネスも、商売としてうまくいけば当然ライバルが出現します。その時に、ライバルと比べて自分のほうがよい、とお客さんに思ってもらわないとお客さんが離れてしまいます。
たとえば、講師業で似た実績の別の講師が同じ研修提案した時に価格勝負になるとどうしても安い方に流れてしまいます。
とすると、その比較の場面で「価格以外で自分を選んでもらう理由」が必要です。
つまり、持続的にビジネスをしていくには、副業・起業に関わらず、またそれが半径5メートルのビジネスで合っても、そこには何らかの戦略性を持って「こういうことをやるから、目の前にある副業、起業が続けられるのだ」というビジネスモデルが必要となります。
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この記事を書いた人
- プレセアコンサルティングの代表取締役パートナーCFO。一般社団法人日本パートナーCFO協会 代表理事。デジタルハリウッド大学院客員教授。東京大学法学部卒業。筑波大学大学院、デジタルハリウッド大学院修了。日本長期信用銀行(法人融資)、グロービス(eラーニング)、GAGA/USEN(邦画製作、動画配信、音楽出版)、Ed-Techベンチャー取締役(コンテンツ、管理)を歴任。著書に「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」(中央経済社)がある。
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