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絶対に失敗するカフェの作り方売上100万円なら店主の収入は40万円⁉︎ 失敗しない小さなカフェ経営の売上と経費

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カフェ経営、喫茶店経営に憧れる人が本当に知りたいこと。店主の収入は? 喫茶店だけで生活していける?
行列のできる人気喫茶店「珈琲文明」のマスター・赤澤智が語ります。

プロフィール

珈琲文明店主赤澤智

(あかざわ・さとる)昭和42年生まれ。メジャーデビューを目指しバンド活動をしながら12年間塾講師としても活動。大手学習塾の教室長及びエリアマネージャーとして4年半正社員として働いた後、2007年40歳の時に横浜市白楽にカフェ「珈琲文明」を開店。創業開始から今日に至るまでの16年以上(コロナ期間も含め)1度も赤字になったことがなく、黒字で長く続けられる経営を心掛けている。著書に「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えを見つけた(祥伝社)」がある。

小さなカフェの店主の収入は売上の4割

「ワンオペ店主の収入っていくらなの?」

これは、カフェを立ち上げたい人にとって絶対に知りたいことだと思います。

簡単に言えば、「売上」から「経費」を引いた額が店主の収入ですよね。

ワンオペ個人店の店主の収入は売上のズバリ4割です。

この4割というのは、人件費が3割で利益が1割です。

誰も雇わず一人でカフェを自営している人の場合は、この人件費と利益が、店主の収入となるわけです。

かなりシビアな話として、潰れないカフェ経営に絶対必要なことは、何よりも、売上の絶対額ということになります。

これがないと絶対に失敗します。

売上の絶対額があってこそ、売上の4割で生活していくことができる……だからこそ、前回までの話の中で、店の立地、広さ、内装、客単価などの決め方について細かくお伝えしてきたわけです。

珈琲文明の店主・赤澤智がカフェ経営の実情をお伝えします。(写真:珈琲文明提供)

小さなカフェにかかる月々の費用の一般論

その上で、今回は、月々の費用の話をします。

日々のお店の運営でどういった費用がかかっていくか。

そしてそれら各費用が売上に対してどれくらいの割合なのがベストなのか?

諸説ありますが、代表的なのは以下の通りです。

原価・材料費(以下、Fコスト)30%
人件費(以下、Lコスト)30%
家賃10%
光熱費、雑費、その他費用10%
借入金返済及び償却10%
利益10%

とまぁこんな感じが一般的かと思います。

売上の半分以上を占めるのがF、Lコストなのでここが重要なのはわかると思います。

ここで重要なことを言いますが、まずこのFとLそれぞれで考えず、両方の合計FLコストとして60%以内を目指してみてください。

綺麗に30:30である必要はなく、業態によってこれは変わるはずです。

例えば「キャバクラやホストクラブは材料費より圧倒的に人件費が高い」などイメージするとわかりやすいですよね。

さて、ここまではよく言われている話です。

ちなみに、私の意見はこれとは異なっているので、後述します。

小さなカフェにかかる本当の費用は理想通りにいかない

ここから私の考え、及び現場の実態を述べていきます。

まず、前の項でお伝えした、「家賃が売上の10%以内」という話ですが、これ、ほぼ無理です。というか、無理です。

いや、上記一般論を否定するわけではありません。

私がお伝えしているのはあくまでも、店主一人で経営する小さなカフェの話なので、一般的なカフェ経営についての情報をそれに当てはめると失敗します、っていう話です。

世の中に出回る店舗経営の本やコンサルタントが伝えているのは、結局のところ「スタッフ、従業員がいるお店」であり、アルコールやフードがかなり充実した大箱のお店のことを指していることがほとんどです。

完全にワンオペかつドリンク中心のカフェ、喫茶店を想像したものではないということ。

これを、忘れてはなりません。

完全なワンオペ店の健全にして上限の売上額はせいぜい100~150万円くらいまでです。

立地の話でも述べたように二等、三等商圏の一等立地というスタンスで物件を探す場合、家賃はせいぜい坪1万前後にはなるはずです(※地方は除く)。

私が提唱している物件のスケールは10~15坪の間です。

例えば10坪のお店で家賃が10万円だとします。

そうなると売上は100万円ではじめて家賃が10%ということになります。

ワンオペ店にとってこの数値は極めて困難といいますか、目指す必要すらないと思います。

珈琲文明の店内(写真:珈琲文明提供)

小さなカフェの理想的な費用の考え方

それでは、改めて、私の考えです。

FLに家賃(Rとします)を加えたFLRコストの合計で70%という目安とし、さらに「その他の雑費、光熱費」までを含めた合計で90%(理想は80%)以内にするように頑張ってみるのです。

フード中心でFに30%というのは普通(というよりその程度だと大手チェーン店との差別化が難しい)ですが、ドリンク中心の業態であればFに30%かけたら物凄いクオリティになります。

だからこそそれが武器にもなるのですが、きっともう少しだけ抑えられます。

さらに人件費の削減。なんたってこれは自分自身なのですから少し抑えましょう。

とはいえやっぱり家賃の10%超過分を吸収するのはなかなか難しいかもしれません。

成功の秘訣はその他の費用を抑えること

そこで、「その他の費用」のところに目を向けます。

この項目は本当に様々な分野に分かれます。

「水道光熱費、通信費、広告宣伝費・・・」挙げたらかなりの数になります。

伝票の用紙やボールペン1本にいたるまで雑費や消耗品費はキリがありません。

しかし、個人店は、このいわゆる「その他の費用全般」は合計するとむしろ10%を下回るように頑張るべし。

というより何が何でも下回るように持っていきましょう。

ただし、水道光熱費はワンオペの小さなカフェは、むしろ大きなカフェよりも割高になります。

(店員が一人だろうが三人だろうが冷暖房設定温度はそんなに変えないですよね?)

ですから他の項目で思い切ったコストカットを断行するのです。

小さなカフェ経営では広告宣伝費を最小化すること

ここで最もオススメしたいコストカット項目はズバリ、「広告宣伝費」です。

ここを大幅に(出来ればゼロに)カットすることによって、FLR+その他の費用の総体で90%くらいに持っていくことは可能になります。

とにかく「FLR+その他の費用の総体で90%」以内におさめるようにしましょう。

それが実現してはじめて利益の10%というものが生まれます。

そして前回も述べましたが、客単価が仮に800円のお店だとした場合、お一人様から80円ずつ利益として頂戴していて、その積み上げでのみお店は成り立っています。

さらにこの80円はしっかりしたコスト管理がなされていないと簡単に吹っ飛ぶ、と覚えておくようにしてください。

次回は先ほど「広告宣伝費は大幅にカット(出来ればゼロに)すべし」と述べましたが、そのへんの話を詳しくお伝えします。

珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

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