自分でできるマーケティング入門便利なサービスは手数料も莫大!? 自分で「オンライン直販」を作るべき3つの理由と3Stepで作れる方法
D2Cを考えるなら、まずはマーケットプレイスでの販売を考える人は多い。人と物の集まるところに商機あり、というわけです。しかし、このマーケットプレイスやデパートでは利益を圧迫するデメリットも。自分で「オンライン直販」を作るメリットを考えてみる。
目次
Ankerのネット通販サイトを立ち上げてわかったことは「どこで売るか?」
『あなたの一番大切な顧客は誰?「マーケティングの4P」よりも大事なこと』という記事で、マーケティングの4Pよりも顧客が大切という話をしました。本記事では、最も重要な「顧客」と、4Pのうちの1つ「Place: どこで、どう売るか」において「オンライン直販」の重要性ついて紹介します。
2018年5月末、わたしは急成長中のモバイルバッテリー等を販売する中国の家電メーカー「Anker Japan」にマーケターとして勤めていました。自身のメインプロジェクトは、自社ネット通販サイト「Anker公式オンラインストア」を約半年間かけて作り公開すること。当時、Ankerは世界共通のウェブサイトがありましたが、Amazonの製品ページへ飛ばす「ただのカタログサイト」となっていたため、自社サイトで製品が購入できる通販サイトにアップデートするプロジェクトを任されていたのです。
Ankerの自社通販サイトのローンチを通してわかったことは3つあります。
- 「顧客とのつながり」
- 「利益率向上」
- 「価格コントロール」
です。
「オンライン直販」の3つのメリット
「オンライン直販」という選択肢を持つと得られる3つのポイントをまとめます。
半自動で「顧客とのつながり」が蓄積される
1つ目は「顧客とのつながり」です。
「オンライン直販」の販売ルートを持てば、顧客リストを自分で保有できます。しかも、オンラインであればシステムに自動的に顧客リストと個々人とのやり取り、売上が蓄積されていくため、半自動で顧客リストが積み上がっていくのです。もし新しいキャンペーンや新製品の発売、セールをスタートする際に自分の顧客リストにメールなどで連絡することができることができます。
中抜きされないのから「利益率の向上」
2つ目は「利益率の向上」です。
わたしが「Anker Japan」時代に一番驚いたことの1つに、いかに百貨店や家電量販店などの「製品やサービスの販売場所」が事業主から中間マージンを取っているかということがありました。
マネー現代の記事『秘密の「手数料」…百貨店、駅ビル、ECモールについてわかった「驚くべき真実」』によれば、大手アパレル三陽商会が支払っていた百貨店販路の賃料歩率 (中間マージン) が約32%であると記載されています。例えば顧客が10000円で購入する商品は、百貨店で売れても売上に対して32%、つまり3200円を手数料としてもっていかれてしまいます。そのため、手元に残る売上は6800円しかないのです。そこから原価や人件費等を引くと、手元に残る利益はかなり低くなってしまうでしょう。
しかしオンライン直販を立ち上げれば、中間マージンは決済手数料やシステム利用料を含めても10%以下に抑えることができます。オンライン直販ができれば、中抜きが減り、手元に残る利益が大きくなるのです。
自由に値付けができる「価格のコントロール」
3つ目は「価格のコントロール」です。
例えばAmazonは、2017/6/1まで「Amazonマーケットプレイス」の出品者に対して最低価格の設定や品ぞろえなどを強制していました (参考記事)。もしAmazonの価格が他の販売ルートよりも1円でも高いと、新商品を登録できなかったり、製品ページを停止させられていたのです。2023年4月にも、アメリカで同様の問題が生じていて裁判沙汰になっています(参考記事)。Amazonに限らず、他の外部販路はこのような価格に関する暗黙の了解やルールが多数存在します。
Amazonの例のように、販売ルートを外部に委ねると、価格のコントロール権が大幅に低下する可能性が高くなります。
しかし、オンライン直販で売上が上がる仕組みを持っていれば、自分で価格を決めることができます。これは世界的なインフレで、値上げを行っていく必要がある現在においてとても重要なポイントです。
今すぐオンライン直販を始める3つのステップ
デジタル化が進んだ現代において、皆さんのビジネスでオンライン直販の販売ルートを作るハードルはぐっと下がりました。今回は3つのステップで直販を始める3つのステップをお伝えします。
Step1. 顧客・製品・価格の3つを書き出して整理する
オンラインの直販を始める前に、いま既に買ってくれている顧客をあらためてリスト化しましょう。そして、いま販売されている製品・サービスと価格も併せてリスト化します。
なぜなら、オンライン直販では商品をヌケモレ無くリスト化して固有の名前をふることが鉄則だからです。例えば1つの「iPhone充電ケーブル」を売っている事業者の場合、同じ製品シリーズであっても下記のように6つの種類に分類できます。
- 1.iPhone充電ケーブル ホワイト 0.9m
- 2.iPhone充電ケーブル ホワイト 1.8m
- 3.iPhone充電ケーブル ホワイト 3.0m
- 4.iPhone充電ケーブル ブラック 0.9m
- 5.iPhone充電ケーブル ブラック 1.8m
- 6.iPhone充電ケーブル ブラック 3.0m
これら6種類を区別して管理するために、それぞれに固有の名前をつけます。この在庫管理上の最小の品目数を数える単位を専門用語でストック・キーピング・ユニット(Stock keepingUnit)や略してエス・ケー・ユー(SKU)と呼びます。オンライン直販を作る前に、お手持ちの最小単位の製品/サービスをしっかりリスト化して区分けし、それぞれの価格を決めておく必要があるのです。
Step2. 直販に最適なツールを選定する
次に、直販に最適なツールを選びます。
決済のみ
そもそも「決済手段」だけオンラインであれば、すぐにオンライン直販に移行できるできるという事業主や副業の方は下記のオンライン決済手段を検討しましょう。
レジも不要で、メールでお客様に支払ってもらう依頼を出し、支払いをオンラインに移行できます。
物販
もしモノを売っているのであれば、下記のサービスから検討してみましょう。
オンライン講座
また、ハンドメイド作家やヨガ講師などオンライン講座等のサービスを売っているのであれば下記のサービスも選択肢としてありです。
WebサイトとEC一体
自分のウェブサイトを作って、そこでオンライン直販も構築したいという気概のある方は、手間はかかりますが下記のサービスで頑張って構築する選択肢もあります。構築にはそれなりに専門知識も必要になってくるので、知り合いで詳しい方やプロにお願いすることも検討してみましょう。
Step3. 顧客と見込み客に告知し、実際に使ってもらう
上記のサービスを活用してオンライン直販が構築できたら、実際にお客様に告知して、使ってサービス・製品を買ってもらいましょう。
また、もし可能でしたらお客様から購買体験がどうだったか率直なFeedbackをもらうこともオススメです。直販は構築してから、どうやって改善するかがポイントだからです。
上記3ステップの先にある、「集客を増やす方法」についてはまた別の記事で解説したいと思います。
「オンライン直販」のおさらい
- 「オンライン直販 x 顧客リスト」をデジタルで持つ重要性を再認識する
- オンライン直販を自分で作るには「顧客・製品・価格の3つを書き出して整理」→「最適なツールを選定する」→「告知して使ってもらう」の3ステップで始める
- オンライン直販についてもっと詳しく学べるオススメの書籍
『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』
『マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント』
『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』