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キャリア設計

40代からは目先のお金より「キャリア資本」を蓄積した人が強い。注目の「プロティアン・キャリア」をポイント解説

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変幻自在かつ主体的に働き方を変える「プロティアン・キャリア」について、専門家にポイント解説していただきました。

プロフィール

女性起業家西村美奈子

昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。働く女性向けのセカンドキャリア研修事業を行うNext Storyを創業。その後、法政大学大学院で田中研之輔教授に師事し、プロティアン・キャリア協会の認定ファシリテーターになる。

「人生100年」のこれからの時代、ビジネスパーソンのキャリア構築はどう変化するのでしょうか。様々なキャリア論が提唱されるなか、今注目の「プロティアン・キャリア」について、一般社団法人プロティアン・キャリア協会の認定ファシリテーター、(株)Next Storyの代表取締役・西村美奈子さんに解説していただきました。

主体的に働き方を変えてキャリアを形成

プロティアン・キャリアは、ボストン大学のダグラス・ホール名誉教授が提唱したキャリア理論です。「プロティアン」には、「変化し続ける」「変幻自在な」といった意味があります。

基本的には、社会や環境の変化に適応しつつ、変幻自在かつ主体的に働き方を変えながら、キャリアを形成していくという考え方です。それは、これまで主流であった「新卒入社した会社にすべてお任せ」的な働き方とは異なるものです。そして目指すのは、出世よりむしろ、目標達成時に得る満足感とか幸福感といった心理的成功です。

そのためには、仕事の現場で「自分らしさ」を発揮できることが必要です。一方で、その自分らしさが、職場や顧客が求めているものでなくてはいけません。そのバランス感覚が重要で、「仕事のやりがいを感じられない」などと悩む方は、バランスがとれていないものです。理想は、高いレベルでバランスが保たれている状態。これこそが、幸福な自律型人材への道なのです。

キャリア資本の戦略的な蓄積・活用がカギ

ホール名誉教授が、プロティアン・キャリアを初めて提唱したのは1970年代と、かなり前のことです。そこで、法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授が、これに新たな概念を組み合わせて、現代版のプロティアン・キャリアを唱えました。

その現代版で加わった概念の1つに「キャリア資本論」があります。これを、資本を「ビジネス資本」、「社会関係資本」、「経済資本」の3本柱に分けています。ビジネス資本は、仕事に直接的に役立つ知識、スキル、経験を指します。社会関係資本は職場や地域の人的ネットワークで、経済資本は収入や貯蓄といったお金に関係するものです。

これからの働き方の成否は、ひとえにキャリア資本を戦略的に蓄積し、活用していくことにかかっています。

具体的には、自分はどんなビジネス資本、社会関係資本、経済資本を持っているのか、紙に書いて「棚卸し」することから始めます。そこから、自身の強みと弱み、機会と脅威を把握し、機会と脅威を知るために外部の環境はどうなっているのかを見ていきます。マーケティングでいえばSWOT分析にあたりますね。こうした作業を経て、人生におけるパーパス、目的や理念を固め、ビジネス書を多読するなど行動に移していきます。

収入アップだけを考える人生が本当に幸せか

プロティアン・キャリアは、周囲の労働環境を含めた変化はあるものという前提です。それによって、転職や独立をしたり、一時的に収入が減ることもあるかもしれません。

それをリスクと考え、回避しようとするより、リスクヘッジをとりながら、行動していくことが大事です。

そして、1つの会社に決めて、生涯収入をアップすることだけに重きを置くのが本当に幸せかどうかも考えて見るべきでしょう。軸足を置いて目指すべきは、心理的成功なのですから。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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