絶対に失敗するカフェの作り方小さなカフェが、テレビやラジオ、雑誌、新聞に取材され続けるたったひとつの理由
カフェ経営、喫茶店経営で、悩むのが広告や宣伝です。どうやったらメディアが取り上げてくれるカフェになれるのか。行列のできる人気喫茶店「珈琲文明」のマスター・赤澤智が語ります。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
目次
取材してくれたメディアには必ずこの質問をする
前回、取材に来てくれたメディアへの対応についてお伝えしました。
ワンオペの小さなカフェが、メディアに取り上げられ続ける店になるには、たったひとつの秘訣があると思っています。それは、メニューの写真撮影や店主のインタビュー等、平常営業中に片手間にやるのではなく開店前(または閉店後)の時間帯をこちらから希望して大切に大切に全力で対応すること。
それによって、わらしべ長者のように、取材が途切れないカフェになっていくことができるからです。
この全力取材対応を、徹底した上で、私がやってきたのは、各種媒体のスタッフに「どういう経緯でこのお店を取材しようと思ったんですか?」と必ず訊くということでした。
それによって見えてくることがありました。
非常に興味深かったのが超有名なテレビ番組や新聞雑誌であればあるほど「ネット等の情報はアテにせずスタッフが実際に足を使って直接回る」ということでした。
そしてアテをつけたお店はまず素性を明かさず、一般のお客さんとして「潜入」してその後電話で連絡が来る、といった流れが超有名どころには多かったんです。
本気の取材をしてくれるメディアは、「本当に取材する価値があるのかどうか」を自分の目で見て、確認しているため、こちらがいくらプレスリリースを打ったところで暖簾に腕押しだったりするわけですね。
小さなカフェが取材された後にやるべきこと
さらに、取材が終わった後のこちらの対応も、全力で行うことを心がけてください。
取材が終わり例えばその雑誌がリリースになると「見本誌」というものが送られてきます。
その際に私は必ずすぐに「見本誌届きました。一言お礼を申し上げたくてお電話しました。この度はありがとうございました」という電話(最近はメール)をしていました。
出版社の方の中には「このような電話を頂戴したことがこれまでありませんでしたのでビックリしました」と言われる方も少なくありません。
また見本誌の中に、記者の方からの手書きのお手紙などが入っていると、こちらも「ああ、きちんと対応して良かったな」って思いますし、これって、本当に、いいことしかありません。
こちらからお金を払っているわけでもないのに、明らかにメリットのある事象を享受した場合にそれに対してお礼を言うという行為。
これは、一般社会人なら当たり前のことだと思います。
しかしながら! これが、出来ていない飲食店主が多いという事実にビックリしたと同時にこんな当たり前のことをして喜ばれるのはオイシイとも思いました。
だからこそ! 皆さんも必ずやってくださいね。
小さなカフェが取材され続けるその理由
そして意外かもしれませんが、「雑誌やメディア取材のリピート」はすごいです。
同じ雑誌の違う号や同じ出版社からの異なる趣旨の書籍(ムック本など)化で再度また声がかかるということも実は相当数あります。
そしてそういう再度掲載しようという気持ちに相手側はなるかどうかはやはり一回目にこちら側も誠心誠意と礼を尽くして対応することなのだと思います。
また、超有名番組に取り上げられるかどうか、は、ハコ作りをきっちりやっておくことも大切です。
それ以外に、「尖ったメニューがある」「強烈なコンセプトが(出来れば複数)ある」といったことが重要なので、この連載の、「基本三大コンセプト」のくだりなどを今一度読み返してみてください。
雑誌やメディア、ラジオなどが取り上げたいカフェになる
取材されたいのなら、取材したい店になること。
これは必須条件ですよね。
そして、ちゃんと取材するメディアは、先ほどもお伝えしたように、ネットの情報を鵜呑みにせずリサーチをすることが多いです。しかしながら、ローラー作戦で、片っ端からリサーチするにはコスパが悪いのも事実。そうなってくると、取材期間がタイトな時などは、「過去に取り上げた店」の中から、「あのカフェは、ちゃんと対応してくれるし、お店も間違いない」というお店を繰り返し取り上げてくれるのです。
だからこそ、どんなに小さな取材も一つ一つ全力で対応していくことで最初は小さい雪の結晶のような始まりかもしれませんがそれがどんどん雪だるま式に取り上げられていくという、これを私は「取材の雪崩現象」などと呼んでいますが、本当にある時を境に雪崩のようにいくつも、複数筋から取材の話が舞い込んできます。
そしてそれらことごとくに対して常に全身全霊と礼を尽くして対応するのです。
いかがでしたか?
何かウルトラC級の裏ワザを駆使してメディア露出する方法があるのではないだろうかと思っていた方には驚くほどに地味でドブ板営業的な方法に思えたかもしれません。
それでもやはりこれから新規オープンを目指すまだ何物でもないあなたのお店が知りたかった情報ではなかったでしょうか?
今回のエッセイを書きながら、改めて、
「ああ、この情報は創業当時の私自身がずっとずっと知りたかった情報だなあ。17年前の自分に今回の話を読んでもらいたいなぁ」
って思いました。
ぜひお役立てくださいね。
珈琲文明店主・赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」