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絶対に失敗するカフェの作り方カフェ開業で外してはいけない「人に教えたくなる最強サイドメニュー」づくり。

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小さなカフェが潰れずに続いていくために必要なのが「人気サイドメニュー」作り。珈琲文明の店主赤澤智さんはこれを「キラーメニュー」と読んでいます。その中身とは。

カフェ開業でこれをやらないと絶対に失敗すること

前回、サイドメニューを考案するためのポイントを2つお伝えしましたね。

  • 同じ原材料でいくつかのメニューを作る
  • キラーメニューを生み出す

そのうち「同じ原材料でいくつかのメニューを作る」については前回しっかり書かせていただきましたので、今回は「キラーメニュー」作りについてお伝えします。

「キラーメニュー」というのは「人に教えたくなる最強サイドメニュー」と置き換えることができると思います。そして、廃業しないカフェを生み出すには、この最強サイドメニューが絶対に不可欠で、やらなかったカフェや喫茶店はかなり苦戦すると思います。

小さなカフェの店主が悩んでいるメニュー作り

世に出回っている飲食店開業マニュアル本やコンサルタントはよく「あなたのお店が話題にされたり、取材に来てもらったりするためには他にはないオリジナリティある商品が必要です!」と結んで話を終えていることが多いのですが、「そんなことはわかってるけどどうやってそれを思いついて商品化するかがわかんないから困ってるんだよ」って思いますよね? 私は思いました。

他にも「小さなお店を続けていくためにはリピーターを増やすことが重要です」で終わっている本も見かけました。さらに、開業のための講座に高いお金を払っている脱サラ開業志望者も多いと思うのですが本当に知りたいのは、具体的なキラーメニューの作り方ではないでしょうか。

なぜなら、カフェの廃業率は開業から10年で95%に達する世界(飲食店.com「閉店した飲食店の営業年数業態別割合」)ですから、気合を入れて「廃業しないカフェ」つまり「人気カフェ」を目指すべきなんです。

だから、今回は「話題になるサイドメニューはどうやって考案するか」という私なりの答えをこれからズバっと述べたいと思います。

珈琲文明店主・赤澤智がお伝えします(写真/珈琲文明)

組み合わせで唯一無二のカフェメニューにする技

さてまず、近所に実際にありとても繁盛しているパン屋さんの話をします。

そこのパン屋は「コッペパン」に特化しているお店です。

「コッペパン」というと個人的には「かつて給食で出てきたパン」というイメージで、庶民的でおそらく値段は安く、そのためあまりハイクオリティのものは期待しておらず、これはおそらく多くの人が同意見だと思います。

そこに敢えて「コッペパン」を使って、そのコッペパンの中に入れる具材をいろいろと選べて(コロッケやハンバーグの他に粒あんマーガリン等の甘味メニューもあります)、注文が入ってからその具材をコッペパンに挟むという形態です。

この「注文が入ってから挟む」というのもポイントで、手間はかかりますが絶対に作り置きのものよりも美味しくなります。

調理現場も見えるので詳細を言いますと、コッペパンは円形(給食に出たような長い楕円形ではなく丸い形です)で、いわばハンバーガーのバンズのように使用しています。

ここから私の考えですが、ここで挟むパンを普通のパンにするとそれはサンドウィッチと呼ばれて終わり、一般的なバンズであればそれは単にハンバーガーと呼ばれ終わります。

このようなパンにした時点で競争相手競合他社が激増します。

Subwayやマックその他多くのチェーン店と比較しての勝負となってしまい、そこで味、価格等、いわゆるコスパで消費者に考えられてしまうとほぼ勝ち目はありません。

ところがサンドウィッチでもハンバーガーでもなく「コッペパン」とした時点で一気に競争相手が勝手に減ります。

このように商品にはその「組み合わせの妙」だけで突然オリジナリティを持つキラーメニューに化けることがあるのです。

おそらくコッペパンの原価というものはパン全体の中でも安いほうでしょう。

この時点で粗利を確保できるので得ですが、ここで重要なのはその安いパンだから原価が浮いてラッキーと捉えるよりも「そんなコッペパンを他の割高の原価のパン並みもしくはそれ以上に原価をかけて圧倒的なコッペパンにする」というほうがヒットしやすいのです。

カフェメニューには競争相手がいなくなる「ずらし」が必要

私のお店「珈琲文明」のにはカレーパンという人気サイドメニューがあります。

「アツアツトロトロのカレーがつぼ型のパンの中に入っている」のが特徴なのですが、つまりはカレーライスにかかっているカレーのルーがパンの中に入っているというものです。

珈琲文明のカレーパン(写真/珈琲文明)

ここで私がメニューをカレー「パン」ではなくカレー「ライス」にしていたならばそれこそ競合他社が星の数ほどいる中での勝負になりますし、そもそも勝てる気が全くしません。

「パン」にしたほうが飲み物が必ず飲みたくなるという重要な理由もあるのですが、いわゆる一般的なカレーパンの中に入っているパサパサして粘度の高い物ではなく熱々トロトロのものを注文が入ってからパンに注ぎ入れるということで競争相手がいなくなります。

前回の「同じ原材料でいくつかのメニューを作る」と合わせると、キラーメニューづくりの極意はこうなります。

「原料、具材等はハイクオリティにして本来の用途ではない(ポピュラーなメニューではない)ものを組み合わせの妙によりオリジナリティを出す」

これによって「人に教えたくなる最強サイドメニュー」は完成するのです。

これらの話を参考にしつつぜひ皆さんも少しの「ズラし」やアイディアでサイドメニューを考案してみてくださいね。


メソッドを2020年に初の著書として出版。「人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えをみつけた

次回は、最強サイドメニューのさらに上を行く、「メディアが殺到するメニュー」作りについてお伝えしますので、楽しみにしていてください。

珈琲文明店主・赤澤智でした。

この記事を書いた人

赤澤智
赤澤智珈琲文明店主
脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」

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