Be Career
キャリア設計

セカンドキャリアに悩む50代女性が「今すぐやるべき4つのこと」とは

ログインすると、この記事をストックできます。

働く50代女性の多くが、今後のキャリアや人生に悩んでいます。人気キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんが、そんな悩みをスパッと解決できる「四つのやるべきこと」を伝授します。

男女雇用機会均等法が施行された1985年から28年。当時正社員として働き始めた女性たちが今、定年を迎え始めています。ロールモデルとなる先輩社員がいないまま会社員人生を送ってきた50代がこれからのセカンドキャリアをどう描けばいいのか。戸惑っている方も多いのではないでしょうか。キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんに進むべき道を聞く前編は、「50代女性会社員が今すぐやるべき4つのこと」です。

やるべきこと① 定年後どうしたいかを真剣に考える

みなさんこんにちは。キャリアアドバイザーの藤井佐和子です。私は様々な企業からの依頼で、幅広い世代の会社員のセカンドキャリアについても相談を受けてきました。その中で、今回のテーマである50代の女性からの相談もありました。

悩みは人それぞれではあるものの、多くは定年後の自分の姿が描けていないという印象があります。ですから、まず「定年後、自分はどうしたいのか」を真剣に考えてみてほしいのです。

今、多くの会社が定年延長などの制度を用意していますが、そのまま現在の職場で働きたいのかどうか。自分の心の中をしっかり見つめてみれば、もしかすると、「新しい世界に踏み出したい」という気持ちがある人もいるかもしれません。

自分の進む道を考えようとすれば当然、「先輩たちや、同世代の人たちはどうしているんだろう?」ということが気になるのではないでしょうか。実は、正社員である女性たちが定年後に選択する道は、あくまでキャリアアドバイザーとしての体感ではあるのですが、おおむねこのような割合でしょうか。

1割:新しい職場などで働き始める
4割:(定年延長や再雇用で)そのまま今の職場に残る
5割:働かない

新しい道に踏み出された方は全体の1割ほどですが、10人に1人が新たな道を模索し動き出していると考えると希望は見えるのではないでしょうか。実をいうと、元の職場に残られた4割のうちかなりの部分のみなさんも、別の職場や仕事で働きたいという希望を持たれていました。でも、「定年後どうしたいのか」を考えないまま定年を迎えた人が多く、その場合は、転職先や新たな道が見つけられないまま「ズルズルと職場に残ることになった」というかたが多いのが実情です。

働くこと自体をやめられた5割のみなさんの中にも、「本当は別の職場でもう少し働きたかったけど……」というかたはたくさんいます。しかしながら、やはり準備が間に合わず、いったん仕事を辞める形になったかたも多く、「社会とのつながりがないと生きがいを感じられない」と、数年後に、改めて動き出して、また仕事を始めることも珍しくありません。

だから、50代のうちに、早い段階から定年後の自分の姿を思い描いて準備を進めてほしいのです。

やるべきこと② まずは転職サイトに登録して社会を見る

自分が定年後どうしたいかを頭に描いたら、次のステップは「その仕事(やりたいこと)が、世の中に求められているか」を確かめることです。

「もう絶対に働きたくない、働く必要がない」という人は別として、多くの方は「これまでのスキルを生かした仕事をしたい」「今までの仕事とは違っても良いから自分が役立つことをやってみたい」という希望をお持ちではないでしょうか。実のところ、現在の50代女性の方で新卒から正社員で一つの会社で勤務し続けてきた人の大半が事務職と言われています。「これまでのスキルを生かせる仕事は?」と聞かれると、多くの方が事務職を思い描かれるかもしれません。

例えば一人で決算ができるぐらい経理に通じていたり、社会保険労務士や会計士と自分が窓口となって業務を完結させられるほど総務部門に長じていたりする人なら、50代からの転職にチャレンジするのもありだと思います。

しかし一般的な事務職を長年やっていたというだけでは、転職市場では極めて厳しい立場になることが否めません。

また、三菱総合研究所は今後AIが普及することにより、2030年には120万人の事務職が過剰になる(2015年比)と試算しています。事務職・正社員という形で新しい道に進める可能性は、ますます低くなりそうです。

「事務がだめなら、どんな仕事があるの?」と疑問を持たれたかたもいるでしょう。私がみなさんにお勧めしたいのは、今すぐ転職サイトに登録してみることです。転職するつもりがなくても、まずは登録してみてください。

大手の転職サイトに登録して、自分がやりたいと思う仕事の求人を探してみましょう。転職サイトに登録しただけなら、会社に知られても問題になることはありませんが、念のため私用のメールアドレスを使った方がいいでしょう。ここで、自分が希望する仕事に対する企業側のニーズなどを把握することができます。

「仕事内容」と「働き方」、どちらにこだわるかを考えてみましょう。たとえば「事務職」にこだわるのであれば、働き方を正社員に限定せず、派遣やパートの求人に目を向けてください。逆に、正社員として働くのであれば「営業」や、「接客・サービス業」に目を向けることで転職先の幅が大きく広がります。

50代女性は、長年同じ会社にいるというかたも多いはず。転職サイトという窓を通じて、いわばバーチャル社会見学を楽しんでみてください。様々な仕事に触れる中で、世の中には自分に適した仕事がたくさんあると気づけるはずです。

多くの人は、知らず知らずのうちに自分の可能性を狭めています。たとえば事務職をやってきた人は「私には営業なんてできない」と考えがちですが、実はそんなことはありません。営業は「何を」「誰に」売るか、と分けて考えることが重要です。売る商品がご自身にとって興味があるものなら。あるいは、売り先が自身の貢献したい相手ならどうだろう?と転職サイトで具体的な仕事内容を見て、「自分にもできるかも?」と想像してみてほしいのです。

「これだ!」と思う道が見つかったら、定年を待たずに会社を飛び出すという選択肢もあるかもしれません。

やるべきこと③ 社外で趣味や勉強の仲間を作る

もう一つ、できればすぐに手を付けてほしいのが、「自分がやりたい勉強や趣味を始める」というステップです。といっても、「資格を取りましょう」という話ではありません。目的は学ぶ内容そのものではなく、会社以外の人間関係を作っていくことにあります。

ですから、勉強する内容は何でもOK。ピアノ、ギター、ジャズ、合唱といった音楽関係でも、ゴルフやバレーボールなどのスポーツでも、もちろん英会話やマーケティング、コンサルティングといった今後に役立ちそうなものでも、あなたが勉強したいと思うものを選んでください。会社がお金を出してくれる社外の勉強会などにも、ぜひ参加してみましょう。

勉強そのもの以上に人間関係を作るのが狙いですから、通信教育や独学ではなく、ぜひ教室やサークルに参加してみてください。そして、ともに学ぶ仲間に積極的に話しかけてみてほしいのです。ピアノなどの個人的な学びを選んでも、発表会などで周囲の人とふれあう機会は必ずあります。

長年会社員をやっていると、いつも通りの限られた人間関係のなかで過ごしてしまいがちです。そこから一歩踏み出して、会社の外の人たちと定期的に話す機会をもってほしいのです。利害関係のない社外の人たちとは、社内では言えないような話も存分にできます。自分の話をしたり、相手の話を聞いたりする中で、抱えているモヤモヤがすっきりしたり、「会社以外にもこんなにいろんな世界があるんだ」と、新しい視点に気づかされたりするはずです。

そして最大の狙いは、新しく築いた人脈が、転職など新たな道につながることです。実は、中高年の転職が一番うまくいく「鉄板パターン」というものがあるのです。それは、「誰かの紹介やお誘いで転職する」というパターンです。

人脈での紹介は、あなたのお人柄をしっかりと知ってもらうことができます。あなたの経歴や人柄を見込んで、「こんな仕事があるんだけど、どう? あなたには向いていると思う」といったお誘いにつながることは、稀有なことではありません。仕事に繋がらなくても、趣味のサークルの運営やボランティアなどの、新たなやりがいや生きがいを見つけることができるかもしれません。

また、実は一番の人脈は社内にいるのです。定年後の仕事が決まった方の多くが実は男女共に社内人脈です。例えば、元上司から新しい会社にお誘いを受けた、先輩からいい人がいたら紹介してほしい、と言われたからあなたを推薦したいのだけれど、と声を掛けてもらった、などです。しかし、誰もが周囲からお誘いを受けるわけではありません。声を掛けてもらえる人材になるには? は後半にヒントが隠れています。

やるべきこと④ 副業またはボランティアで第2の居場所を

もう一つ、会社員でいるうちにやっておいてほしいのが、副業やボランティアです。最初に述べた「ズルズルと会社に居続けてしまう」というパターンに陥らないために、会社員という立場でいる間に、副業をある程度軌道に乗せてしまうというのも、セカンドキャリアへの道です。

星の数ほどある副業の中で、手を付けやすいものとしておすすめなのが「クラウドソーシング」です。経理や表計算、資料作成、プレスリリース代書などなど、会社で手がけてきた能力を社外に売ることができます。

基本的には、「ココナラ」、「ランサーズ」、「クラウドワークス」といったサイトに登録して、自分ができることに値段を付けるだけ。競争相手は多いですが、そこには、これまでの仕事がそのまま誰かの役に立ち、さらにお金になる世界が広がっています。

会社が副業NGという場合は、収入につながらないボランティアなどに参加するのもいい方法です。人脈作りの中でも触れましたが、社外で人間関係を充実させ、自分の居場所を作ることは、定年後の人生で大きな意味を持つことになります。

セカンドキャリアへの不安を漠然と抱えているだけでは、不安は払しょくされません。だからこそ、まずは「自分の定年後を考える」、そして「行動する」してみること。そうすれば、実は、世界は広く、あなたの「やりがい」が見つかることは不可能ではありません。

とはいえ、明日や1週間後にすぐ新しい道が見つかるわけではありません。後編では、明日からあなたが会社を去る日まで、あなたが社内で頼りにされ、愛される人になるための具体的な方策をお伝えします。

取材・文/華太郎

藤井佐和子
株式会社キャリエーラ代表取締役。キャリアアドバイザー。1968年生まれ。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部にて3年半従事、その後、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)8年間派遣事業部と紹介事業部の立ち上げに携わる。2002年(株)キャリエーラを設立。日経課長塾はじめ企業研修や講演、日経×womanにてキャリアデザインに関する動画配信,個人向けに延べ17000人以上のカウンセリング実績。著書に『どんな職場でも求められる人になるために いますぐはじめる47のこと(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』などがある。

この記事を書いた人

華太郎
華太郎経済ライター
新聞社の経済記者や週刊誌の副編集長をやっていました。強み:好き嫌いがありません。弱み:節操がありません。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン