絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェ経営で重視するこ4つのこと。「いかに限られたスペースで居心地よい空間を生み出すか」が生命線
横浜で土日の行列の絶えない喫茶店「珈琲文明」のマスターがお伝えする、小さなカフェの立ち上げ方と長く続ける方法。今回は、小さなカフェを運営するために大切な「居心地の良いカフェの作り方」について伝えます。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
マスター1人で経営する小さなカフェを立ち上げて、長く続けていく方法をお伝えしていくこの連載ですが、驚くほど具体的に、かつ「絶対に失敗する方法」をお伝えしながら、逆張りをすることで成功へと導くメソッドを公開しています。今回は、個人店、マスター1人の小さなカフェを運営する上で大切な「雰囲気と居心地の作り方」を大公開。
目次
小さなカフェ経営で重視するこ4つのこと
飲食店に携わる者としての共通言語として「Q(クオリティ)S(サービス)C(クレンリネス/清潔さ)」というのがあります。
それら一定のレベルをクリアしているのが繁盛店の必須条件であるとされていまして、概ね私もこれには賛成なのですが、およそカフェの場合ここに「A」(アトマスフィア/雰囲気)の要素も加わると思っています。
つまり繁盛カフェの必須条件はQSCAの4つということになります。
雰囲気や居心地といったものは店舗造作の際にある程度操作が可能なこともありますので、今回はそういった空間作りのコツお伝えしていこうと思います。
カフェで大切なのはプライベートの確保
「ゆったりくつろげるようにスペースを広くとる」なんて単細胞な発想をしていては席数が少なくて潰れる店に繋がりますので、いかに限られたスペースで居心地よい空間のレイアウトを構築するかというのが肝になってきます。
「居心地がいい」というのは空間的余裕の他にもうひとつ「他人に見られない、プライベートが確保できる」というのも大きいと思います。
昨今の居酒屋の「個室ブーム」なんかもそうですよね。
ただし、ここでは小予算、小スペースでという条件下で考えてみたいので、「他人と目線が合わない」というレイアウトに絞って述べてみたいと思います。
他人と目線が合わないレイアウトが大切
ビックリするくらい下手な(笑)手書きの図その①とその②を見てみてください。
四角いのがテーブルで丸いのがお客さんとして、図①と②ではどちらが居心地いいと思いますか?
図①は隣にいる他人と目線が合い常に隣の人の視界に入る状態にあり落ち着かない感じがしませんか?
図①のようなテーブルレイアウトのお店はレストラン等で見受けられますが、そのレストランは比較的隣のテーブルとは広めにスペースをとっているものです。
私が推奨する「10~15坪で20~30席を確保したい小規模カフェ」の場合は図②のようなテーブル配置にすることで目線が被らないで済みます(各テーブルに1名ずつ座った場合は後から来た対面のお客さんはきっと背中を向けて座ってくれます)。
小さなカフェでは椅子の縦横高さ40cmにする
私のお店(珈琲文明)での実際の座席レイアウトがこちらです。
また写真のようにテーブルは丸テーブルを推奨します。
小さなカフェでテーブルを丸にした方がいい理由
四角いテーブルにするとどうしたって4人がMAXになるところ、丸く角がないとイレギュラーな人数にも対応出来るというのと、これは例えばイベント等で立食パーティ形式のような会場になった場合に移動してもいかなる場所へのレイアウトも可能な丸テーブルで良かったときっと痛感することになると思います。
カウンター席とテーブル席の椅子の高さを同じにする理由
また、カウンター席のイスとテーブル席のイスを高さが同じものにするというのも大切なポイントです。
カウンターは高めのイスを使用しているお店が多い(バーカウンター等)と思うのですが、足が着くか着かないかくらい高いイスは疲れるのでカウンターに座るお客さんも低いイスにしたほうがくつろげると思うのです。
フロアは凹凸を設けずフラットにする理由
さらに「クレンリネス編」でも述べたように店舗フロア内に凹凸を設けずフラットにすることで掃除(お掃除ロボットなど使う場合は特に)もラクになりますので、テーブル席のイスもカウンターのイスも同じものにすると良いでしょう。
椅子のサイズは縦横高さ全て40cm
ちなみに【イスの寸法】の目安ですが・・・
- 「高さ」・・・床から40cm
- 「座面の幅」40cm四方
- 「背もたれの高さ」40cm
なんと全て40cm!超覚えやすいですね。
このようにイスっていうのはだいたい40cm前後とザックリ覚えておくと良いと思います。
何よりも大切なのは「お客さんを放っておく」こと
ここまでは店舗内テーブルやイスや空間のレイアウトの工夫の話をしましたが、次に話すことは目に見えないことでありながら居心地良い店舗作りには何より重要な話になるかもしれません。
「他人に見られない、プライベートが確保できる」ことが居心地の良さに繋がるとするならば、店(店主)に求められるスタンスとはズバリ・・・
「(お客さんを)放っておく」ことです。
驚かれましたか?
基本スタンスとしてこちらからお客さんには話しかけないで放っておくのです。
私は床屋や美容室で髪を切りながら話しかけられたくないですし、服を選んでる時にも店員さんに来られたくないほうですし、カフェでも私なら放っておいてほしいです。
こういうお客さんが本当に多いんです。
放っておかれる心地よさは確実に存在します。
常連のお客さんと話で盛り上がりまくり魅力的で太陽のようなマスターがいる店というのも人気は出そうではありますが、よく話す常連さんがそれぞれ離れた場所でそれぞれがマスターと話すとなった途端にギクシャクするものですし、それぞれの常連さんにとっても通常時に比べその時の満足度は下がってしまいます。
クラブやバー、スナックやキャバクラなどではマンパワーが全てと言っても過言ではありませんが、とりわけワンオペのカフェの場合、店主はマンパワーを出してる場合ではなく、自らが輝く太陽になる必要はありません。
自身が光るのではなく、間接照明のような、いわば「月」となり、明るい時は無用で、暗闇の時に照らすような存在であってほしいと思います。
基本はお客さん放置で、干渉はせず、話しかけず、しかしお客さんが何か困ったりした時や迷惑な人がいて他のお客さんに被害が及びそうな時はビッカビカに明かりを点灯させ駆けつける存在であってほしいと思います。
お客さんを放っておくことで、お客さんの居心地を確保する。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」