絶対に失敗するカフェの作り方レトロカフェの聖地・横浜「珈琲文明」が生まれたきっかけは、会社員が「一生の仕事ではない」と気づき「お店でもやるか」だった
テレビやメディアに出ずっぱり。いつも行列ができる横浜のカフェに学ぶ、続くカフェ、人気カフェの作り方。
プロフィール
珈琲文明店主赤澤智
「カフェを自分でやってみたい」「カフェ経営に憧れる」という人がまず何をはじめればいいのか。
横浜で15年カフェ経営を続ける元塾講師の赤澤智がたどり着いた「絶対に失敗するカフェの作り方」をベースにした、カフェ経営の秘訣を連載でお伝えしていきます。
目次
全国の脱サラ希望者みなさんへ
仕事辞めたい、老後が不安だ、自分の時間が欲しい、お金より自由、という脱サラ志望者は今も昔も後を絶ちません。
また、ミュージシャンになるぜ! 役者になりたい、漫画家になりたい、近年ではユーチューバーになりたい、という夢を抱き、その後いろいろあって方向転換の際に働き口がない、あってもそれは自分がやりたいことではない、という人たちもまた常に存在します。
かく言う私がまさにそのままの道を通ってきました。
中学1年の時から「ミュージシャンになるぜ!」の人生が始まり、常に頭の中心ど真ん中には音楽があり、大学で就職活動もせずバンドとバイトに明け暮れていました。
詳細は割愛しますが、メジャーデビューの日まで決まっていたにもかかわらず、事務所を辞めることにしました。
スガシカオの言葉「やりたいことがなければ金を貯めろ」
私と同じ歳で脱サラして遅咲きのデビューを果たしたスガシカオ氏が「やりたいことがないならまずは金を貯めろ、いつか大きく跳ぶ時のために」と言っていたことが胸にささっていました。
そもそもやりたかったことがないどころか、やりたいことを失った状態になって、じゃあまずは金を貯めようかと思い、34歳にして初めての就職活動というものを行います。
どうにかこうにか大手の学習塾に就職でき、山梨県の教室長として塾を任されることになった上に、年間売り上げで全国表彰されたり、「半年間、退会者が出なかった教室」という記録(20年以上記録は破られていない)を達成することに。
お店でもやるか
しかし私は、割と早い段階で、塾講師の仕事を「一生の仕事ではない」と気づいてしまってました。そして、思い立ってしまったのです。
「コーヒー屋をやりたい」と。
きっと今いらっしゃる脱サラ志望者の多くもこの「お店『でも』やるか」の発想になってる人が多いのではないかと思いますが、御多分に漏れず、私もこの発想になりました。
とはいえ、料理なんかしたこともなく、飲食店への知識はゼロ。
お店を開くのにどれくらいお金がかかるのか知らないし、きっと上手く行かないんだろうなぁと思いながらも、「中学生の頃からコーヒーは自分で豆から挽いて飲むくらいにコーヒーが好きだったなぁ」ということを思い出しました。
そんな風だったので、「コーヒー屋をやりたい」という気持ちには語弊があって、「他の選択肢がない」というのが正直なところでした。
土日は「なるべくお越しにならないように」
そして「じゃあコーヒー屋をやるにはどうすればいいんだろう」という、どこがわからないかもわからないほどにわからない状態に直面し、そこでスガシカオの言葉どおりに「まずは金を貯めよう」と思い貯金を開始しました(この時点での不安度120%)。
教育業界にしか身を置いてこなかった自分にとって飲食業界のことは光も射さない違う惑星に舞い降りた感じで、周りは暗黒の世界(この時点での不安度220%)。
今のようにスマホも無い時代であるのと普段は仕事があるのでどこかの飲食店に修行しにいくということも叶わず、電車の移動中や帰宅後や休日にとにかくひたすらまずは知識を入れて「暗黒の飲食惑星」に光を当てる作業を繰り返しました。
飲食店経営に関する本は120冊くらい読んだことになります。
そのデータを分析し、自分に置き換え、行動し、2007年に満を持してオープンしたのが「珈琲文明」です。ありがたいことに、テレビや雑誌などメディアの取材に来ていただくことも増え、現在、土日は混雑を避けるため、「なるべくお越しにならないように」というアナウンスをさせていただくこともあります。
私が開発したカフェ立ち上げのメソッドを活用して、カフェをオープンした方々も、同じように成功と言える成果を出してくださっており、嬉しい限りです。
さて、次回からはいよいよ、メソッドをお伝えしていきますね。
珈琲文明、赤澤智でした。
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この記事を書いた人
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脱サラ後40歳でカフェ経営を始め16年。
強み「しっかり腹落ちしたことならば成果が出るまで粘り強くいつまでも続けられる」。
弱み「人見知りが激しく、興味のない物事(人含む)にはまったく関心がない」