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スモールビジネスの可能性は無限ひとりで少ない資金でもはじめられる「スモールビジネス」。新規性より〈うまくいってるビジネスをアレンジ〉して堅実な収益と継続性が得られる

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起業・副業への関心から「スモールビジネス」への興味が高まっています。スモールビジネスの定義やメリット・デメリット、具体的なビジネスモデルについても紹介します。

政府が打ち出した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によって副業の解禁が本格化されており、副業希望者が増えています。副業からはじめられるスモールビジネスも、今後増えていくことが予測されています。

そういったなかで、「資金や人手はないけど、スモールビジネスに興味がある!」「スモールビジネスをはじめたいけど、どんなビジネスがあるのか知りたい!」と考えている人もいるのではないでしょうか。

目次

スモールビジネスとはどんなビジネス?

ベンチャーやスタートアップと勘違いされやすいスモールビジネスですが、まずは定義やメリット・デメリットなどの基本を押さえましょう。基本を押さえることでスモールビジネスを正しく理解できて、自分のめざすべきものかどうかをあらためて確認できる材料にもなります。

スモールビジネスとスタートアップとの違いは

スモールビジネスに明確な定義はなく、日本語に訳すと「規模の小さい事業」を意味します。近年は個人事業主、フリーランス、小規模事業者などが該当し、スモールビジネスの増加が見込まれています。起業するために必ずしも会社員をやめる必要はなく、副業の形でスモールビジネスをはじめる人もいます。

似た言葉でベンチャーやスタートアップと勘違いする人がいますが、両者とは意味合いが異なります。ベンチャーは革新的なサービスの提供や商品の販売によって、急成長している企業のことです。スタートアップとは、新たな市場を切り開いて事業を立ち上げるビジネスモデルをしています。

本記事でのスモールビジネスは、以下のように定義し、解説させていただきます。

  • 経営者の経験やスキルをもとに、ひとりではじめられること
  • 事業価値の成長よりも、着実に関係者に利益をもたらすことが優先されること
  • 大規模な資金調達ではなく、自己資本や一部融資による運営が基本となること

ベンチャーやスタートアップのように新たなビジネスモデルを確立させるのではなく、スモールビジネスは、既存のビジネスモデルをもとにサービスを立ち上げます。

自分の経験や得意なことを自己資金を中心にはじめることで、リスクを抑えて着実に進めることができます。

スモールビジネスのメリット

スモールビジネスの定義を確認したところで、メリットについて解説します。

写真/Canva

初期費用を抑えられる

初期費用を抑えて少額の資金で起業できることはメリットです。初期費用を抑えると失敗しても致命的なダメージにはなりません。

スキルアップができる

個人で起業するとなれば業務の全般をひとりでするので、業務の幅や知識が広がり、ビジネスパーソンとしてのスキルが上がります。自分の努力しだいでは大きな成果を上げて、収入を増やせる点もモチベーションにもなります。ひとりで仕事をすると人間関係の悩みや、ストレスが少ないのもメリットです。

働く場所を選ばない

また、スモールビジネスの種類によってはパソコン1台だけで仕事ができるので、働く場所を選びません。好きなときに好きな場所に行けるのは、ワークライフバランスの実現にもつながります。

これらのメリットが自分の理想や思考、人生の目的に合致すれば、スモールビジネスをはじめるのもよいでしょう。

スモールビジネスのデメリット

もちろんメリットばかりではなく、デメリットも理解しておきましょう。

収入が不安定

スモールビジネスは会社員のように毎月安定した収入が入るわけではなく、不安定な部分が悩ましい点です。事業に投資をしたくても社会からの信用も低いため、融資を受けるのにも苦労します。仕事がうまくいかないことで体調をくずす人もいますが、個人で運営している場合は、休むと生活の保障もありません。

事業の安定までに時間がかかる

またひとりですべての仕事をするのは、幅広い知識やスキルが必要です。経験したことのないスキルを身につけるには時間もかかりますし、負担に感じることもあるでしょう。

このように事業が安定するまでは苦労することが予測されます。ただしあらかじめ想定されるデメリットに対して準備しておけば、防げる部分もあります。スモールビジネスは副業ではじめられるので、安定した収入があるなかで取り組むのもおすすめです。

スモールビジネスに向いているビジネスの条件

つぎにスモールビジネスに向いているビジネスの条件を解説します。思いつきでスモールビジネスをはじめるとうまくいきません。条件を押さえることで、先述のデメリットを防ぐことにもつながります。

写真/Canva

条件① 自分の特技や経験が発揮できる

スモールビジネスをはじめるには自分の好きなことや特技、経験が活かせることを優先すべきです。競合他社から選ばれるには優位性を保つ必要がありますが、自分の好きなことや特技は、一般的に他社よりも知識や能力に長けている場合が多いためです。

スモールビジネスは個人でやることも多く、ひとりでは時間が限られているので、一から何かをはじめるのでは時間が足りません。時間が足りない部分はこれまでの経験でカバーできますし、ビジネスを進めるうえで経験が説得力にもなります。また好きなことに取り組むことで、辛い場面も乗り越えやすいともいえます。

ただし安易に好きなことを仕事にするのはさけましょう。人が面倒だと考えるような分野に自分の強みを活かせるかを考えるのもおすすめです。後述する代行サービスなどはそれにあたります。

条件② スケールしづらく大手が参入しづらいこと

スケールしづらく大手が参入しづらいことに取り組むのも、スモールビジネスをするうえでは押さえておきたいポイントです。スケールしづらいのは属人性があるビジネスともいえます。大手企業にとっては属人性が高い仕事は、その人が不在によるダメージが大きく好まれません。そういった大手が取りこぼすような仕事を狙うと、うまくいく可能性が上がります。

一定以上にスケールさせるのはむずかしい面もありますが、スモールビジネスをゴールとしていれば問題はありません。もしスケールしたければ売上を十分に立てたあとでも、積極的に人材確保や教育に投資をおこなうことで、属人性をさげることも可能です。

条件③ 成功している既存サービスがあること

スモールビジネスの条件として、既存サービスがすでに儲かっている分野を狙うことも考えましょう。競合がいるなかで勝ち抜くにはむずかしく感じるかもしれません。ただし既存サービスがすでに儲かっている分野は、確実にお金が流れている場所でもあります。既存のサービスから新しいサービスに切り替えてもらうには、従来のものよりも画期的でなければならないので、ハードルが高いといえます。

またスモールビジネスをするうえでは資金や時間、影響力が限られており、新しいサービスを生み出すにはむずかしいといえるでしょう。それよりも儲かっている市場に参入し、大手が拾いきれないような細かなニーズに対応するほうが効率的です。

条件④ 少数でも強いニーズがあること

多くの人が課題を感じている分野には大きな市場が期待できますが、参入も多く競争が激化します。それよりもほんの一部が課題に感じているような、少数でも強いニーズがある分野を見極めましょう。

スモールビジネスをはじめる際に、長期的な成果や成長を見越すことも大切です。たとえば「タピオカ」のように、一時期のブームに乗っかって流行りの食べものの店を出すケースを聞いたことがありませんか。安易に流行ると考えて出店したライバル同士で熾烈な競争に巻き込まれ、ブームの終焉とともにいずれ淘汰されることが幾度となくあります。

ニッチな分野でも強いニーズがある事象に注目し、その背景を考えることが適切です。

条件⑤ ローリスクでできること

ビジネスを考えたときに画期的なことをはじめようと考える人もいるでしょう。しかしスモールビジネスでは画期的である必要はなく、ローリスクではじめられることに着目しましょう。画期的なことだと思っていても、だれかが同じようなサービスにすでに取り組んでいることもおおいに考えられます。

またハイリスクを取って事業が継続できなくなるのはさけるべきで、まずは既存のサービスでうまくいっているモデルケースを探しましょう。

うまくいっているモデルケースに寄せるような形で、提供するコンテンツやターゲットを変えるなど、少し方向性を変えてはじめるのがおすすめです。

どんなスモールビジネスがある?

スモールビジネスは多額の資金を必要としないため、スキルやアイデアしだいですぐにはじめられます。仕事をはじめるのに店舗が必要なものもありますが、パソコン1台ではじめられる仕事もあります。スモールビジネスの一例を紹介するので参考にしてみてください。

写真/Canva

レンタルサービス

場所・スペースや所持している物を貸し出して収益を上げる、レンタルサービスについて紹介します。運用自体がうまく回れば、あまり手間をかけずに安定性も見込めるスモールビジネスです。

イベントスペース、ギャラリー

アートの展示販売やイベントスペースとして貸し出します。保有している物件を活用する場合や、賃貸でも居抜き物件など必要な設備があれば、数十万円ほどの設備費や内装工事費で運営できます。住居ほど築年数が賃料に影響しないこともメリットでしょう。

民泊

民泊とは住宅の全部または一部を利用して、旅行者などに宿泊サービスを提供するビジネスです。自分で宿泊施設を所持していなくても、民泊フランチャイズに加盟するとオーナーになれます。政府も2023年度に民泊運営事業の参入に関する規制緩和に動くなど、インバウンド(訪日外国人)消費の盛り上がりを見込んでいます。

「棚貸し」と呼ばれる委託販売の雑貨店、HATTIFNATT(ハティフナット)吉祥寺店さんの記事を紹介します。

おうちサロン・教室

自分の趣味や好きなことを自宅の一室ではじめられるのが、ネイルサロンや料理教室です。店舗を構える必要がなく、人気になればスケールアップも見込めます。

ネイル・エステサロン

参入ハードルの低さから、自宅の一部をネイルやエステサロンとしてスモールビジネスとしてはじめる人が増えています。自宅の一部であれば店舗を借りる必要もなく、家賃や光熱費も経費として計上できます。ネイルサロンは趣味からはじめる人も多く、好きなことを仕事にすると続けやすいのがメリットです。

しかし競争も激しい業界なので、まずは初期投資を抑えてはじめるのがおすすめです。

おうちサロンIrodoriを経営されているセラピストの田篭まりなさんの記事を紹介します。

料理・お菓子教室

趣味や特技を活かして、自宅の一部を料理やお菓子教室にすることも可能です。これらの教室を開く際に資格は不要で、自宅にあるものでまかなえれば初期費用も安く抑えられます。

また、営業許可や資格を取ればインターネットを使ってお菓子などを販売できて、教室に来れない人にもアプローチが可能です。

未経験で料理教室からスタートし、55歳から洋菓子店を経営されている正伯和美さんの記事を紹介します。

屋台・フードトラック・配達飲食サービス

飲食に興味のある人は屋台やフードトラック、ケータリングもおすすめです。キッチンカーや調理器具などの初期費用はかかりますが、提供するものによっては原価を抑えて利益を上げられます。

たこ焼き、焼き鳥屋

屋台やフードトラックで定番でもあるたこ焼き屋ですが、材料費があまりかからないため利益率が高いのが魅力的です。調理スキルもあまり必要とはしません。

ほかに焼き鳥屋も屋台では定番で、人気店になれば祭りやイベントなどに呼ばれて集客に困らないケースもあります。ただし競合も多いので、味や素材、売り出し方などの差別化が重要です。

コーヒー、スムージー

ほかにもコーヒー、スムージーなどをフードトラックで販売するスモールビジネスもあります。飲料系は大がかりな調理器具を必要としないため、初期費用が安く済みます。ランチの時間や観光イベント付近で販売するなど、営業場所の開拓が重要です。SNSをうまく使ってインスタ映えなどを狙うと、思わぬ反響を得られるかもしれません。

I am(アイアム)では編集部が体当たりでリヤカーでコーヒー販売にチャレンジしました。結果はどうだったのか?気になる人は以下の記事をチェックしてみてください。

ケータリング

顧客の自宅やイベント会場などに出向き料理を提供するサービス。料理の味や盛り付けのセンスは必須ですが、実店舗で営業するより集客に立地が影響しない、予約制なので材料のロスが少ないといったメリットもあります。

物販

参入しやすく競合の多いビジネスですが、得意分野や趣味の分野で、顧客視点でニーズを把握できるなど確実なニーズが見込めれば、ライバルの少ないニッチな商材を選ぶことで差別化しやすくなります。

コンサルティング

法人向け、個人向けそれぞれのコンサルティングもスモールビジネスのひとつ。評価されれば口コミなどによってクライアントを掴むことも可能で、教育業や講演など幅広く仕事を展開できます。

法人向けコンサルティング

クライアントの戦略を立てたり、分析をしたりする仕事が法人向けコンサルティングで

す。経験や実績、高いスキルが求められますが、法人相手に仕事をするので、成果を出せば高額な報酬を期待できるビジネスです。

またクライアントの会社のなかに入って仕事をするので、不可欠な存在になれば継続して仕事を得られるメリットがあります。

個人向けコンサルティング

起業、経営、キャリア、SNS運用、整理収納、ダイエット、出版など個人向けにコンサルティングします。

整理収納コンサルタントとして、子育て世代のご家庭や女性経営者のご家庭の環境整備のサポートや講師業をおこなう整理収納コンサルタント、澁川真希さんに仕事についてねほりはほり聞きました。

インターネット・Web関連

パソコン1台あればインターネットやWeb関連の仕事は可能です。場所を選ばないので、自由に働きたい人にとってはおすすめの仕事です。

マッチングサービス

恋愛、グルメ、不動産、ビジネスなど、今では一般的となっているマッチングサービス。自分の体験や、得意分野の経験を活かして誰かの困りごとを解決できるサービスと結びつけ、手数料などで収益を得ることができます。

〈まとめ〉ひとりで少ない資金ではじめられる「スモールビジネス」とは

ひとりでかつ、少ない資金ではじめられるスモールビジネス。スモールビジネスにはローリスクでこれまでの経験やスキル、好きなことを仕事にできるメリットがあります。世間では成果主義の導入や終身雇用制度の廃止の流れから、個人で活躍する人が増えつつあります。

ライバルが増えて激化する前に、メリット・デメリットを理解したうえで、自分に合ったスモールビジネスにチャレンジしてみてはどうでしょうか。

参考:『スモールビジネスの教科書』(武田所長)

文/藤田祐秀

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この記事を書いた人

I am 編集部
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「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。

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