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50代のキャリアブレイクとは? 休職や転職の無職期間のキャリアアップが注目を集めるワケ

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今注目のキーワードである「キャリアブレイク」について概要をまとめました。

定年を控えた50代のキャリアの見直しは、今やビジネスパーソンの必須科目といっても過言ではありません。一時的な離職・休職によるキャリアの中断を意味する「キャリアブレイク」。これを単なる無職期間で終わらせるのではなく、意義のある転機と捉えることをすすめるのは、一般社団法人キャリアブレイク研究所の代表理事、北野貴大さんです。今回は北野さんに、キャリアブレイクの基本的な事柄を教えていただきました。

キャリアブレイク経験者の印象は?

日本では、仕事をしていないブランクの期間が長引くのは、好ましくないこととされています。特に転職では不利だという風潮があります。

ですが、統計的に見ると、キャリアブレイクの期間なしですぐ転職した人よりも、キャリアブレイクを経験した人のほうがずっと多いのです。最近のデータでは、転職活動をしながらも、離職期間が1か月以上に及んだ人は147万人もいると推計できます。キャリアブレイクをする日本人は、実は珍しくはないのです。

キャリアブレイク後は多様な働き方ができる

キャリアブレイクをしてから仕事に復帰した人は、転職した人もあれば、起業を選択した人もいます。

辞めるつもりで休職したものの、最終的に元の会社に復職した人も多いです。例えば、テレビ局で働いていて、激務で体調を崩して休職した女性のエピソードがあります。最初は戻る気はなく、転職活動もされたのですが、体調が回復するにつれ、入社時に抱いていた志がよみがえってきたのですね。それで復職し、ワークライフバランスがとれるよう調整してもらって、今もそこで働いています。私はパーパス型と呼んでいるのですが、仕事から離れている間に、その仕事を続けることへの納得感が整って復職する人は少なくはありません。

この女性のように、それまでしていた仕事に納得感をつかんで復職するパターンを「パーパス型」と呼んでいます。

また、離職中にやりがいのある趣味や小さな仕事を見出し、それを携えて復職するパターンもあって、これは「スラッシュ型」と呼んでいます。「医者/プロレスラー」「事務員/アクセサリー作家」というふうにですね。復職してもそうした活動を継続することで、自分を心地よく保てるバランスを得ています。

50代がキャリアブレイクで成功するには?

事例を収集し始めた頃は、キャリアブレイクを経験する人は自由度の高い20代から30代がメインかなと想定していました。ですが、実は50代も多かったのは少し意外でした。

50代がキャリアブレイクをするきっかけは、本当にいろいろな理由からです。体調を崩して休職という人もいれば、子供の教育に注力したいとか、家族と過ごす時間を増やしたいとった気持ちで、退職ないしは休職する方もいます。

世界一周とか挑戦的な辞め方をする方もいますね。勤続年数が長いと、社内の特別休暇制度など利用しやすくなるというのもあります。実際にその制度を活用して、地方議会選に出馬した方もいます。

キャリアブレイクをした人の境遇・年代はさまざまですが、転機と捉えて前向きに過ごした人は、キャリアブレイクの後の人生に良い影響を与えていますし、当人も「キャリアブレイクをしてよかった」と語っています。

ただ、私としては、年代を問わず離職・休職を推奨するというスタンスではなく、いざというときは「キャリアブレイクという選択肢があるよ」という位置づけでとらえています。本当にキャリアブレイクをするかどうかは、最終的にはご自身でゆっくり考えて決めることだと思います。

キャリアブレイクはいざという時の選択肢の一つ

キャリアブレイクは転職がしやすい若い世代の特権ではありません。50代でもキャリアブレイクをする人はたくさんいます。

体調を崩してやむなくという人もいますが、子供の教育に注力したいとか、家族と過ごす時間を増やしたいとった前向きな気持ちで、退職・休職する方もいます。

事情や年代にかかわらず、転機と捉えて過ごした人は、キャリアブレイクの後の人生に良い影響を与える人もいます。

私は、「ぜひキャリアブレイクをしましょう」と推奨するスタンスではありません。ですが、いざというときは「キャリアブレイクという選択肢がある」と心の中で思っていてほしいのですね。

そして、キャリアブレイクはブランクではなく、それ自体が一つのキャリアであると考えた方が良いと思います。定年まで一社に勤めるストレートなキャリアだけでなく、回り道をして、納得感のあるキャリアにたどり着くやり方があってもいい。多くの経験者を見てきて、このように感じています。

キャリアブレイクはそれ自体が一つのキャリア

日本では、何か月もの離職期間を作ってしまうと、見逃せない経歴上のキズのように見なされがちです。それで転職がしにくくなったり、周囲から良く思われないことも多々あるのが現状です。また、近しい人は、仕事を辞めてしまった人を弱者のような存在と考えがちです。

ですが、上で挙げた例もそうですが、キャリアブレイクの期間を自分の転機あるいは意義あるものと捉えて過ごした人は、その後の人生に良い影響を与えています。実際、そういう方々たちはキャリアブレイクをして良かったと話しています。

これからは欧州のように、キャリアブレイクはブランクではなく、それ自体が一つのキャリアであると考えることもできると思います。新卒で入社してそのまま定年まで務めるストレートなキャリアだけでなく、回り道を紆余曲折した結果、納得感のあるキャリアにたどり着くやり方があってもいい。私は、多くのキャリアブレイク経験者を見てきて、このように感じています。

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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