移住者注目!地方だからできる差別化ビジネス地方在住の強みを活かして、ローカルビジネスで成功するためのたった2つのポイントとは?
地方在住のまま、地域に根ざしたローカルビジネスを成功させるコツ!
地方在住で起業する際、東京などの大都市へ進出するか、それとも地元で起業するか、悩む方もいらっしゃるかと思います。
東京には人や企業が多く、その分、仕事の数も人々の需要も無尽蔵にあります。何かを始めるには適しているといえるでしょう。しかし、わざわざ住み慣れた土地を離れてチャレンジすることに不安を感じる人もいるかもしれません。
今回は、地方在住のまま、地域に根ざしたローカルビジネスを成功させるコツをお伝えします。
ここでお伝えするポイントは、以下の2点。
①範囲を広げず、地域に特化する
②大都市にはあるのに、地方に無いものを探す
地方在住で起業を考える場合、この2つの視点で掘り下げてみることをおすすめします。
目次
秘訣① 地域に特化した情報発信でニッチな有名人に
まずは、「範囲を広げず、地域に特化する」についてお伝えします。
ここでご紹介するのは、兵庫県姫路市のローカル情報サイトの成功例です。姫路市は、姫路城や灘のけんか祭りなどで知られる人口およそ52万人の中核市。今回ご紹介するブドウちゃんは、この姫路市に特化したサイト『姫路の種』を個人で制作し、地域住民から支持されるメディアへと育て上げました。
【事例】 ローカル情報サイト運営
兵庫県姫路市で活躍するブドウちゃんは、NFTアートクリエイター、ブロガー、YouTuberなど、複数の仕事をこなすパラレルワーカーです。
そんなブドウちゃんは、まさにローカルビジネスを成功させたフリーランスの雄。
直近では『Yahoo! 検索大賞2022』の『兵庫県検索ランキング 2位』として表彰されました。ランクインした検索キーワードは「ブドウちゃん」。運営しているウェブサイト『姫路の種』だけではなく、ブドウちゃん自身も運営者として地元の方に認知されています。
Yahoo! 検索大賞・兵庫県2位受賞。競合を避けて地元からの支持に特化
ブドウちゃん成功の秘訣は、地域に根ざした情報発信をしたということ。ローカル情報を発信するウェブサイト『姫路の種』を立ち上げたことがきっかけで、地域の方から支持されるようになったのです。
姫路の種の主なコンテンツは、以下のとおり。
- グルメ情報(食レポ、開店・閉店など)
- イベント情報(商店街のお祭り、クリスマスやハロウィンなど)
- 公園紹介(子どもが遊べる遊具などをレビュー)
- クイズ(地元民のためのお楽しみコンテンツ)
- クーポン(飲食店の割引券などを配布)
これらを、毎日1〜3記事ペースで更新し続けています。
サイトがオープンしたのは2015年。最初の2年間は収入ゼロだったのですが、Google AdSense(広告配信サービス)を導入したり、バナー広告を販売したりするなどで、数年後には年間売上1,000万円を突破しました。
今では、街を歩いていると、老若男女の方から「いつも見ていますよ」と声を掛けられるそうです。姫路周辺で暮らす方にとっては、馴染みのある定番サイトと言えるのでしょう。
ちなみに、アクセス解析も公開しているので、「どの記事が、どれくらいのPV数があるのかを知りたい」という方は、ぜひご覧ください(姫路の種 アクセス解析)。
ところで、もしローカル情報ではなく「全国グルメガイド」「東京カフェマップ」だったらどうなっていたでしょうか? グルメ専門誌、食べログ、Google マップなどが競合となり、個人で勝ち上がることはほぼ不可能ではないでしょうか。兵庫県姫路市だけに絞ったことで強者との競合を避け、地元から絶大な支持を得られることとなったのです。
秘訣② 大都市にあって地方にないものを取り入れる
次は、「東京など大都市にはあるのに、地方に無いものを探す」についてお伝えします。
ここで紹介するのは、一般的なお店では扱っていない本や雑貨などニッチな商品が並ぶセレクトショップの成功例です。成功できると思った理由は、「東京には何軒があるのに、この地域にはほどんどタイプの無いお店だったから」とのこと。
「大都市にはあるのに、なぜ私が暮らすこの街には無いのだろう」
そうしたものに気づけると、そこには成功の種があるのかもしれません。
【事例】ニッチな本のセレクトショップ『シカク』を大阪にオープン
大阪の商業地から外れた、ローカルな昭和感が漂う此花区梅香にある小さなお店『シカク』を運営するのは、たけしげみゆきさん。
2011年、彼女が20歳の頃に『シカク』をオープンさせました。開店当初は金なし・コネなし・社会性無しの人見知りで苦戦したとのことですが、今では10周年を迎え、多くのファンから支持されています。
お店では、ミニコミやリトリプレスなどのインディーズな出版物、珍しい雑貨、衣類、CDなどを販売。「見た目は入りづらいと評判ですが、中は気さくな空間なので、勇気を出して入ってください。ヘンテコ、珍奇、愉快な少部数出版の世界があなたを待っています」と、公式サイトでは案内されています。
東京にあるのに大阪にはない。いける!
ビジネスアイデアについて、開業の経緯を少し触れておきます。
店主のたけしげみゆきさんは、元々はマンガ家になりたいと考えていました。その頃、好きでよく行っていた同人誌の即売会に対して、「入場料に1,500円ほどかかるので、熱量が高くないといかない。ハードルが高いな」と感じていたそうです。
そこで、彼女はひらめきます。
「東京にはミニコミ専門店が何軒かあるのに、大阪にはほどんど無い。これはいける!」
入場料がかかる即売会へ行かなくても、ニッチな本や作家さんの熱意が体験できる場づくりを決意したのです。その想いが『シカク』誕生へとつながりました。お店では、原画の展示会や写真展などを催したり、おもしろ本を紹介するトークライブを開催したりしています。
また、自費出版も行い、10年間に渡って撮り集めた給水塔から選りすぐりの405基を収録した『団地の給水塔大図鑑』や、酔っ払い二人の対談で含蓄が一切含まれていない『酒の穴』など、ニッチな本を刊行。後に全国の書店へ流通できる問屋とも取引し、シカクの本を広く届けられるようにもなりました。
成功の要因は彼女の不断の努力があってこそですが、「東京にあるのに地方にはない」という視点は、地方でビジネスを始めるにあたっての大きなヒントになり得るでしょう。需要はあるのにライバルが不在なので、地方で勝負しやすくなります。
地方在住のまま、個人でもローカルビジネスで成功できる!
以上、地方で成功している2つのビジネスをご紹介しました。
それぞれ仕事の内容は全く違いますが、実はお二方に共通していることがあります。それは、競合を避けているということ。
ブドウちゃんは、兵庫県姫路市に特化することで、食べログやGoogleマップという強者との真っ向勝負を避けました。
たけしげみゆきさんは、東京にはあるのに大阪には無いお店をオープンしたことで、近隣にライバル店はありません。
大手がすでにやっていることを個人が真似ても、きっと上手くは行かないでしょう。地方で、しかも個人で成功するには、競合を避ける戦略が有効です。
競合を避けるための秘訣として今回は、
- 範囲を広げず、地域に特化する
- 東京など大都市にはあるのに、地方に無いものを探す
の2つの秘訣をご紹介しました。
もちろん、そこには簡単に真似されない独自性や努力も必要です。
地方だからこそのポジション取りは必ずあるはず。ぜひ、その土地だからこそのアイデアでチャレンジしましょう!
有利なポジションの見つけ方については、連載「高森厚太郎の半径5メートルのビジネスモデル」の以下の記事も参考になりますので、併せてご覧ください。
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この記事を書いた人
- 文章、写真、動画を駆使したWebコンテンツ制作が得意なフリーランサー。会社員時代に始めたブログがきっかけでヘッドハンティング。レゲエ専門メディアの編集長を経て、独立しました。強み:初対面の方と何時間でも話せる。インタビューも好き。弱み:打たれ弱い。